荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

お疲れさま

2009年12月31日 21時27分41秒 | 映画

1007664_01  「釣りバカ日誌20 ファイナル」31日、札幌シネマフロンティア

 リーマンショック以来の不況で、鈴木建設も業績が悪化。会長の004スーさん(三国連太郎)が役員報酬の全額カットを申し出た。浜ちゃん(003西田敏行)は引きこもりの息子を釣りで助けたことがある金融会社の役員(岸部一徳)人脈から大型受注に成功した。その褒美に釣り休暇をもらい、ハマちゃんとスーさんは北海道へ釣り旅行に出掛けた。その旅行にはスーさ005

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んの亡き友人の娘(松坂慶子)が一緒で、旅行先はその孫(吹石恵)が獣医師として働く中   津だった。

 

人気シリーズの最終作。1988年から続き、特別版2作を含む通算22作になる。朝原雄三監督は14作から。

ご苦労さま、三国連太郎。それ以外にない。


後編も見るべし

2009年12月30日 22時37分59秒 | 映画

002 「のだめカンタービレ 最終楽章・前編」30日、札幌シネマフロンティア

何でこんなに感動したんだろう。音楽の力か。映像だけでなく音で筋004を聴かされたか。ずるい? 何でもありのエンターテイメント。やられた。これは子供の頃からこれまで聴いてきた名曲の数々がいろいろな記憶と重なって、思い出となっ    てあふれ出たんだと思う。だってかなり単純に次々と泣けたんだよね。この映画で。心の隙間にさっと入られたんだな。あの、のだめのし005ゃべりも、見ている者の反発を生まないのも見逃せない。それとフジテレビ系らしいぶっ飛びのCGも好ましい。

チャイコフスキーの「1812年」なんて、兄貴がブラバンなん006でよく掛けていて、腐るほど聴かされたし。「トルコ行進曲」はあのラン・ランが弾いているそうだが、これも繰り返し繰り返しEP盤を掛けた思い出がある。ベートーベンの7番はスコア見ながらベームでタク1007758_01トを振るマネをしたなあ。それもこれも遠い昔だが、やはり確実に記憶にあるから体と脳が反応するのだろう。

 さて最終盤、のだめと千秋の間、なに やら雲行きが怪しいのだが、それを案じるかのように出てくるのがマーラーの第5番だ。ご存じだ4楽003章。そして、「ラプソディーインブルー」で引っ張って、ついに後編予告編で人間としても演奏家としても成長したに違いないの007だめ。彼女が赤い衣装でコンクールか何かに出てきてショパンのピアノ協奏曲第1番を弾き込んだ。この流れにどうも、私は抵抗できない。見事だ。絶対後編も見るしかないだろう。


参謀

2009年12月29日 20時06分43秒 | 映画

「不毛地帯」29日、札幌劇場

   壱岐正(仲代達矢)は関東軍の元参謀で51bkn40hbnl__ss500_、終戦時に大本営参謀として関東軍を武装解除するべく新京に送り込まれたが、そのまま11年間シベリアに抑留された。日本に戻った壱岐は2年間の浪人生活を経て、近畿商事に入社することになった。社長の大門一三(山形勲)は彼の作戦力、組織力を高く評価し、繊維部に入れた。だが、総額一兆円を超す二次防主力戦闘機選定に、自社の推すラッキード社のF104を採用させるために、のちのちその力を発揮させる腹づもりだった。大門は壱岐を同行して渡米した、ラッキード社を見学させた。米軍基地で自衛隊がテストを行っていて、陸士時代からの友人の防衛部長川又空将補(丹波哲郎)にも会わせた…。

 1976年、東宝。二次防の主力戦闘機買い付けをめぐる商社の暗闘と政財界の動きを交えて描いた。原作は山崎豊子の同名小説。監督は山本薩夫、脚本は山田信夫。

 つい先月だったか、JCOMでもやって見ていたのだが、良い企画だ。「沈まぬ太陽」公開で、山崎豊子の過去の作品を紹介するというわけだが、こうした名作を見せてくれるのはありがたい。

 F4、F15、F35はもちろん次期防以外でも民間旅客機導入で、こんな米国メーカーと日本の商社、そして政財界との深い闇の話はいつの時代でも続いている。映画の最後に負けた東京商事の鮫島航空機部長(田宮二郎)がまた動き出し、大門社長が壱岐の辞表を破るように、まだ戦いは終わってないということだろう。そういえば、仕事絡みで読んだFSX扱った手嶋龍一の「たそがれゆく日米同盟」を思い出した。この辺の魑魅魍魎はなんとも興味深い。

 それにしても仲代の感情を押し殺した演技、冷たい視線は、瀬島龍三を模したのだろうか。


やり手編集者

2009年12月29日 20時04分47秒 | 映画

1007735_01 「ファッションが教えてくれること」28日、シアターキノ

 ファッション誌「VOUGE(ヴォーグ)」。米版の9月号は特大号で、準備は半年近く前から始まる。その編集長アナ・ウィンターはまさにカリスマ編集者。周りのディレクターが提案する特集や写真を次々駄目出しするのだ。

 VOUGEはアメリカ女性の10人に1人が読むのだそう。「プラダを着た悪魔」に出て1007735_03いた編集長のモデルがアナ・ウィンターだ。彼女を追ったドキュメンタリー映画で、まさにプロの気骨が見える。アナの同志でもあるクリエイティブ・ディレクターのグレイスは、元々この雑誌のモデルだったが、アクシデントがあって、編集者の道を歩む。時々、アナと対立するのだが、アナは妥協しない。グレイスの方が自分をわずかに押し殺すのだが、それでも最大の努力を惜しまず、うまく自己実現に1007735_02まで持って行く。このやりとりが面白い。アナも最終的に信頼し、グレイスを賛辞するのだけど。むしろ、男の年配編集者がどっちつかずなのが、おかしい。

 それにしてもプロとは何かを感じさせる映画だ。そして、そこからにじみ出る強さ。それが美しさにつながっている。アナ自体もかなり綺麗な方で、口元は少し年齢を感じさせるけど、そのファッションは素人目にもなかなか。一方、グレイスは若い頃はかなりかわいいのだが、今はちょっと骸骨っぽいぞ。でも人間的にはなかなか面白そうだと感じさせる。アナは、ちょっとね。

 それと、あの「プラダ…」にも出ていたおかまな大男。本当にいるんだね。それにしても私には場違いな映画ではあるけど、なかなかのプロ根性に脱帽でした。


判ってくれないのが世間

2009年12月29日 20時03分21秒 | 映画

「大人は判ってくれない」28日、蠍座

 12歳のアントワーヌ212j736hehl__sl500_aa140_(ジャン・ピエール・レオー)は学校で立たされ、宿題を課せられた。家では母親が口やかましい。翌朝、登校の途中、親友のルネと出会うと、学校を休んでしまう。

 1959年、ご存じフランソワ・トリュフォーの第1回監督作品だ。先週からトリュフォーの企画が始まった。

 あそこまで煙草好きなのは今じゃ、あまり同情されないかな。それにしてもずいぶんうるさい教師。母親もとんでもないけど。確かに大人にも原因はあるんだけどね。まあ、それでも踏み外さない子供もいるんだろうから、大人こそが悪いというのは短絡的か。それでも彼が少しずつ、ドツボにハマっていく姿は、どうにもやりきれない。どこかで歯車がかみ合えば、いくらでも違った道が歩めたはずだと思いたい。 少なくとも近しいなら判ってやってほしい。

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 それはそうと、蠍座のコーヒーは気分をほっとさせますね。マグカップ入り250円。クッキーなんかも売ってるし、小腹がすいているときにはいい。オレンジやアプリコットなんかのミニケーキもある。 ぜひお試しを。


ボナペティ

2009年12月25日 15時47分52秒 | 映画

1007815_01  「ジュリー&ジュリア」24日、札幌劇場

 ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は185センチの長身と甲高い声を持ち、テレビでも有名になったアメリカの料理研究家。1949年、外交官の夫ポール(スタンリー・トッチー)とパリに住むが、何かに挑もうと思い立ち、名門料理学校コルドン・ブルーのプロ養成クラスに飛び込む。一方、それから半世紀、ニューヨークで公共機関の苦情係で働くジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は友人たちがどん004    どん活躍していくのに少し焦りを覚002えていた。そんな時、ブログを立ち上げ、ジュリアの著した料理本の全レシピを1年で制覇し、掲載することを決めた。うまくいかずに夫婦げんかで、夫エリック(クリス・メッシーナ)が出ていくこともあったが、何とかこなし、そのブログの評判は上がり、編集者が取材したいと言ってきた。

 ノーラ・エフロン監督・脚本の最新作。料理とは、心を豊かにさせてくれるマジック。そこに他人から認められること(この場合は本やブログなのだが)がプラスされる。元々料理という行為も、アイデアを形にして、他人から批評される。それが悪ければ落胆、良ければ天にも昇る心地というシンプルな話なのだが。メリル・ストリープとエイミー・アダムスの二005人の女優が半009世紀を超えてどう結びつくか。旦那たちもなかなかの好演。最高!とは言えないかも知れないが、かなり良い映画だ。

 決まり文句は「ボーナペティ」(さあ、召し上が  れ)。サタディナイトライブでもダン・エイクロイドが彼女のマネをしていて、ジュリー夫妻が居間でDVDを見ているシーンがある。

 良い台詞を探してみると、こんなのがある。「あなたは私にとって、パンにとってのバターのような存在だ」。ジュリーが010エリックに感謝の気持ちを伝えるシーンでも似たようなことを言う。フランス料理にはバターがつきもので、おいしさの秘けつにはバターが必ずあるという趣旨のことをジュリアも語る。この映画は単に女性二人が主役だけではなく、その連れあいにもうまく、適度に焦点が当たる。夫婦の仲の良さはどちらも子供がいないだけにストレートではある。ストレートといえば、ジュリアが鍋から筒状の乾物をゆでて、取り出すシーンのコメントは驚いたが。いずれにしてもスタンリー・トッチーの夫役はさすが。

 映画で紹介してい008る料理は結構素材自体も大変そうなのが多いが、簡単に出来る007のはまずブルスケッタ。オリーブオイルでバケットを焼き、トマトや焼き野菜をたくさんのっける。これはうまそうだ。ワインに絶対合う。子牛のワイン煮をつくった時は、野菜スティックもあった。かなりの量と種類だが、スティックをつけるあのソースが知りたい。クリームチーズ系のディップだろうと推察されるが。うちでは味噌マヨネーズなのだが、まさか向こうで味噌はないだろうけど。いずれにしても、ワインやマティーニなんかをたくさん飲んでいて、うらやましいね。 


風変わりな告発者

2009年12月24日 00時50分51秒 | 映画

「インフォーマント!」21日、札幌シネマフロンティア

 イリノイ州の大手穀物商1007885_01社で働くウィテカー(マット・ディモン)は生化学の博士号を持ち、33007歳にして重役、工場をまかされてうた。だがある日、工場でウィルスが発生。日本企業によるスパイの存在を臭わせると、FBIがやってきた。彼は捜査官に会社が違法な国際価格カルテルを結んでいると告白する。一方で、彼は巨額の横領も働いていた。

 ちょっと、なあ。マット・ディモンと企業告発と来れば、かなりのサスペンス調かなと思ったのだが、緊張感なんてない。確かに告発はするのだが、一方でかなりの額を横領して、抜き出している。そこに自己保身が生002まれ、捜査で偽りの自分を演出する。結局、小出しに罪を出して004いくのだが、どうも変わった性格なのか、いやだれでも考える主張なのか。とにかく最終的には自分の罪を軽くするよう取り引きしようとして、告発者としての保護を求めるのだが。もっと違う作りにしてほしかった。 教訓めいたエピソードもなく、ちょっとがっかり。失敗?  折角、味の素、協和発酵といった名前が出て昔の事件を彷彿とさせるのだがね。


これも放浪記

2009年12月24日 00時49分36秒 | 映画

「童貞放浪記」21日、蠍座1007181_01

  東大大学院を卒業し、国文学の講師として大学に勤め始めた金井(山本浩司)。ひたすら勉強に励んできたせいか30歳の今、女性経験は無かった。大学院の後輩の北島萌に再会し、話が弾んだ…。

 「もてない男-恋愛論を超えて」の比較文学者・評論家、小谷野敦の自伝的小説を映画化。監督は小沼雄一。

 コミカルと言えばコミカル。まあ、面白いけど、草食系からはさもありなんと歓迎される? 肉食系からは歯牙にも掛けられないというか、勝手にせいといったところか。ストリップ小屋のシーンは笑える。グラドル神楽坂恵が相手役に 出演。酔っぱらって絡む同僚教員に堀部圭壱、妙にリアルだ。


次第に判明

2009年12月24日 00時48分42秒 | 映画

「行旅死亡人」21日、蠍座

 ノンフィクション作家を目指す24歳の滝川ミサ(藤堂海)は、作品もなかなか書けず、スー1007822_01パーでアルバイトをしていた。ある朝、彼女の名前を名乗る女性が重病だという奇妙な電話がかかってきた。友だちの丸山アスカ(阿久沢麗加)と病院を訪ねると、そこには前に勤めていた出版会社の先輩女性(長宗我部陽子)がいた。そしてほどなくして、彼女はがんで亡くなった。

 行旅死亡人とはKoryo_new1身元不明の死者を意味する。ミサが調べると、彼女は次々と1007822_02相手になりすまして生活していた。そして、話が展開され、次第にその動機が判明するのだ   。

 日本ジャーナリスト専門学校が手がけた映画。監督は井土紀州。どうも素人っぽい演技、映像だが、それはそれで狙いはしっかりしているので、飽きない。次第に引き込まれると言っては言い過ぎかも知れないが、一生懸命さが伝わる。


話に深みがない

2009年12月19日 20時17分32秒 | 映画

1007756_01  003   「パブリック・エネミーズ」19日、札幌劇場

 1930年代前半の大恐慌時代のアメリカ。ジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は銀行から金を鮮やかに奪い、捕まっても脱獄を繰り返してきた。銀行は襲っても弱者からは奪わず、誘拐もしないなど独自の美学を貫いていた。彼はフランス人の父とインディアンの母の間に生まれたビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)との006出会い、互いに惹かれる。一方、FBIはは、フーバー長官の下、社会の敵ナンバーワンとしてデリンジャーを追い掛け。シカゴ支局長にはメルヴィン・パーバス(クリスチャン・ベイル)を充て、じわじわと追い詰めていった。

監督はマイケル・マン。

 ジョニー・デップは感情を出来るだけ閉じこめて演技していただけに、ビリーが捕まったときの動揺したシーンはとても狂おしい。だが全体に素敵な衣装、完璧なまでのセットをみてもどうも個人の描き方が底が浅いというのか、あまり元々描く気004がなかったのかとも思えるほどだったが。銃撃シーンも含めて面白いのだが、どうも感情移入できない。別に退屈ではないのだが。クリスチャン・ベイルとの対決も、直接対決があまり面白くない。もっとバチバチした感じが出てこないものか。ジョニー・デップの表情を見るのはそれはそれで楽しいのだが、それだけに終わったのは残念。だいた002いなぜ、デリンジャーは強者=銀行を挫こうとしたのか? 人気取りの気持ちからだったのか? 金がどんだけほしかったの? なぜさっさと逃げなかったのか? いろいろこの時代の背景描写が必要だったのかも知れないが、物足りない。恵まれない生き方をした二人対当局の構図は少しは理解できるんだけどね。


風船野郎

2009年12月18日 20時16分59秒 | 映画

「カールじいさんの空飛ぶ家」18001日、ユナイテッド・シネマ札幌004_2013

おじいさんとおばあさんの話は、胸に詰まるというか、どうも悲しくなってしまう。人はいずれ死ぬんだけどね。どうも気持ちが前向きになれないというか、あまり明るい気持ちでは見ら002_2れないストーリーでした。逆に言うと、人生の酷薄さを見せ付けられたのかも知れない。画像はとても綺麗で気持ちがいいんだが。

犬の通訳首輪、あれいいね。バウリンガルですかね。複葉戦闘機の操007縦桿が骨だったのは笑った。

それはそうと、あの風船おじさんはどうしたんでしょうね。    


引っ張る力

2009年12月18日 20時15分38秒 | 映画

09082302_inglourious_basterds_00014  「イングロリアス・バスターズ」17日、ユナイテッド・シネマ札幌

 いきなり「GREEN LEAVES OF SUMMER」。ジョン・ウェインの「アラモ」の主題歌だ。昔、学生時代、飲んだくれて、よくこの曲を「ジェリコ」でリクエストしたものだ。カウンターにうっつぶして、目を赤くして聴いていた。そう、ハンプトン・ホーズのレコードだ。彼は麻薬で収監され、この1964年録013_2音のコンテンポラリー作品で復活する。バド派ではあるけど、かな003_2りのブルース調。ほんのちょっと遅れ気味な右手がいい。

とまあ、映画とは直接関係がない話で始まったが、タランティーノの相変わらずな殺しのシーン。頭をはいだり、バットで撲殺したり、女優を間髪入れず絞殺したりとやりたい放題。面白いかって?確かに一筋縄でいかない物語の流れは観客を引っ張っていく。もちろん馬鹿馬鹿しい部分もあってだが、やはり面白いのは確かだ。21b93y5j1ml__sl500_aa130_005リストフ・ヴァルツが扮するゲシュタポの大佐がいい。最初の農家でのシーンは息詰まる。居酒屋のゲームも、なんて言うか薄気味悪さがあり、うまい。タランティーノの人間の観察のたまものだろうか。

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雨に濡れた程度さ

2009年12月16日 21時09分35秒 | 映画

「銀色の雨」16日、蠍座

  鳥取県米子市で、高校1007802_012年の和也(賀来賢人)は父親を  知らずに育ち、今では新聞配達店で住み込みのアルバイトをしていた。しかし店主と衝突し、そのまま店から逃げ、家出した。東京へ出ようとしたが、米子駅に着くと、旧知の菊枝(前田亜季)に偶然出会う。菊枝が男に絡まれているのを元日本チャンピオンのボクサー章次(中村獅童)に助けられた。彼女はスナックで働いていて、和也は彼女のマンションに転がり込んだ。翌日の夜には、章次も菊枝の部屋1007802_03に来た。一方的に殴られた章次を菊枝が連れ帰ってきたのだ。3人の奇妙な共同生活が始まった。実は和也の父もボクサーで章次と因縁浅からぬ関係があった。

 浅田次郎の短編小説が原1007802_02作。監督は鈴井貴之。

 時々降る雨が、どうしようもなく強ばった心を癒す。和也につらいことが起きた後、章次も菊枝も「雨に濡れたと思えばいい」と心を軽くして、前向きに生きるよう促す。実人生はそう簡単ではないけど、はっとさせられる。俺はいつも土砂降りだけど。

 全体に初めは素人っぽいつくり。台詞回しもごつごつしてるのだけど、中村獅童が出てくるようになると、少しずつ締まる。さすがだ。米子、境港など何か懐かしい風景が心地よい。


理想と現実の狭間

2009年12月15日 21時04分51秒 | 映画

「理想の彼氏」15日、札幌劇場

 専業主婦のサンディ(キ002ャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は夫の浮気で、40歳で離婚。2人の子供を連れてNYへ出て、スポーツ・チャンネルに就職を決めた。一方、大学は出たもののいまだに両親の家で暮らすアラム(ジャスティン・バーサ)は25歳1007825_01で、グリーンカード取得を目的としたフランス娘との結婚が破たんし、就職もままならない。サンディが住む家の一階でコーヒーショップで働くアラムだったが、サンディにベビーシッターとして雇われる。やがて年齢差を超えて恋に落ちる。

 監督のバート・フレインドリッチは、ジュリアンムーアの年下の夫。今回は脚本も書いている。

予告編ではハッ003ピーエンドな展開で、どこに深みがあるのか、と思っていたのだが。うまくいっても一筋縄ではいかないという、現実感覚をうまく生かした展開。再びシングルマザーの道を歩み、キャリアステップしていく女性と、圧倒的な経験のなさを克服しようと世界旅行に出る男。最後は再会するのだが、果たして二人はどうなるかって感じで終わる。うーん、明るくないね。むしろ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの素の魅力が好ましいと思う映像が多いのだが、ハッピーな感じはない。ある意味、これがリアルなのだろうか。暗いね、結構。

エンドロールでホール&オーツの「エブリタイム・ユー・ゴー・アウェ006イ」がかかる。こんなような歌だ。

君が行ってしまうたびに、僕は悲しみにうちひしがれる。

君が行ってしまうたびに、魂が抜けたようになる。

どこへでも自由に行くがいい。離れてみたら少しは分かるかも知れない。

分からないか、僕と幸福をつかめることに気付いてほしい。

 こうなると、もちろん男の側からの歌だ。果たして女性はどう見るのか。おい、後ろのおばさん3人。始まってからは静かだったが、それまでうるさかったな。かしまし娘か。   


毎朝新聞

2009年12月13日 02時04分07秒 | 映画

091221_021 「影なき声」13日、蠍座

   毎朝新聞の事件記者石川汎はある日一人の婦人を見て首をかしげた。その婦人は三年前、毎朝新聞社の交換手をしていた高橋朝子(南田洋子)は交換手時代に誤って殺人犯人の声を聞いてしまった。事件は迷宮入りしたが、彼女は小谷茂雄(高原駿夫)と結婚し、つましく暮らしていた。茂夫は大東京広告社で浜崎社長(宍戸錠)の部下として働くことになった。自宅で、薬局の川井(金子信雄)、ビリヤード屋の村岡(芦田伸介)、そして浜崎とマージャン接待を重ねた。ある時、朝子が来るのが遅い浜口に催促の電話を掛けると、その声は例の犯人の声に酷似していた。そして茂雄が浜崎と喧嘩をして血だらけで帰って来た。浜崎は郊外で死体となって発見され、茂雄は警察に捕まった。朝子に会った毎朝新聞の記者石川汎(二谷英明)が、調査に乗り出した。

 1958年、日活。松本清張の短篇推理小説「声」の映画化。秋元隆太、佐治乾の共同脚色。鈴木清順監督。永塚一栄撮影。音楽は林光。

 南田洋子はやはり可愛らしい。この頃は本当に神々しい。時にオーバーな感じがするが、このころのミステリーは結構オーバーアクションでもあろう。いずれにしても、惜しい人を亡くした。合掌。

 毎朝新聞は活気があって、いいね。ニュースと一緒に生きているというのは、本当に素晴らしい。離れてみると、よく分かる。近藤宏が二谷英明に「ぼくはあなたを尊敬していたけど。どうも枕の臭いがするんだよな」って南田洋子の間を勘繰り、それが故に、殺しの犯人が南田洋子の夫ではないのだと二谷がみるのは近視眼だよ、っていう内容なんだが。デスク役に内藤武敏。景気良く伝票を切って上げてるね。最後の謎解きが少々詰まっているというか、説明的にドタバタした感じなのが残念だが、とてもいい映画だった。芦田伸介が何ともしょぼいのがかわいそうな気もしたが。重要なチンピラ役に野呂圭介、刑事に高品格など。

 最初のシーンには般若の面を強調させたり、耳のアップ、宍戸の眼、宍戸がどこにでも登場してしまう南田が怖がって見た夢のシーンなど、サスペンス色、ドキドキ感は増す。斜めのフレームなど、清順監督独特の美意識も垣間見ることができる。