家族で観劇。会場は満員。やはり生で見るのは迫力ある。動物のマスクを顔の真正面ではなく、上部などに移動させることで、俳優の表情も見える。なるほどそういう具合かと感心。人形の動きもうまく俳優の動きと連動して無駄がない。よく見ると手足の動きはそれだけに忙しいし、熟練が必要なんだろう。台詞はなかったがヒョウの動きが頭と連動して面白
かった。
ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァの2人組が何とも愉快な掛け合い。北海 道弁「…べや」「…でないかい」などのオンパレード。池田英治(富良野出身)、川辺将大(旭川出身)という二人が1年がかりで台詞を考えたのだそうだ。「ザンギみたいな味」とは食べた虫の味の表現で、会場は笑 いに包まれた。ほかにもシンバを含めて道産子の役者が出ている。
話の筋は至ってシンプルで、子どもにもよく分かりやすい内容。もうひとひねりあってもいいとは思うが、この内容でも結構な休憩を含んで3時間かかる。演じること表現することの素晴らしさ、舞台装置の彩りなど、普段見れない世界を楽しむなら、筋立ての内容はこの際、こだわらない方がいいかもしれない。それだけ、大人にも子供にもという万人向けの楽しさが満喫できる。
劇団どくんご「ただちに犬Bitter」29日、円山公園
埼玉大・衛生短大演劇研究会を母体に1983年に発足した劇団。現在は鹿児島に拠点を置き、全国にテント芝居を打っている。東京にいたころ会社でアルバイトをしていた遠藤君が参加しているということで、同僚から是非見に行ってやってほしいと言われ、家族で見に行った。
円山公園のゲートボールかなんかをやる場所だろうか、テントが張られ、初日は約50人ほどの観客が入った。巨大な犬のぬいぐるみをめぐり、男女6人の出演者が犬を死体だと見なして犯人捜しをする。犯人を捜しながら、出演者の過去が暴かれる。酔っぱらいの親父、太った女、怒髪天を突く女、おばあさんに女装した男、声の大きな妄想男、そして「マルコや」と叫ぶおかしな女。切れのいい全員の踊りも見せるが、そこはやはり個人の力量が試されるような一人一舞台。舞台後ろのテント部分を外し、観客は公園を横切る市民の姿を借景のように取り入れたり、実際に出演者が公園を舞台のように走り回り、全面が舞台であるような仕掛けを施す。
それにしても筋を表現するのは難しいのだが、そんなことよりも異空間に役者と一緒にいられ、熱気にほだされるのはまさにひとときの幸せ。家族の感想共々2時間ちょっとは長かった。でも、テント芝居という非日常を満喫しました。 ああ、口に綿を詰め、子供っぽい口調で「マルコ」と呼び掛ける声が聞こえる。
右の写真は開演前の様子です。
ブルーマンとはなんぞや。1980年代後半、ニューヨークの路上でストリートパフォーマンスを始めたという。アート、ミュージック、コメディの3つが融合している。とにかく、青く塗りたくった顔と頭部で、一言もしゃべらずに動き回る。空調のダクトをたたき音楽にしてしまう。ペンキのような色水が飛び散る大鼓、シリアルの食べる音もリズムに乗って楽しい。マショマロのような食べ物を遠くから口でキャッチする。ロックなどの音楽を自由にバックにして、現代アートの雰囲気を持つ。時にはギャグっぽく、時にはまじめに。
会場に乗り込んで客と一緒になるのも、ストリート出身だからだろうか。最後には、
後ろからトイレットペーパーのような白い紙がとどめなく出てきて、ステージへ向けて手渡しされる。会場は一つにならざるを得ない。会場を一体化させる仕掛けがうまくできている。と、言葉で書いてもなかなかわか
りにくいかな。やはり観なくっちゃね。
「大奥」22日、明治座
風邪で病院に行った後、映画を見ようと新橋に行った。そこで、偶然安売りチケット屋をのぞくと、指定席1万2千円のが2 千円で売り出されていた。午後4時からで、あと20分ちょっと。エイヤっと買って急いで行く、4時2、3分に入る。
出演は浅野ゆう子、安達祐実、中山忍、金子昇、松尾れい子、鷲尾真知子、山口香緒里、久保田磨希、羽場裕一、江波杏子
フジテレビのテレビドラマが映画なり、次には舞台になった。ドラマは見ていないが、浅野が堂々とし ていいのだが、心のひだのようなものを見せる演技かどうか、少々物足りない。もともと舞台での脚本では無理があるのか。やたら鷲尾ら3人の「スリーアミーゴーズ」 が出てかき回すのだが、少々飽きるぞ。安達祐実は元気があっていいが、それ以上はないし。夕方からなので、女性9割以上と言う感じで結構、入っていましたが、正価ならわざわざ見に行くほどのものではないと言っておこう。そう、きらびやかな舞台、華麗な衣装、あの「大奥」を見にあの明治座へ行ったんだよといえるのは悪くないけど。感動がない舞台って久しぶりに見た。人気らしいので、それはそれでいいが、2千円で見れたからって私を羨ましがらない様に。
20日夜、教育文化会館で。1922年(大正11年)に郵便逓送の最中、吹雪の中、35歳で殉職したアイヌ民族吉良平治郎を描いた芝居。昨年夏に、釧路の市民劇として発表されたもので、今回は札幌に出張公演してくれた。和人からのアイヌ民族への差別、その一方で彼の死が忠君愛国に利用されてしまうという悲劇。社会の中では、小さくひそやかな存在ではあっても、家族と仕事を大切に前向きに生きるという、どんな時代でも尊ばれる姿が丁寧に描かれていた。もちろん、差別の問題もはらみながらだが。芝居自体は観念的ではなく、市民劇という手作りの良さを残しながら、声高ではない歴史への再評価は十分に成功したのではないだろうか。内容は分かりやすく、一緒に行った小6の娘も満足していました。ちなみに会場は椅子に座れない人も出て、超満員でした。