1974年8月7日、23歳のフランス人フィリップ・プティはニューヨークにある2つのワールドトレードセンターの間に張られた綱の上を綱渡りたのだ。6年前に雑誌でツインタワー建設計画について読んで以来、彼はこの計画を遂行しようとしてきた。
2008年度のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞。なかなか人を引きつけるドキュメンタリーだ。今では無くなっているタワーではあるが、関係者へのインタビューや再現映像を交え、詳細に語る。ただでさえ、綱渡りという息をのむ事柄が、その異常な高さ(411メートル)の上で行われることで、見る者の鼓動は高まり、そこまで行くまでの準備の話題も否が応でも興奮する。センターの警備員との攻防がなかなかなのだ。本人や手伝った関係者は確実に逮捕されるというリスクもある。容疑は住居不法侵入と騒乱の罪?ゆえに「史上もっとも美しい犯罪」と言われたそうだ。
それにしても、綱の上で座ったり、向きを変え8度往復したそうだ。くらくらする。そして、幻想的でさえある。また、これを境に関係者の人生が変わってくるのが、一般人からすると何とも怖い。