トーキング・マイノリティ

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仙台クラシックフェスティバル2019

2019-10-09 21:53:29 | 仙台/宮城
 10月4~6日の3日間、毎年恒例のせんクラこと仙台クラシックフェスティバルが開催された。今年で第14回目を迎える秋のイベントで、公式サイトには参加するアーティストやプログラムが紹介されている。クラシックフェスティバルと銘打ってもクラシック一色ではなく、ジャズや唱歌、ロックも演奏されている。
 私が行ったのは4日に日立システムズホール仙台(旧青年文化センター)で行われたスギテツ浅野祥の演奏会(18:00-18:45)と、山下洋輔の会(19:00-20:00)だった。チラシには「スギテツ&浅野祥のザッツ・サムライ・クラシック!」「山下洋輔クラシカル・ナイト」とあった。

 クラシックフェスティバルに行ったのは友人に誘われたためで、クラシック好きどころかFMラジオで流れない限り普段はあまり聞かず、特に関心もない。実は友人もクラシックファンどころか、若き津軽三味線奏者・浅野祥の大ファンである。彼女は浅野目当てでフェスティバルに行ったのだが、彼の名を知ったのも友人の話からだった。
 浅野は仙台市出身だが邦楽に疎いこともあり、名はずっと知らなかった。wikiには津軽三味線全国大会で「16歳で3連覇達成。史上最年少チャンピオンとなり、史上最年少で殿堂入りを果たす」とあるが、河北新報ではあまり取り上げられなかったような気がする。

 クラシック以上に疎く無関心だったのが津軽三味線。津軽三味線といえば、気難しそうなオッサン演奏者の音楽のイメージがあり、クラシックより敷居高く敬遠していたのだ。そのため友人から誘われても少し気が重かったが、演奏時間が45分といえチケット代が千円ぽっきりだし、生演奏を聴いても悪くない、と思い直した。因みに山下洋輔のほうは1,500円だった。

 演奏日当日は雨で、特に夕方以降は強く降ってきた。会場で渡されたチラシで浅野は独演会ではなくスギテツとの共演であることが分かった。スギテツというアンサンブルも初耳だし、津軽三味線とピアノ・バイオリンの組み合わせというだけで違和感を覚えた。しかし演奏第一曲目でそんな懸念は吹っ飛ぶ。
 法楽器と洋楽器の組み合わせは不協和音どころか想像以上にマッチしていて良かった。浅野のテクニックも素晴らしかったし、友人が彼の演奏を聴けば津軽三味線のイメージが変わると言っていたのも納得できた。

 演奏の合間のトークも実に面白かった。元からスギテツは「冗談音楽」をレパートリーとしていたにしても、彼らとやり取りする浅野も良い。浅野はトークも上手と言っていた友人の話は誇張ではなかった。スギテツのトークは専らピアノ担当の杉浦哲郎だが、岡田鉄平のバイオリンと浅野の弦楽共演は聴きごたえがあった。
 特に岡田が鶏の鳴き声や救急車のサイレン、踏切音、果てはコンビニ入店時の音までバイオリンで再現したのはスゴイ。やはり津軽三味線では無理があるが、楽器よりも奏者のテクニックが大だろう。

 スギテツ&浅野祥のクラシックは曲目からパロディ満載なのだ。「北辰一刀流の舞」「ラ・津軽じょんガネラ」「日本舞曲第5番」等々よく知られた名曲をパロディ化していた。民謡メドレーもあったが、こちらもパロディ。スギテツの「北辰一刀流の舞」演奏動画もあった。


 45分間で終了したが、ザッツ・サムライ・クラシック!は本当に良かった。一方、山下洋輔のクラシカル・ナイトはさすが大御所ピアニストだけあり、生演奏は素晴らしかった。ただ、トークはイマイチで、ピアノ弾きに集中していたという印象だった。
 とかく敷居が高いため敬遠されがちなクラシックだが、このようなかたちのフェスティバルがあってもよい。いくら外国の高名な演奏家や楽団が来日してもチケット代が張り、聞きなれない退屈な曲を流されるようでは、ファン層は限られているのだろう。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ゲームとクラシック (トオニ)
2019-10-22 21:54:15
前に見たTVCMでゲーム曲を演奏するオーケストラの宣伝がありました。

ttps://www.gamespark.jp/article/2015/11/12/61702.html

ttps://gigazine.net/news/20151014-videogame-saving-orchestra/

ゲームがこのような形で役に立ってるのはゲーマーとして嬉しいですね。
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Re:ゲームとクラシック (mugi)
2019-10-23 21:33:45
>トオニさん、

 世界中でクラシックのコンサートチケットの販売数が減少しているとは知りませんでした。クラシックが根付いていない日本だけではなかったのですね。

 ロックとオーケストラのコラボも珍しくなくなりました。この種の企画に古参のクラシックファンは戸惑うにせよ、もはやベートーヴェンを演奏するだけではやっていけない時代なのですね。
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