叢雲会ブログ

叢雲会 刀匠達の四方山話

イミテーション?       國正

2008-12-15 11:45:15 | Weblog
私は今日までイミテーション(日本語で使われる意味での)なぞ作ったことはありません。
それに近づくのが嫌だ、と書いたつもりでしたが?
いくら御大のお言葉でもそれはないっしょ...
写し物、というのは普段耳にするイミテーションとはニュアンスがちょっと違うような気がしますが。

私が問題だと感じているのは、展覧会で賞が欲しい作家は、当然審査員の審美眼にかなうようなものを作ろうとするので、新作名刀展の凋落が進むとするなら、いままで築いてきた現代刀の個性、進むべき方向が変わってくる。
そのことが我々に計り知れない影響を及ぼすことは想像できます。というか、私自身がそうですから。
このままであれば、出品にかかわる大変な労苦、費用などを考えますと私もいつまで新作名刀展にこだわれるか、わかりません。
となれば、お守り刀展は一個の新しい展覧会ではなく、その審査を通じて現代刀の美の創造の方向付けにまで踏み込まなければ、刀匠会として主催する意味が少ない、と思うのです。
だから、いろいろあってよい、のはもちろんそのとおりですが、ギリギリでやっている私などにとっては、あまり呑気にかまええていられない。
お守り刀展にも今後、挑戦し続ける事がはたして自分にプラスであるのか、迷いもあります。

お守り刀展のコンセプトは非常に面白く、世間へのアピールも大きなものがあることはよくわかっています。
しかし、今回の売り上げはかなり厳しい情勢に陥りそうですし、昨今の経済状況をみると今後もこの展覧会によって経済的に潤うことは難しそうです。
これほどの苦しみを乗り越えて創造してゆかなくてはならない展覧会、その意味を自ら問うことは大切であると思います。

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