夫を早くから亡くした吟子(吉永小百合)は小さな薬局を女手一つで切り盛りしながら長女小春(蒼井優)を育て、義母の絹代(加藤治子)と3人で暮らしていた。小春とエリート医師の結婚が決まったが、結婚式は大変なことに。披露宴に吟子の弟鉄郎(笑福亭鶴瓶)が現れたのだ。吟子の夫の13回忌で酔ってめちゃくちゃにして以来、音信不通になっ ていたのだが。そして、披露宴でも最初はウーロン茶を飲んでいたのだが。
山田洋次監督の10年ぶりの現代劇。市川崑監督の「おとうと」に捧げた作品だ。がんによる終末期医療の「ターミナルケア」などの問題提起もしっかりとある。
加藤治子の最近の演技は本当にぼけているかのような、何かもう切れ味が凄い。それが最後に生きた。これはうまい。お客は年配が多い。鶴瓶が亡くなるシーンが結構長いのだが、その間、お客は親しい人の臨終を思い返しながら見ることになる。鼻ずるずるになっていた。私もだが。
それにしても、人は何かの拍子にどうしようもなく、ずるずる落ちていくもんだ。もちろん理由があるのだろうけど。そんな時、温かい家族や親戚、友人の存在に気付くのだ。え、甘えるなってか。