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仙台育英、甲子園優勝に思うこと

2022-08-24 21:10:20 | 仙台/宮城

 第104回全国高校野球で宮城県代表の仙台育英高校が優勝した。決勝日の22日に続き昨日の仙台市内はお祭り騒ぎとなり、地元でのトップニュースは夜になっても優勝関連報道となった。
 地元紙・河北新報は23日に特別編成で仙台育英優勝を特集、トップ見出しは「仙台育英 全国制覇」。32面の記事の一文が全てを物語っているだろう。
東北勢が甲子園大会を制するのは春の選抜大会を含め史上初。1915年夏の第1回大会で秋田中(現秋田)が準優勝して以来、春夏合わせて13回目の決勝進出で、悲願だった大旗の「白河の関越え」を成し遂げた。

 私はあまり野球には関心がなく、東北楽天イーグルスの試合もあまり見ておらず、高校野球さえ例え宮城代表チームでも見ないことがある。宮城代表チームが出場しても見ないのは、どうせ負けると思っているからだ。そのため今回の大会も初めて見たのは決勝に進んだ時という有様。
 野球情報に疎いため、まさか今回優勝するとは想像も出来なかったし、どうせ負けるなら早く負けた方が、遠征経費が掛からなくて済むだろう……、と何時もの自虐的な見方をしていたほど。

 仙台育英はこれまで夏の大会では2度、準優勝している。1989(平成元)年と2015(平成27)年のことで、決勝に進みながら結局惜敗。二度あることは三度あるの諺通り、今回も私は負けると思っていた。相手チームの下関国際高校の名は初耳で野球の強豪校なのかも知らなかった。
 それでも決勝に進むほどなので、弱いはずがない。またしても優秀を逃すのか、と覚悟していたが、三度目の正直で全国制覇。ついに悲願の大旗の「白河の関越え」を成し遂げた。準決勝では同じ東北でありながら、大差で下した聖光学院(福島)にはいささか済まないが、「白河の関越え」が実現したことが全てだろう。

 勝負は時の運とも言われる。野球に詳しい方の見方は違うだろうが、仙台育英が勝利出来たのは、マンモス校という事情が大きいと私は見ている。野球部員は80名を超え、選手層の厚さでは聖光学院や下関国際高校に勝っている。これらの高校は全て私立校であり、これが公立校となると野球部を支える体制もない処が少なくない。
 もちろん球児たちのひたむきな訓練と努力は大きいが、野球部と野球部員への手厚いサポートがある学校は強みがある。総じて私立校はスポーツに力を入れる傾向があるのだ。

 昨日のТVで、凱旋した育英高校野球部員による母校でのインタビュー番組があり、その時朝日新聞社の社旗を持っていた部員がいたことは印象的だった。やはり主催者である朝日新聞社に敬意を示す儀式としか見えなかった。

 一昔前は体罰が当たり前だった少年野球だが、現代でも虐待の噂は絶えず、過度な練習で腕や肩を故障してしまう球児もいる。今回の決勝は開催が午後2時、1日で最も暑い時間帯だし、熱中症は大丈夫だったのか、と他人事ながら心配してしまった。
 4年前だが、「甲子園の熱中症を無視する朝日の"二枚舌" 政府は批判するが、自社批判は無視」(2018/08/12)という記事があり、辛辣でも次の批判は的を得ている。
感動ストーリーを作り出すメディアも取り巻く大人たちも、高校球児たちのこれからの人生に責任を持つことはない。

 日本の高校野球に限らずオリンピックやワールドカップもビッグビジネスだから、メディアは感動ストーリーを作り出し、感動のバーゲンが押し売りされる。商売が絡まないとスポーツ大会は開催も難しくなっており、メディアがアスリートのこれからの人生に責任を持つことは絶対ない。

 それでも甲子園は、この先も日本人の心を揺さぶるイベントであり続けるだろう。高校野球に特に関心のなかった私でも、地元球児たちのプレーや表情だけで心に訴えるものがあった。東北楽天が日本シリーズで優勝しても、これほど嬉しくはなかっただろう。

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