「新網走番外地 さいはての流れ者」23日、浅草名画座
1969年、東映。高倉健、星由里子、山本麟一、谷隼人、由利徹、水島道太郎、佐伯清監督
末広勝治(高倉)は脚の悪い幼い正一をつれてオホーツク海沿いの小さな漁港にやって来た。食堂の女将ふみ代(星)に親切にされるが、漁業権を独占しようとしている田丸組が嫌がらせをしてきた。対する日野組の船長白鳥(今井健二)は、田丸組の博奕に手を出し船を抵当に入れてしまった。借金を返すには馬そり競走に勝つほか方法は なく、勝治は愛馬タローの出走を懇願される。結局、若社長の竜太郎(谷隼人)に貸し、勝負に勝つ。だがタローは死んでしまった。その夜、勝治は祝いの酒盛で網走刑務所で一緒だった小松と再会した。その後、正一の治療代を稼ごうとする勝治は田丸組のヤン衆として働き始めた。
いきなり健さんは山麟との殴り合い。その後も何かと争うが、次第に友情が芽生える。山麟は珍しく、田丸組の組長にたてつくこととなり、やられてしまうのはかわいそうだが。 それにしても健さんも鍛えているが、山麟もかなりいい体している。今回は皮のズボンが似合っている。二人の馬そり競走も見物だ。そうそう、日本酒の飲み合戦も面白い。競走で優勝したのでお祝いにたる酒を振舞っている席で、互いに全く譲らず、見ているわれわれも思わず、うっぷとなるが。
「博奕打ち 殴り込み」1968年、東映
鶴田浩二、加東大介、待田京介、松尾嘉代、小 沢茂弘監督
大正の末、巷では滝川組に殴り込んだ矢島組の客分小嵐幸次郎(鶴田)が男を上げていた。だが、この事件には三浦吉五郎(加 東)が加勢し、重傷を負ったため、幸次郎がすべての罪を負い、自首したのだった。やがて幸次郎は木戸源一家の若衆昭一(玉川良一)と出所、矢島一家の招きで金井会長(河津清三郎)を頭とする侠勇会の結成祝に顔を出した。幸次郎はつづいて川崎の木戸源一家を尋ねた。ここでは土建屋あがりの石田武市(遠藤辰雄)、勘次(山本麟一)、太三郎(待田)の石田組が縄張りう狙っていた。ある日、両者の賭場争いの中、木戸源一 家に草鞋を脱いだ幸次郎が年老いた吉五郎を見つけた。
加東大介をうまく使い、男のジェラシーをうまく表現したといえる。最後は、一花咲かせようとする老いた加東。別れて売られた娘にも、何度も会うのだが、出自を明かさない。そりゃ、明かせないよなという感じ。当たり前と言えば当たり前だが、いずれにしても最後の意地を見せる男加東は、なかなか泣かせる。
「必殺!Ⅲ 裏か表か」1986年、松竹
藤田まこと、京本政樹、村上弘明、工藤栄一監督
ある日、中村主水の同僚で隣家の主である同心の清原が殺された。清原は舛屋という両替商(成田三樹夫)をゆすっていたのだった。清原の妻おこう(松坂慶子 )は、舛屋の代理人である真砂屋(伊武雅刀)を訪ね、彼が殺ったことを白状させる。真砂屋は先代の娘おこうに自分たちの世界に戻って来て欲しいと告げる。一方、主水は知り合いの後家おしのに頼まれ、貯金の利息の取り立てに舛屋に出向いた。そこで彼は、舛屋の言葉から清原殺しが舛屋の手によるものらしいと気付く。後日、舛屋の勘定人の彦松(岸部一徳)が自殺する事件が起き、主水は再度舛屋と対決するが追い返されてしまう。そして主水に刺客が迫るが、仕事人仲間に助けられる。
なかなか、手強い相手で、主水もその仲間も危機に瀕する。仲間のうち笑福亭鶴瓶は殺されてしまう。なかなかスリリングだ。