荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

メッセージは届いた

2010年02月23日 20時13分35秒 | 映画

「インビクタス/負けざる者たち」23日、札幌劇場

 1994年、ネル1007937_01ソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は南アフリカ共和国初の黒人大統領に就任した。だが、人種隔離政策を経た南アは、黒人と白人の対立はまだ根深く、国としてのまとまりを欠いていた。そんな中、ラグビー南ア代表の試合を観戦したマンデラにひらめくモノがあった。1年後には南アでラグビーのワールドカップが開かれることになっていて、代表の主将(マット・デイモン)を執務室に招いた。

 クリント・イーストウッド監督の30作目となる新作。脚本は南ア出身の脚本家によるも2325_invictus_website_wallpaper_1_3の。これまでの同監督の作品にはあまりみられないほどストレートな作品。マンデラ自身は多少は掘り下げることができたが、ほかはどうも描き方が不足し、このため、どうも最後の優勝まで、正直言って盛り上がらない。そう、手に汗握るという感じじゃないのだ。どうも、スポーツものの難しさかな。映像としてはかなり手順を踏んでいるのだが。この手の盛り上がりは、むしろ私たちが身近に見るテレビなんかの演出の方がうまいかもしれない。つまり、個々の人間と同時に、作戦面を含めた周辺状況の掘り下げが足りないため、意志の強さだけで、ついにオールブラックスを破ったと言われても、ほんまかいなって気持ちが入っていかないんだろうと思う。

 大体、主003将がなぜ簡単にマンデラの信奉者になってしまったのか。チームのメンバーもどんな葛藤があったのか。唯一の黒人選手は? 周囲に反対する者は。警備の人間の葛藤を描いて、もう一つの縦糸ととしたことはふくらみを生んだけど、これも勝ち進むにつれ自然と融和していく姿が、どうも安易すぎないか。つまり、目指す正論部分とその正論への障害部分をきちんと各登場人物を通じて描かないと、こっちに伝わりにくいんだと思う。それに試合ではやたら、スローモーションの映像と声、飛び散る汗が登場するが、それの繰り返しもこちらに代替案がないのだが、それに加え最後はペナルティーゴール合戦となっている試合展開もどうも興奮しにくい。諍いシーンはあるが、相手の巨漢選手との攻防にこちらの気持ちがどうも入ってこない。

 ただし、この余り知られない実話を紹介したこと自体はとても価値2325_invictus_website_wallpaper_1_2がある。インビクタスとは「征服されない」002の意味。マンデラが獄中に心の支えとなった詩だ。「私が我が運命の支配者、我が魂の指揮官」。自分を信じ、コントロールしていくことは、特別な逆境にあっては、そうそう簡単ではない。これを見事にやり遂げた信念の強さに敬服するばかりだ。そう言う意味では、監督をはじめとする制作者からのメッセージは確実に届いています。 そう言う意味では成功作なんだろう。     

 ただ、いつもいつも名作ばかりではないというのもまた事実なんだ。いつもあぜんとするほどの映画を見せてくれたので、一定の水準ではあるけど彼の中では名作とは言い難い。あぜんとさせてほしかったというのは何とも贅沢な希望だが。


理想と現実

2010年02月23日 20時12分42秒 | 映画

「50歳の恋愛白書」22日、札幌劇場

 美しいピッパ・リー(ロ001ビン・ライト・ペン)は年上のベストセラー作家(アラン・アーキン)と結婚し、子供二人を育て、完璧な妻を演じて50歳まできた。だが、実は彼女の人生は薬漬けの母親(マリア・ベロ)との確執があり、若い頃のピッパ(ブレイク・ライヴリー)は家を飛び出し、奔放な生活を送っていた。そんな彼女が引きこもり気味の15歳年下のクリス(キアヌ・リーブス)と出会い、次第に昔の自分を思い出す。002_3

 監督・脚本はレベッカ・ミラー。アーサー・ミラーの娘で、夫はダニエル・デイ=ルイスだ。彼女の小説「ザ・プライベート・ライブズ・オブ・ピッパ・リー」を基にして脚本を書いた。その脚本にブラッド・ピットが目をつけ、製作総指揮に名乗りを上げた。ウィノナ・ライダー、モニカ・ベルッチ、ジュリアン・ムーアなど。それぞれぴったりの役柄でした。

 登場人物はなかなか豪華だ。そんな面白さは満点だ。月曜だったからか札幌劇場8階は満員。それもほぼ中年以上。このタイトルは大成功といえる004だろう。予告編の作りもよかったしねそれにしても、やはり現実と理想のギャップにみんな悩んでいるのだろうか。

 ピッパ・リーは005十分理想的な結婚生活を送ったが、最初の出逢いに描かれていたように重い荷物を載せられていたようだ。そこからの解放を考えると、クリスとの旅立ちは理解できなくはない。ただ男の目から見ると非現実的だが、女性は旦那が死んだらもういけいけなんだろうか。いずれにしても私の目には、ちょっと詰めがなあ。 003_3    展開に深みがない、パワーが無いというか、ご都合的というのか。死んだ旦那が浮かばれないのは仕方ないにしてもだけど。いずれにしても心の解放はどんな年齢でも切実で、年を重ねて、どう出るか、人それぞれだろうけど。

アラン・アーキンはいい。今年76歳。大ベテランだが「マイ・リトル・サンシャイン」以降、再び注目され好調だ。それにしても彼の髪の毛がある姿はおかしいね。既に人気だがブレイク・ライヴリーはこれからどんどん行きそうだ。