先日見たブログ記事、「ゾロアスターを信じるキリスト教徒」は、ゾロアスター教に関心のある私には実に興味深い内容だった。棄教者 だけあり、管理人「クッキングホイル」さんの見解には思わず唸った。その記事を全文紹介したい。
-過去の記事「天使と悪魔」では、創世記3:24において、天使とは「置物」のことであったことを明らかにしました。この置物の天使は バビロンの宗教から取り入れた天使で「ケルビム」という名がついていました。
今回は「ミカエル」という天使について考えてみましょう。ミカエルはユダヤ教、カトリック教会、正教会、プロテスタント教会、 およびイスラームにおける共通の認識で、実在する天使であると考えられています。人の名前にも使われていますね。マイケル、マイク、 ミハイル、ミシェル、ミゲルなどです。ミカエルが旧約聖書に登場するのはダニエル書10:13が最初です。見てみましょう。
「ペルシア王国の天使長が二十一日間わたしに抵抗したが、大天使長のひとり、ミカエルが助けにきてくれたので、わたしはペルシアの王たちの ところにいる必要がなくなった。」(日本聖書協会、新共同訳聖書より)
この記述により、天使ミカエルはユダヤ人の守護者、キリスト教徒の守護者であるということになっているようです。しかし、この記述内容はダニエルの感じた「幻」なのです。なぜダニエルの幻に出てきたミカエルが現実に存在する天使だということになるのでしょうか、 おかしな話ですね。
そして最大の問題はこれからです。上で引用したダニエル書の記述をよく見て下さい。「ペルシア王国の天使長」と書かれていますね。 ペルシア王国の天使長というのは、ペルシャの宗教であるゾロアスター教の天使のことです。ダニエルは、このゾロアスターの天使に抵抗されたのだと主張しているわけです。助けにきたミカエルが実在であるのなら、このゾロアスターの天使も当然実在でしょうし、ゾロアスターの天使が実在していたのだということは、すなわちゾロアスター教の神も実在していることになります。
ダニエル書のこの記述によってミカエルの実在を信じているキリスト教徒は、同時に、キリスト教の神以外に、少なくともゾロアスター教の神が実在することを信じている、と告白していることになります。聖書とはこのような矛盾に満ちた御伽噺に過ぎないということが現実なのです。
宗教なんて結局ダニエルのような稀代の大嘘付きの吹く笛に踊らされているだけのことです。一度冷静になって鏡を見てみてはどうでしょうか。
件の記事を見て、私も次のコメントを書込みした。
-個人的にゾロアスター教に関心があり、この宗教に関する本を読みました。この「ペルシア王国の天使長」とは、ゾロアスター教の フラワシ(聖霊)に当たるはず。古代イランのレリーフにも背中に羽の生えた人物が描かれています…
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%AF%E3%82%B7
「ペルシア王国の天使長」ことフラワシが仕えているのは、ゾロアスター教の最高神アフラ・マズダーであり、「アフラ・マズダーを信じる キリスト教徒」と言っても過言ではないはず。もちろんキリスト教徒からすれば不心得極まる解釈であり、「聖書の間違いを捜して悦に入っているバカども」となろうが。
この件で管理人さんと同じく棄教者の「巨大虎猫」さんも、「旧約聖書は多神教?」の題でコメントしている。
-旧約聖書にはそれ以外にもバール神のことも出てくるので、聖書が正しいと信じるということは、バール神の存在も信じるということに なりますよね。子供の時、このことを口走ったら大変なことになりました。子供の時から、誰でも感じそうな疑問を封じ込めて 「敬虔なクリスチャン」へと育てて行くのがキリスト教狂育なのです。(2012-01-08(日)14:57)
その二に続く
◆関連記事:「聖書の間違いを捜して悦に入っているバカども」
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多くの議論が生じるような気がします。
楽しみです。
棄教者だけあり、クッキングホイルさんの指摘は実に鋭いです。他の記事でもコメントされていましたが、巨大虎猫さんの体験談は凄まじかった。こんな「キリスト教狂育」が日本でも行われていたこと自体、信じられない。
戦慄が走りますね。
私達は歴史から自由に成れませんが、
同時に、宗教からも自由に成れ無いのだと痛感します。
どの宗教にも問題はありますが、怖いのは日本人の多くがキリスト教の実態に気付いていないこと。特に敗戦後、洪水のようなキリスト教礼賛報道が垂れ流され、多くの日本人はキリスト教を好意的に見ているのではないでしょうか?
仰る通り、私たちは歴史からも宗教からも自由になれない。キリスト教が消滅したとしても、新たなカルトが生まれると思います。
反米的で過激なイメージがあるものの、イスラム復古主義(原理主義)勃興は西欧の過去の侵略に端を発する面もあるので正当性はあります。むしろオゾマシイのはキリスト教原理主義の方で、先ほどサントラム氏(原理主義的福音派)が予備選で勝利したミネソタ州など中西部や南部に巣食っています。宇宙はまだ1万歳で進化論は人類の敵だとか。
歴史的に、脳に障害を起こして争うキリスト教に比べれば、イスラム教の戦いはまだ筋が通っていました。現在は日本も然り指導者が腐りきっている時代ですので社会の恥部に厳しいイスラム諸国が燃えている(受難でもある)のは当然なのでしょう。権力者の支配下に置かれるのが常だった彼らの要求は民主化というよりは腐敗長期政権の交代が正しいのかもしれませんね。勇敢に物を言うイスラムから何かを学べないかと思う昨今です。
仰る通り、ゾロアスター教はイランのシーア派に様々な影響を与えています。シーア派の教義にこの世の終わりにマフディー(救世主)が現れるというものがありますが、これなどモロにゾロアスター教のサオシュヤント(救世主)の焼き直しでしょう。建前としてはゾロアスター教も偶像崇拝禁止ですが、サーサーン朝時代など皇帝の肖像画をバンバン描いていたり、レリーフを刻んだしていました。イラン・イスラム革命でチャドルを強制されるようになっても、女性は顔を曝していますね。
欧米の著名なイスラム学者も、イラン・イスラム革命への西欧の影響を挙げています。同じ一神教でもキリスト教との決定的な違いは、異端審問や魔女狩りがあまりなかったこと。建前上はイスラムの棄教や背教は処刑対象ですが、実際は背教の疑いのある者の元にまず神学者が訪れて説得したとか。それでも考えを改めない場合、追放するのが殆どでした。西欧だったら命の保障はされません。
それさえも近代の欧米人に言わせれば、「東洋的停滞」となりますが、多数の「異端」を処刑するのが進歩的と思っているようです。米国のキリスト教原理主義者の方が生活水準はよいはずなのに、過激さでは劣らないのは不思議。
残念ながら腐敗と無縁な権力者などいつの時代もいないし、これは日本や中東、欧米諸国も同じです。「世直し」を掲げ、政権打倒を果たした民衆の指導者が権力の座に就くと、腐敗長期政権となるのだから人類社会の業に思えます。
シーア派らのイスラム復古主義は「実践」で社会を立て直す人類の未来への意志を感じさせる運動ですが、キリスト教原理主義は"手が付けられない程腐っている"印象しかありません。米国の原理主義者サントラム氏はイラク戦争推進派です。
ブッシュの支持母体もキリスト狂原理主義だったこと、ブッシュ政権がイスラエルを支援する振りをして何度も中東和平を潰してきたこと、イスラエルが国際的に非難されまくっていることから考えても、キ教原理主義は平和と人間の美徳への敵でしかないのは自明です。もはやどの辺が"福音派"なのか。。。
キリストの再臨思想も、イスラム教のアル・マフディー同様、古代イランの光の神ミトラをルーツにしているそうで(『古代ミトラ教から現代神智学へ』東条真人:著) 所詮、キリスト教に異教から盗んだ以外の物は何もないという事ですね。人類の脳を退行させ迷信から差別と暴力を招く宗教は少しでも告発していきたいものですが。
イランの聖職者たちも横暴を極める者が多いそうです。口先だけは反米を唱えつつ、子弟を欧米に留学させたりするから、民衆も面従腹背していたり。坊主くらい、言動不一致が酷い人種もいないのかも。
ブッシュ政権に限らず米国政権には絶えず「イスラエル・ロビー」が付きまとっているようです。「イスラエル・ロビー」はたとえ同胞のユダヤ人でも、従わない者には手段を択ばないこともあるとか。その件に関し、以前記事にしました。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/349849663875060e245a13064da1e7f8
イスラエルにも過激派、原理主義者がいて、そのリーダーが米国生まれのユダヤ人だったりする。元から選民思想があるため、過激化するのは当然でしょう。これも記事にしました。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/efdb67692ec79be92a7774c395388e38
現代の世界紛争の元は全てキリスト狂原理主義とユダヤ原理主義が手を組んでいることにあります。日本人クリスチャンの多くもユダヤ教徒の奴隷同然ですから、問題は根深い。
今もイスラエルを真に支援するシオニストはユダヤ人の振りをしたキリスト教原理主義と思います。(現イスラエル人は無神論者も多い) いつの時代もキリスト教は頭が悪い上幻覚を起こしているのが問題、この世の癌ですね。
米国人はしかも、聖書の冒頭が創世記(ジェネシス)だと知らないのが何割もいるとか。これではイエスが大事にしていたモーセ5書など言えるはずがない。
http://read2ch.com/r/news/1288019662/
> 宗教専門調査団体『プーリサーチセンター』の調査では、新約聖書の最初の4巻の名を言えない人も半数おり、創世記が聖書の最初だと知らない人も3分の1いた。
結局キリスト教が信じているのはパウロが叡智を無知なる大衆でも消化できるようにとごった煮にしたドロ粥だけなのです。
巨大虎猫氏の話によると米国の高校生は獣のように性交に明け暮れているとか… 中絶禁止にしたら社会が上手く回らなくなる懸念。聖書主義というのは表向きで、約束ばかりして何も「実践」しないキリスト教の悪い所がもろに出ています。
http://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/barry_chamish.html
シオニスト=ユダヤ人のイメージがありますが、キリスト教原理主義のシオニストも結構いるそうですね。米国にはその類のクリスチャンが多く、彼らはイスラエルの熱烈な支持者です。イスラエル知識人は今時トーラーを絶対視していないはず。イスラエルの政治家もキリスト教原理主義のシオニストを利用している。
興味深いサイトの紹介を有難うございました!それにしても、「創世記が聖書の最初だと知らない人も3分の1いた」とはスゴイ。有名な「十戒」も全部言えないクリスチャンもいるそうです。ま、日本人も含め仏典を読んでいない仏教徒が殆どのはず。聖書も仏典も退屈で複雑ですし。
米国の高校生が性交に明け暮れ妊娠出産しているという、巨大虎猫氏のお話は私も読みました。中絶専門医が銃殺される事件も多発しており、キチガイ沙汰としか見えない。日本人クリスチャンでもそれを擁護する者がいるのです。原爆犠牲者など中絶される赤子に比べれば、物の数ではないとか。そんな神学者ブロガーもいましたが、当人は中年の自称「誇り高き独身男」だそうで。