我が同居人ドノが書棚から一冊、
小説を抜き出したら、月報のような折込が零れ落ちた。
「あぁ、それ良い小説やで」と云って、
その折込を見ると、
水上勉氏との対談で宮本輝氏がこんなことを言っておられる。
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小説というのは結局、
物語なのだ、と書き始めたときからずっと思ってました。
学問でもなければ宗教でもない。
贅沢な心の遊びだと思っています。
だから私は
物語をいかに織ってゆくかに懸命になるタイプでして、
観念を文字に移すことはできないのです。
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そう云えば大阪には、
抽象的で分かりにくい文章をありがたがるような精神的風土があまりない。
関西で作家生活を続け、
ここが住みやすいと思うような作家さんたちは、
きっとリアリストなのだろうと思う。
もうずいぶん前に買った本だが、
宮本輝さんの「錦繍」は、今もお勧めの小説である。