叢雲会ブログ

叢雲会 刀匠達の四方山話

忘れ物 三上

2009-12-02 08:07:06 | Weblog
11月15日に、長船博物館で「日本刀文化を生活の中に」というテーマで、パネルディスカッションが行われ、パネラーの川島刀匠が、昨今の刃物の事件を上げて、日本人が大切にしてきた心
● 自然に対する畏敬の心
● 親、ご先祖様を大切にする心
● みんなが仲良くする和の心
● 恥を知る心
● 弱者、敗者をいたわる惻隠の心
を、引継ぎ伝えていきたいと話していました。

以前、子供の体験学習で竹とんぼを作る親子教室での事。
私達が子供の頃は、誰もが肥後の守や切り出しなどを持っていました。
そして、竹とんぼを作るために、竹をナイフで削って造り、競ったりもしたものです。
でもその時の、竹とんぼ作りは、用意された竹板を熱で炙って(あぶって)ねじりを着けて作っていたのでビックリ。私達も、竹でそりやスキーを作るときには、大人や先輩に教わって、火で炙って反りを着けたものです。
ですから炙って曲げる技術が悪いわけではなく、それも大切なテクニックでとても良いアイデアだと感心しましたが、ナイフは使わないのですかと聞いたら、子供が、けがをすると責任問題が生じるから、 使わせられないのだという先生のお話でした。確かに、刃物がなければ、刃物でけがをする危険はありません。創る楽しみを教えるのですから、それでよいわけです。ナイフは次のステップと考えられたのかもしれません。

でも、決して手を切ることを、すすめるわけではありませんが、
大人や先輩から、安全に使う工夫、持ち方、刃物を持った人の周りにいる時の注意などを教わって、自分の手でものを作り出す。
手を切らないように、集中して見つめながら、慎重に削ることや、周りにいる人や後輩などにけがをさせないように注意することなどを考える、配慮する必要もチャンスも無くなります。

警察の方の説明によると、今回のようなナイフでの事故が起きると、
必ず、取り締まりをきちんとしないからこんな事が起こったのだ。
その様なものが無ければ、事故は起こらない。などという意見が多数寄せられて、
国民の安全を守る立場の警察としては、規制を強化して行かざるをえないとのこと。

安全のためという大義名分で、刃物を持たせないという風潮が生まれるのは、仕方ないことでしょう。
あるテレビ局が、『探そう!ニッポン人の忘れ物』 と言う企画をテレビ局がしていましたが、私達も、危ないから規制をすることで、何かもっと大切な大切な心も忘れてしまっているのではないかと改めて思いました。

まだ規制が始ったばかりで、これから色々問題が出てくることでしょう。
生活の道具として、剣の形が必用な人たちにとって見たら、えらく迷惑なことです。
剣形で先端が尖っているものが危ないと言うことであれば、現場の警察官の目では、ダガーもダガーナイフもペーパーナイフも槍も馬針なども同じに見えることでしょう。
癒着を防止するためか、警察内でも頻繁に部署が代わるようですから、尚更だと思います。

ではどうしたらいいのか。
これをきっかけに、みんなで改めて考えるときなのかもしれません。

ありの世界では、安全に対するルールは、どうなのでしょう。そう言えば、ありの世界には、ナイフは無いですね。愚問でした。

いつも長くなってごめんなさい。m(_ _)m