9月19日放送の『ダークサイトミステリー』は怪奇小説作家H.P.ラヴクラフトを取り上げており、今回の記事名は番組タイトルからの借用。以下は番組サイトでの紹介。
―今なぜ?静かなブーム“クトゥルー神話”とは?平和な日常に忍び寄る恐怖の怪物・邪神たち!有名な映画やアニメに大きな影響を与えた伝説のホラー作家。魅力と実像に迫る。
今、映画やアニメ、マンガ、小説など世界のクリエイターたちに多大な影響を与えている暗黒伝説“クトゥルー神話”!100年前の作家がなぜ、現代人も恐れる宇宙的恐怖“コズミック・ホラー”を生み出せたのか?
平和な日常に忍び寄る恐怖と混とん。代表作の数々を紹介しながら、伝説の作家ラヴクラフトの創作と魅力の秘密に迫る。ラヴクラフト作品を愛してやまない俳優・佐野史郎が、貴重な映像とともに、尽きない魅力を熱く語る。
ラヴクラフトとは懐かしい。私が初めてその作品を見たのは『ラヴクラフト傑作集1』(大西尹明訳、創元推理文庫)で、まだ学生だった'80年か'81年だったと思う。傑作集1には「インスマウスの影」「壁のなかの鼠」「死体安置所にて」「闇に囁くもの」の4編が収録されていた。この傑作集を紹介しているブログ記事があり、巻頭文とストーリーの一部まで載っていた。
作品で先ず読んだのが代表作のひとつ「インスマウスの影」。ラヴクラフトとクトゥルフ神話への予備知識はなかったが、実に面白かった。登場する半漁人らしき怪物は印象深かったし、主人公がその半漁人になってしまうという結末もインパクトがあった。吸血鬼のように怪物に襲われたためではなく、実は主人公は怪物の血を引いていて、先祖がえりだったというオチ。このような怪奇小説もあったのか、と思った。
番組では触れなかったが、ラヴクラフトは人種偏見の持ち主で作品にもそれが表れている。異人種蔑視や異人種間混血への強い嫌悪感は「インスマウスの影」にも描かれていた。彼の没年は1937年(享年46歳)、当時の保守的なアメリカ白人は総じて人種偏見を抱いていた時代でもあった。例えば「インスマウスの影」の前半が載っているサイトには、出札係のこんな言葉がある。
「あいつら(インスマウス住民)が、南洋の人食い人種や亜熱帯の野蛮人とおっつかっつの醜い人種になっていないともいえませんな」
しかし佐野史郎はラヴクラフトの作品には、先住民を追いやって建国したアメリカ白人の贖罪意識があると述べていた。そして明治以降の日本も同じで、良いことも悪いことも沢山してきた……等と語っていたのは白けた。やはりネットで今や犬HKと謗られる局に相応しい解説だ。
ラヴクラフト信者による擁護発言とも取れるが、贖罪意識よりも何時か未知の侵略者により自分たちがかつての先住民のように掃討されるという潜在的恐怖を抱いていたのではないか……と私は想像している。
移民の国アメリカはそうやって建国したのだし、将来新たな移民が取って代わることがないとどうして言えるだろう?この種の潜在的恐怖は多くの白人が共有しているはずだし、人類史は侵略と先住民族掃討の歴史でもあるのだから。
大西尹明氏はあとがきで、ラヴクラフトが一般には使われない言葉を好んで用いていたことを書いている。そのひとつはSF小説などですっかり定着してしまった“ミュータント”。現代はSFに無関心な方でも知っている用語だが、ラヴクラフト生前には知られざる言葉だった。このような傾向からも、大衆向けパルプマガジン作家としては異色な存在だったことが伺える。通好みではあっても、ベストセラーにはならなかったのだ。
「インスマウスの影」で町の老人が発した呪文めいた叫びは、音読すれば本当に怪物が現れてきそうだ。
「イア!イア!クトゥルフ・フタグン!フングルイ・ムグルウナフー・クトゥルフ・ル・リエー・ウガ=ナグル・フタグン――」
番組の初めに、今ラヴクラフトが「静かなブーム」となっていると言うのは疑いを感じた。何時もその手でブームを煽っているのか、と思ったが、彼の多くの作品が漫画化されていたことを番組で初めて知った。タイトルも作者も忘れたが、小学生の頃に半漁人が登場する漫画を見たことがある。こちらはマッドサイエンティストが少年を人工的に半漁人に改造する話だったが、まさかラヴクラフトからヒントを得ていた?
さらに番組で初めて知ったのは、クトゥルフのようなキャラは必ずしもラヴクラフトの独創とは言えなかった点。作家仲間たちとアイデアを出し合っていたというのだから驚く。著作権の喧しい現代では考えられないかもしれない。
『ラヴクラフト傑作集1』は面白かったが、次巻は読まずじまいだった。太古に地球に飛来した宇宙神が密かに復活の時を待ち構えているという発想は斬新だが、宇宙神なる存在は単なるフィクションと思っているためかもしれない。
分かりますが読んだことはありません。
でもそれをネタにしたゲーム アニメ 漫画
そして2cnのネタででいやがおうにも知ってしまう感じですね。SAN値直葬(TRPGクトゥルフの呼び声というアナログゲームで正気度のステータスがsan値。一発で気が狂うような正気じゃない状況を表すスラング)やイア!イア!クトゥルフ・フタグン!フングルイ・ムグルウナフー・クトゥルフ・この呪文もネタで使われるようになり有名になりました。
アニメだと最近だと「這いよれ! ニャル子さん」
が有名ですね。ニャルトラホテプの美少女化した
逝かれたギャグアニメ。ゲームだと古き神々に
恋してしまい、人間の倫理とかけ離れた生き方を
余儀なくされるがグロテスクだけど不思議と美しい
話で評価が高い、恋愛ゲーム「沙耶の歌」などが最近のヒットネタでしょうか?そんなわけでラヴクラフトを読んでなくてもネタがわかってしまうんですよ。
いあ! いあ!くとぅるふ!
そうは思わんが、まあ「好きなヒトは好き」くらいのものではないか。
私は「御大層な前兆だけで本体は現出の直前に妨げられてコト無きを得る」といったストーリーの連続でいささか欲求不満な終わり方ばかりといった印象です。
私が知る範囲(↓)はこのくらい。
魔夜峰央「アスタロト・クロニクル(2)」
https://comic.k-manga.jp/title/16704/vol/2
旧支配者のキャロル
https://www.youtube.com/watch?v=QNcs25THDBk
アローン イン ザ ダーク 理不尽なトラップ集
https://www.nicovideo.jp/watch/sm249461
>これでしょうか?
楳図かずお『半魚人』
https://blogs.yahoo.co.jp/kaze2010_case_case/9568135.html
「這いよれ! ニャル子さん」の画像を検索したらいかにも今風の美少女アニメで、ラヴクラフト作品に見られる不気味さは全く感じられません。ここまでパロディ化できる日本のクリエータもスゴイ。
ラヴクラフトを読んでいたとは思えませんが、「宇宙神からの霊波を受け取る程度の努力はすべきだ」と書込みしたザパニーズがいます。基地外だとアニメを見ただけでSAN値直葬状態になるでしょう。
こちらはラヴクラフトの解説ですが、ラストにラヴクラフト風の禍々しい描写(笑)で書かれた、とある作品のパロディがあります。言っている事は全く同一なのに、この印象の違いは何でしょうか。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88
メディアではとかく、「今、〇〇が大ブーム」みたいな報道をしますからね。それを真に受ける視聴者も多いから、偽ブーム特集は止められないのでしょう。スポンサーの意向もあり、報道が常に真実とは限りません。
『ラヴクラフト傑作集1』に収録された「闇に囁くもの」など、モロに「御大層な前兆だけで本体は現出の直前に妨げられてコト無きを得る」でしたからね。1巻だけしか読まなかったのは、それほどハマるストーリーではなかったためだと思います。
魔夜峰央は『パタリロ!』以外知りませんでしたが、「アスタロト」ってバンコランに似ていますね。「アローン イン ザ ダーク」は笑えます。これだけ痛めつけられて死なないキャラはまず見たことがない。
まさにこの作品です!懐かしい~~。教えて頂きありがとうございます。作者は楳図かずおでしたか。少年の口内にナイフを入れ、口を切り裂くシーンは子供心にはショッキングでした。
ラヴクラフト風の文体で書かれた元の作品は何でしょうね。「恐るべき」「忌まわしき」「地獄の」「宇宙的な」「深淵の」「病的な」「嘲笑を」「冒涜的な」を混ぜると、ラヴクラフトもどきの短編が書けるのやら。
リンク先にはユニークなイラストがありますよね。それだけ熱心なファンがいるのでしょうけど、ラヴクラフトの特徴的な容貌は印象的です。
あの話がこのような禍々しい文体になるとは思いませんでした(笑)。黒色の小さな瞳を取り巻く冒涜的な大きさの白目、鼻と首は鮮紅色で彩られ、顔の下半分にぽっかりと開いた深淵を思わせる巨大な口、胸には名状しがたき黄色い円形の物体を下げてます。狂気じみた青色で縁取られた純白の顔と腹部を持つ姿がこちらに現れています。
https://image.middle-edge.jp/medium/a2c6a34cb0ba82f52c69488e3af27ae5.jpg?1468584016
>私は慄然たる思いで机の引出しから突如現れたその異形の物体を凝視した。
机の中にあるタイムマシンから登場するシーンです。
>それは大小の球体を組み合わせたとしか言い様の無い姿をしており、狂気じみた青色が純白の顔と腹部を縁取っていた。
確かに大小の球体を組み合わせた姿ですし、純白の顔と腹部を青い色が縁取っています。
>這いずり回るような冒涜的な足音で私に近付くと、何とも名状し難き声で私と私の子孫のおぞましき未来を語るのであった。
足音はともかく、声は代替わりしましたし、もともとこの話は悲惨な未来を変更するべく子孫が過去に異形の物体を送り込んできた、と言う設定です。
>また、それは時空を超越した底知れぬ漆黒の深淵に通じる袋状の器官を有しており、この世の物ならざる奇怪な装置を取り出しては、人々を混迷に陥れるのであった。
袋状の器官に関しては全く描写の通りで、便利な道具ですから私はこれが欲しいのですが(笑)。これがあればどのような狭い家でも快適に暮らせるでしょう。この世の物ならざる奇怪な装置で混乱が起きるのが話のコンセプトです。
種明かしをされれば、なーんだ、の類ですが、あの“ドラえもん”だったとは想像もつきませんでした。何かの有名なホラー小説の一部?と思いきや漫画だった!このパロディは凄い。
この世の物ならざる奇怪な装置の中で、子どもの頃に一番欲しいと思ったのはタケコプターでした。あれで自由に空を飛べたらいいなぁ、と思いましたが、漫画家の発想もスゴイ。