荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

任侠西部劇

2008年05月23日 22時54分27秒 | 映画

  「荒野の渡世080601_015人」23日、浅草名画座

1968年、東映。高倉健、志村喬、佐藤純彌監督

 混血青 年ケン・カトウは、両親を虐殺した5人の無法者を追って復讐の旅に出た。目指す相手は、カースン、フランコ、ダンカン、チェッ080601_013ク、ビリー。ケンは馬を失って、牧場の一時雇いになって、そこで出逢ったのは忘れもしない一味のダンカンとチェックだった。ケンは素早くガンを抜いたが、それを阻止したのは孤独な老ガンマン、マービンだった。ケンに同情を寄せる彼は、ケンの腕では勝目がないと両者の間 に入ったのだった。

 これは珍品だ。任侠的西部劇だ。なんといっても、最初に志村喬の父親と外国人女性の母親が出てくる。つまり健さんは混血なのか。英語でしゃべっているが、字幕は出ず、テアトルエコーの面々が日本語に吹き替えした。最後のシーンでは、馬に乗って去る健さんを牧場の子供が「ケーン、カンバック」と叫ぶ。そう、シェーンのシーンだ。そうか、これはシェ080601_014ーンの焼き直しという訳か。何でもやらなければと健さんは感じたんだろうか。こういう作品をみんな観たかったんだろうか。このころは政治 的にも暑い季節だったけど。

  ちなみに健さんは子供ころはアメリカにあこがれて、小倉駐在の米軍将校の息子とボクシングが縁で仲良くなり、よく遊びに行ってたそう。英語も結構しゃべって、貿易商を目指して明大商学部に進む訳だ。高校時代に友人とアメリカ行きの船に密航しようとしたこともあるそうで、今はその友人は検察官になったという。国際派検事として知られる元名古屋高検検事長の敷田稔氏だ。

「日本暴力団 080601_011殺しの盃」1972年、東映 080601_010_2

鶴田浩二、丹波哲郎、待田京介、降旗康男監督

 一匹狼のプロの殺し屋一色宏治(鶴田)は、大阪太刀川組代貸の桜井好春(丹波)とは幼なじみで、組の客分となっていた。太刀川組組長要吉が、ある 日刺殺された。要吉によって育てられた宏治、好春は恩義に報いるためはやる子分達をなだめながらも秘かに復讐を誓う。080601_012

ふと思うのだが、二人は実生活では仲がよかったのだろうか。映画ではよく共演しているし、ここではかなり二人の友情が強く描かれている。鶴田と若山富三郎は仲が悪いという話だが。

「人が人を愛することのどうしようもなさ」2007年、新東宝

喜多嶋舞、永島敏行、竹中直人、石井隆監督

 人気女優として活躍する土屋名美(喜多嶋)。だが私生活では、同じく俳優の夫洋介(永島)と破局の危機を迎えていた。多忙を極める名美を横目に、洋介は若080601_001い女優と浮気し名美をさらに追い詰めていった。現在撮影中の新作では、洋介が名美演じるヒロインの夫役として共演。しかも、洋介の浮気相手の女優まで出演というスキャンダラスなキャスティングがマスコミの注目を集める。一方、編集者葛城(竹中)が名美にインタビューを試みる。

 うーん、分かりません。過激ですね。劇中劇がはめ込まれて、最後の刺殺シーンも含めて面白いと080601_022言えば面白いが。私はこの石井ワールド、勘弁してくださいという感じだ。


残響編

2008年05月21日 14時55分27秒 | 映画

080601_002   「人生劇080601_010場 飛車角」20日、浅草名画座

1963年、東映。鶴田浩二、佐久間良子、高倉健、村田英雄、沢島忠監督

 横浜の遊女だったおとよ(佐久間)と逃げた飛車角こと小山角太郎(鶴田)は、小金親分(水島道太郎)の計らいで深川の裏町に住むことになった。ある日、小金(加藤嘉)一家と文徳(沢彰謙)組は喧嘩になった。一宿一飯の義理を持つ飛車角は、宮川健(高倉)と熊吉を連れて文徳一家に殴りこんだ。そこで飛車角は文徳を刺し殺し、吉080601_005良常  (月形竜之介)と名のる老人に救われた。吉良常は一目見て飛車角に惚れこんだ。小金の弟分奈良平の計らいでおとよと逢った飛車角は、警察に自首、5年の 刑で前橋刑務所に服することになった。だが、その間、おとよは宮川と恋に落ちてしまう。080601_006

 尾崎士郎原作の「残響編」を直居欽哉が脚色。沢島忠の独特080601_007の躍動感あふれる畳み掛ける画面、それと長回し。長回しは最初に角太郎が出入りに行く際、おとよが「いや、いや、いや」と別れを忍んで部屋中を回るシーンが広角的に撮られているのが印象的だ。畳み掛けるといえば、最後の方の飛車角が出入りに向かう際、真正面から走るし様子を撮り、周りが「飛車角だ、飛車角だ」と声を重ね合わせるのは面白かった。無法松の一生みたいな畳み掛けを思い起こさせた。

村田の歌も、やはりというか、いいね。

「極道の妻たち 地080601_008獄の道づれ」2001年、東映ビデオ

高島礼子、とよた真帆、雛形あきこ、中尾彬、関本郁夫監督

 関東の極道が団結して連合組織を結成しようとしていたが、山背組組長代行の掛川(宅間伸)はこれに反対した。このため罠にはめられ、服役してしまう。掛川の留守を守る妻律子(高島)。ある日、妹分である美智留(雛形)の夫が殺され、同じ組の若頭補佐千田(草刈正雄)とその妻槙子(とよた)に容疑がかかる。そして組内で夫を除名する不穏な動きを知る。Mo0772
 高島礼子が主演する“極道の妻たち”新シリーズの第4作。大阪を舞台に、高島ととよたが女の闘いを展開し、最後は二人で中尾を倒す。

28年前の衝撃

2008年05月20日 21時42分28秒 | 映画

1006650_01     S006 「光州5・18」18日、札幌劇場

 1980年5月18日、韓国南西部の全羅南道の光州市。戒厳軍が民主化を要求する学生や市民と衝突した。タクシー運転手の青年ミヌ(キム・サンギョン)は早くに両親を失い、弟ジヌ(イ・ジュンギ)と暮らしていた。父親代わりでもあるミヌは、弟の成長を楽しみにしていた。一方、ミヌが想いを寄せる看護師のシネ(イ・ヨウォS002ン)は母親をS005亡くし、退役大佐でタクシー会社の社長をしている父親フンス(アン・ソンギ)との二人暮らしだった。衝突は次第にエスカレートして、ジヌは軍の銃弾に倒れた。

 商業映画としては初めて光州事件を完全映画化したという。キム・ジフン監督は長編第2作目。前年に朴正熙が暗殺され、全斗煥が軍を掌握する。この年の初めには金大中らが釈放され(ソウルの春)るが、5月17日に全斗煥が軍事クーデターを起こす。18日からの光州事件は一気に起こるのではなく、戒厳軍が撤収するという発表もあったようだ。しかし、約束は守られず、全く反対に力で押さえつけ、実弾発砲する方向にいってしまった。市民らも次第にエスカレートして、最後は道庁に籠城していくことになる。S004

 1980年というと、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」に代表される漫才ブームの年だ。ホームページには事件当時の朝日、読売の両新聞の報道も掲載されている。28年前にこういう経S003験を経てきた韓国、安保闘争は半世紀前となってしまった日本。考えさせられる。それにしても軍隊経験がある韓国の男たちは、さすがに銃の扱い方に慣れている。日本じゃ考えられないだろう。それはさておき、高校生がイ・ジュンギに似ていると思ったら本人だった。82年生まれだから高校生でも確かにできるわけだ。


完璧とも思える映画

2008年05月14日 23時37分46秒 | 映画

「駅 STATION」14日、浅草新劇080514場   

1981年、東宝。高倉健、いしだあゆみ、倍賞千恵子、降旗康男監督

 1967年1月 直子。 警察官の英次(高倉)は雪の降り続く銭函駅ホームで、妻の直子と四歳の息子義高と別れた。離婚を承諾した直子は動き出した汽車のデッキから英次に笑って敬礼するが、目には涙が溢れていた。英次は仕事との一方、オリンピックの射撃選手に選ばれ、忙080514_2しい生活が続いていた。英次の上司、相馬(大滝秀治)が検問中、連続警察官射殺犯に射殺された。五輪を前に、犯人を追いたい気持ちを押さえねばならなかった。テレビは東京オリンピック銅メダルの円谷幸吉の自殺を報じていた。

 1976年6月 すず子。 英次の妹冬子(古手川祐子)が、伯父の勧めた見合の相手と結婚した。英次はオリンピック強化コーチの傍ら、赤いミニスカートの女を狙う通り魔を追っていた。増毛駅前の風侍食堂につとめる吉松すず子(烏丸せつ子)の兄五郎(根津甚八)が犯人として浮かんだ。選手の造反のため英次にコーチ解任の知らせが届いた。すず子はチンピラの雪夫(宇崎竜童)の子を堕す。すず子は雪夫を兄に会わせたく、兄が隠れている上砂川へ案内した。そして、英次の前に吉松が現れた。

 1979年12月 桐子。 英次のもとに旭川刑務所の吉松から、刑の執行を知らせる手080514_4紙が届いた。四年間、差し入れを続けていた英次への感謝の手紙だった。英次は故郷の雄冬に帰ろうと、連絡船の出る増毛駅に降りた。風待食堂ではまだすず子が働いていた。雪夫は妻と子を連れ、すず子の前を通り過ぎて行ったく。船が欠航し、赤提灯に入った。桐子(倍賞)が一人でやっている店で、12月30日とあって客は来なかった。テレビでは八代亜紀の「舟唄」が流れた。大晦日、二人は留萌で映画を観て、二人は結ばれた。初詣で、ある男が桐子を見つめていた。英次が雄冬に帰り、そこで、十三年ぶりに電話をかけて直子の声11fpwekez4l_sl500_aa140_を聞いた。池袋でホステスをしているという。雄冬からの帰りに、桐子は札幌へ帰る英次を見送りに来ていた。事件があり、緊急配備された。英次の頭の中で手配写真と桐子を見つめていた男の顔が重なった。桐子が住む市営アパートでその男は、英次の拳銃で撃ち殺された。

倉本聰が脚本。健さんの50歳の誕生祝いに贈った本だ。撮影は木村大作。泣けます080514_3ね。「舟歌」も結構高い音で、倍賞は歌いにくそうだが、健さんに寄っかかってテレビを観るシーンはいいね。結局、人生とは男と女の話に尽きるものですかね。それにしてもあまた健さんの映画はあり、任侠ものは比較しにくいが、この映画こそほぼ完璧で最高峰と言えるのではないか。まあ、 男側から見ただけかもしれないが、非常に重い映画だった。円谷選手の話を織り交ぜる辺りは涙腺も緩むなあ。


うまい通り

2008年05月12日 01時31分41秒 | 

「千束通り」11日080512_006

うまい浅草新劇場から隣の名画座に行こうと思ったが、今日はやめた。自転車で北へ  。珍しく「ひさご通り」を抜けて「千束通り」へ。初めてなので、新鮮だ。シャッターを閉めている店も多いが、両脇に飲食店などが並ぶ。浅草5丁目まで行く。もうちょっと行けば三ノ輪や日本堤という地名だ。後で地図を見ると、土手の伊勢屋に近いところだった。最近読んだ児玉隆也の本に感銘して、来たかったんだが。この本の話は今度書こう。

 さて、腹が減ったのでどこにしようかと迷っていたら、通りからちょっ080512_007と入っていたところに中華屋。「広華」という名で、ドアにダニエル・カールが来て紹介したとか。上海風ピリ辛やきそば。840円だったかな。入ると、人がいなかった。うーん。しかも店主1人がジャージャー麺らしきものをカウンターで食べている途中だった。まあ、やめるのも忍びなく。ピリ辛焼きそばを注文。ついでに紹興酒一杯。砂肝の軽い突き出しもついてきた。焼きそばは、麺がうまい。えびや鶏肉などのほか、野菜も豊富。ただ、まずくは080512_005ないが、凄いうまいというものでもない。これで1500円ちょっと。紹興酒はたしか一杯500円もしなかったんで、突き出しはいくらか取ったのかな。やっぱり、はやっている店の方が良かったかな。そういえば店主は焼きそばを出した後、私に関係なく、麺をずるずるしていた。だが、怒らないほうが健康にいい。080512_004_2店選びを失敗したと思えば腹立たしいし。

 後で調べると、この店は本所吾妻橋にある店が1号店で、ここは二つ目の店だとか。他のブログでは結構ほめられている。うーん、メニューの選び方が悪かったのかな。紹興酒もボトルで頼んだ方がかなり安かっ たようだ。何人かで来て、味を見たほうがよかったのかも。それよりちかっくにある店ものぞ いてみようか。

 それにしても、通りから少し東に入ると、やーさん風の立派な車が結構あった。札幌で言えばすすきのから中島公園周辺の感じか。うなぎ屋もあったし、また今度来よう。と思っていたら、鳥肉専門店があった。途中並んでいたのを見てどんな店だろうと思ったが、焼き鳥も売っていて、鳥一本180円、レ080512_001_2バー140円。これらを買って大葉を 鳥肉で巻いて揚げたのが100円でくわえて帰った。これも後で調べると、「竹松商店」 といって有名らしい。手羽も買ったのだが。これは手羽中(手羽の太い部分)が名物なのだとか。すごいというわけでもなかった080512_002が、いい色出してるね。昔は肉屋の店先に回ってるローストが食べたくてね。思い出した。

 言問橋をわたって帰る。途中桜橋まんじゅうや  お団子・小梅団子を買って帰る。「埼玉屋小梅」。この辺りは小梅町といってたらしい。あまり甘いものは買わないのだが、お土産のレパートリーを広げるためにね。桜橋の方には有名な桜餅専門店があるらしいのだが。今度行ってみよう。

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音なしの構え

2008年05月11日 22時35分15秒 | 映画

「大菩薩峠」11日080507、浅草新劇場

1966年、東宝。仲代達矢、新珠三千代、三船敏郎、佐藤慶、加山雄三、岡本喜八監督

 幕末、甲州裏街道(青梅街道)の大菩薩峠で、巡礼中の老人(藤原釜足)が机竜之助(仲代)に意味もなく斬殺される。共に巡礼していた孫娘お松(内藤洋子)は、通りがかった盗賊七兵衛(西村晃)に助けられる。竜之助は、峠のふもとの武州沢井村の沢井道場の若師範。御岳神社の奉納試合で甲源一刀流の師範宇津木文之丞(中谷一郎)と立ち会うことになっていて、宇津木の妻お浜(新珠)は妹と偽って竜之助を訪ね、試合に負けてくれと懇願する。竜之助は承諾するふりをしてお浜の操を犯す。試合は竜之助が51mj29pjdcl__sl500_aa240__2文之丞を殺し、お浜を連れて江戸へ出た。文之丞の弟の兵馬(加山)は島田虎之助の門下となり、互いの素性を知らず試合を行う。後に、兵馬から果し状を受け取った竜之助は、お浜をいさかいの末に切り捨て、兵馬との試合をすっぽかし、新撰組に居場所を求めて京都へ向かう。しかし、竜之助は、芹沢鴨(佐藤)と土方歳三の争いに巻き込まれる。

 凄い。今日映画館で観たことは僥倖である。 ご存知中里介山の同名小説が原作。これまで机竜之介は片岡千恵蔵、市川雷蔵がやっているそうだが、仲代の狂気ぶりは素晴らしい。音なしの構えから繰り出される妖剣は、2時間で94人を殺した(のだそうだ)。長大小説の最初の部分だが、十分見ごたえがある。最後の斬り合いのシーンは息を呑むしかない。上映中ふと仲代ってオーラが凄く、共演者も大変だろうなあ、と思っていたら、星由里子が「彼はロックスターみたいに感じる。彼が来ると空気は張り詰める」というようなことが他のDVDの書き込みにあった。うーん。然り。そのほか三船の立ち回りも、西村晃の気味の悪さも、いい味だ出して080507_2いる。橋本忍が脚本。

 仏教的な意味を込めたせりふも少なくなく、片岡、市川との比較も含めて、もろもろのことを思い起こさせる。これも縁であろうか。

「斬り込み」1970年、日活080507_9_2

渡哲也、扇ひろ子、藤竜也、沢田幸弘監督

 郷田組のシマである川崎。関東の一大勢力、関東連合会が触手をのばした。露骨な挑発に郷田組の直人(藤)、雅美(沖雅也)、次郎(岡崎二朗)、猛(森健次)らは連合会の者を刺殺してしまい、連合会大幹部の椿(青木義朗)は郷田組々長植松に翼下に入ることを強要する。若者頭の花井(郷鍈治)は直人たちに斬り込みをけしかけるが、連合会に組を潰ぶされ復讐に燃える080507_11_2庄司新(渡)が軽率さを戒める。今度は椿が郷田組に乗り込み、植松に引退した郷田殺しを命じた。悩んだ末、仕方なく直人は郷田(中村竹弥)を刺殺する。

 永原秀一の  脚本を監督昇進第一作の沢田幸弘が監督。人斬り五郎ではないが、渡が恨みを募らせる。それよりも郷田組の鉄砲玉の4080507_8人と幹部の郷の青春群像劇ともみることができる。郷は中間管理職のつ080507_10_2らさを見事に体現するのだが、何ともつらそうだ。関東連合会の殺し屋に曽根晴美も登場、渋い演技でいい味出している。そのほか杉良太郎もちょっと出ている。それにしても青木義朗ってこの時代の背広系やくざものでは、本当に嫌なやつの演技がうまい。家族は大変だろうなあ。

「男はつら080507_3_2いよ 望郷篇」1970年、松竹

渥美清、長山藍子、井川比佐志、山田洋次監督

 寅さんは旅先で、おいちゃんが病気で倒れる夢を見てそのことが気にかかり、故080507_7郷の柴又に帰ってくる。おいちゃんの竜造は、暑さで横になっているが、電話で伝えた冗談を本気にして寅さんは葬儀屋まで集めてしまう。そこで大喧嘩。次に舎弟の登(津坂匡章)が、昔世話になった札幌の竜岡親分が重病だということを知らせに来た。寅はさっそく登を連れ、札幌へ。病院では今にも親分は死にそうで、昔、函館の旅館の女中に生ませた息子を探がしてくれと頼むのだった。寅さんと登は小樽の機関区で働く息子(松山省二)を探がし出したが、「今さら親子などと虫がよすぎる」という言葉を聞く。病院では親分は息を引きとり、やくざ渡世の末路を思い知らされる。寅やくざ 稼業から足を洗おうと、登を田舎に帰し、再び柴又へ。地道に額に汗して働こうと誓った寅さんは、浦安の豆腐屋に住み込みで働くようになる。店は母親と娘の節子(長山)の二人暮し080507_6で、寅さんは大いに働いていた。だが、節子には国鉄機関士の恋人木村(井川)がいて、結局、寅さんは失恋してしまう。

 画面は薄くピンクがかり時間の経過を教えてくれる。38年前だものなあ。当時の080507_5札幌、小樽。古ぼけた病院、木造の家、木賃宿、蒸気機関車。銀山や小沢の駅が登場する。寅がなぜ浦安に行ったかと言うと、小船で昼寝して江戸川を流されて着いたらしい。結構近い080507_4といえば近いようだ。とにかく懐かしさが沸く作品。第5作だが、第1作目から丸1年で、まだ満男役の中村はやとは赤ちゃんだ。


また観たがなかなか良い作品

2008年05月07日 00時47分36秒 | 映画

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1971年、東映。鶴田浩二、高倉健、藤純子、菅原謙次、山下耕作監督

 親を失った竜吉(鶴田)は、同じような境遇の音次郎(菅原)と一緒に大阪石浜一家の親分幸作に拾われた。竜吉は若衆頭に、音次郎は代貸となっていた。幸作は竜吉を二代目に考えていたが、一人娘澄子は音次郎に想いを寄せていた。ある日、石浜一家に、堺の塩見一家と富岡  一家の出入りの調停が持ち込まれ、病床の幸作の名代として音次郎が立ったが、富岡一家がこれを蹴った。面子を傷つけられ 080512_011 、竜吉は単身富岡一家へ殴り込み、富岡を斬った。しかし、久しぶりに娑婆に出てくると、様子がすっかり変わっ ていた。音次郎が跡080512_010_2目を継いだ石浜組は後見人前田(遠藤辰雄)が牛耳る関西侠友会に参画し、石浜組内も四国の小松(天津敏)らが幅を利かせ、岡村(水島道太郎)組に無理を言う始末。竜吉は音次郎を諌めるが否定される。そんな時、命の恩人(長門裕之)の妹由美(藤)に出会う。

 これは去年も観た。脚本は笠原和夫で、なかなか良い出来だ。歌はどうもいまいちだが。

「茶々 天涯080512_013の貴妃(おんな)」2007年、東映080512_014

和央ようか、寺島しのぶ、高島礼子、渡部篤郎、橋本一監督

 父浅井長政が信長の手で滅ぼされ、母のお市の方も自害してしまい、豊臣秀吉(渡部)にとらわれた茶々(和央)。二人の妹はそれぞれ嫁ぐが、残った茶々に秀吉の世継ぎを産むようにとの命が下される。復讐を胸に秘め側室に入る茶々だったが、秀吉の人柄に触れ殺意が消える。

 偉大なる歴史絵巻。信長の妹お市の子供である、茶々、はつ、おごう。浅080512_015井家の三姉妹の話は非常に興味が尽きない。和央は宝塚の男役だった俳優で、非常に堂々としていた。

「男はつらいよ 寅次郎春の夢080512_017  」1979年、松竹

渥美清、倍賞智恵子、香川京子、ハーブ・エデルマン、山田洋次監督

  帝釈天の境内を散歩していた御前様は、ベンチでふさいでいた外人を見つけた。英語の苦手な御前様は、さくらに頼んで満男の通う英語塾の女子大生めぐみ先生(林寛子)に来ても080512_016らった。彼女の話では、この外人はマイケル・ジョーダンと言い、ビタミン剤のセールスに日本へ来たが商売はうまくいかないのだそうだ。マイケルはとらやで世話になるが、そこへ寅次郎が帰ってきた。恒例の喧嘩となった。めぐみと母親の圭子(香川)がやってきてその場は収まったが、寅は圭子の美しさに、また恋の病がはじまった。

シリーズ24作目。名前がマイケル・ジョーダンとはすごいなあ。


山本の最期も

2008年05月07日 00時39分44秒 | 映画

080430 080430_3  「連合艦隊司令長官 山本五十六」6日、浅草新劇場

1968年、東宝。三船敏郎、黒沢年男、酒井和歌子、丸山誠治監督

  昭和14年。日本は日独伊軍事同盟をめぐり、陸軍を中心とする軍事同盟賛成派と一部良識派が対立していた。海軍次官山本五十六は、世界大戦突入を憂慮し、同盟結成を阻止しようとしていたが、皮肉にも連合艦隊司令長官に任命されてしまった。翌15年9月、日独伊三国同盟が調印された。山本長官は任務のために真珠湾奇襲作戦を立案した。

 須崎勝弥と丸山誠治監督が共同でシナリオを書いた。早期講和を目指し、真珠湾を攻撃したが、ミッドウェー海戦で大打撃を被り、道はたたれる。

 小学生の頃、この映画をテレビで観た。軍事同盟賛成派につけ狙われる一方、故080430_4郷の長岡で舟の上で倒立をするシーンはよく覚えている。当時、戦争物の本をよく読んで、開戦前に近衛文麿首相から海軍の見通しを聞かれ「半年や一年は暴れて見せますが、その後は分かりません」旨の返事をしたというのが有名だ。また、日米和平協議にかけていたが、その一方で早期講和を目指して緒戦でたたくべく真珠湾作戦を立て、単冠湾から船団を出発させるわけだが、途中で講和が成り立つかもしれないとして、講和がなったら、戻るように第一航空艦隊の南雲忠一司令長  官らに命じるが、 それは難しいと反発される。それをたしなめる言葉として「百年兵を養う080430_5は、たが為なりや。国を守らんがためなり」と語ったという。映画では草鹿竜之介参謀長が反発していたが、最後は理解を示していた。080430_6_2草鹿役は安部徹!だった。また、開戦直前に何度も幕僚に「間違いなく宣戦布告は時間通りにされるんだろうね」と念を押していたという。外務省の手違いで遅れてしまったのは有名な話だが。

 この映画では1943年4月18日のブーゲンビル島上空で、一式陸攻が米軍のP-38に撃墜され、戦死するまでを描いている。後半のガダルカナルなど南方の補給路が次第に絶たれていく様子は何ともせつない。

「霧笛が080430_2俺を呼んでいる」1960年、日活

赤木圭一郎、芦川いづみ、吉永小百合、山崎徳次郎監督

 すずらん丸はエンジンの故障で出航を延期し、船員は陸に上った。航海士杉(赤木)も酒場「35ノット」に行った。そこで乱闘になった。翌日杉は友人の浜崎(葉山良二)に会いに出かけた。しかし、浜崎は二週間前に突堤で溺死体になって発見されたのだという。当局は自殺と断定していた。だが、浜崎の妹ゆき子(吉永)は殺されたと思うと言った。刑事(西村晃)は浜崎が麻薬の売人であったと教えた。杉は浜崎の恋人美也子(芦川)と浜崎の溺死現場に行った。ロープは刃物で切られたことを知った。杉は他殺だと判断した。だが、その浜崎は生きていた。

 脚本は熊井啓。ミステリー調の展開だが、赤木のはつらつさはやはりいい。うーん、やはり観る者を引きつける。出たての吉永も出ているのが貴重だ。


よく並んでる店

2008年05月03日 01時54分27秒 | 

「土鍋ハンバーグ」1日

狸小路1丁目の「北080504_001_2斗星」

ここは昔、ダスジャンというパチンコ屋があり、よく行ったものだ。メニューは「ブラウンシチュー煮込みハンバーグ」「トマトソース煮込みハンバーグ」「辛味噌煮込みハンバーグ」「ホワイトシチュー煮込みハンバーグ」の4種が基本のようだ。ブラウンシチュー787円。を注文。この日はすぐは入れてのだが、よく並んでいる。列を成す理由はおいしいということもあるのだろうが、注文してから焼き始め、それから軽く煮込むので、時間がかかる。カウンターしかないしね。

 ブラウンソースがなかなかおいしい。煮込みという名前はあるが、結構ハンバーグもしっかりしている。焼き野菜もいい。丁寧な仕事ぶりは好感持てる。ご飯はお代わり自由なので、つい頼んだ。おなかいっぱいになりました。老若男女が来ていた。 込んでるので、昼食時間を外すほうが賢明だろう。簡単なサラダつきで、この値段ならお得だろう。


特撮多用の宮廷絵巻

2008年05月03日 01時53分05秒 | 映画

  「王妃の紋章」1日、S001札幌シネマフロンティア

 中国は五代十国から後 唐の時代。今は王(チョウ・ユンファ)と王妃(コン・S004_2リー)の間は冷え切り、 王妃は継子の皇太子と不義の関係を続けていた。しかし、皇太子は侍医の娘と関係をありもっており、王妃は二人を裂こうとしていた。重陽節を前に王家の人々は王宮に帰って来ていた。三人の息子のがそろった。しかし王妃は最近体調S003_2がすぐれないのを王が飲ませる薬のせいだと疑い、密偵を放ち、薬にトリカブトを入れていることを知る。密偵を務めたの は侍医の妻で、彼女は王と関係していたが、王は出世のために、彼女との関係をjを切って、顔に刻印したのだった。

監督は張藝謀(チャン・イーモウ)監督。絢爛な唐王朝滅亡後の時代を舞台の愛憎劇。多くの人間を配し、装飾を施した宮廷の絢爛さに目を見張る。時をS005_2告げる声と、煎じた薬を飲ます映像。様式美の極地でもある。「紅夢」のような真っ赤な行灯が非常に印象的だ。CGを多く使い、何千何万という兵士を描いた。この手の映像はよくあるが、だが迫S002_2力も満点。「HERO」や「LOVERS」で使った兵士の特撮もふんだんに見せる。

やはり、 面白い。浸ってみてればいい。ただ人の機微が類型的すぎてデフォルメしすぎて、分かりやすい分深みに欠ける。それに、特撮が多すぎる気もするがね。

「アニー・リ20071031030fl00030viewrsz150xーボヴィッツ レンズの向こうの人生」札幌劇場 

 世界中のセレブを被写体に活躍を続ける女性写真家アニー・リーボヴィッツ。彼女に迫るドキュメンタリーだ。輝かしい成功を手にした彼女が、女性として母として全力で生きる原動力を、被写体側へのインタビュー65e03a7fや撮影秘話などから浮き彫りにした。

 監督、脚本、製作はアニーの実の妹のバーバラ・リーボヴィッツ。

 子供は養子なのだろうかと思ったら、50過ぎてから出産したと  いう。本当なのかよく分からなかった。元気でパワフルなのはいいが、陰の部分が少ないのが気になった。まあ、世の女性たちが彼女の行き方を参考にするだけならいいが、真似されてもしようがない。恋人であった女性批評家スーザン・ソンタグについても、踏み込みが弱いし、綺麗に、都合よく描きすぎかな。

 でもまあ、ローリング28d7dcf1cdb2ccdbb1f1a45705e24e5b・ストーンズを追いかけ、オノ・ヨーコ、デ67df1e4dミ・ムーア、アーノルド・シュワルツェネッガー…。特に 暗殺の数時間前に撮影されたジョン・レノンとオノ・ヨーコ、妊娠中のデミ・ムーア、最近ではルイヴィトンのキース・リチャーズの宣伝写真はどうして撮ったのか、まあ純粋に前向きなことがうまく伝えられるという、コミュニケーション能力が高いのだろう。というしかない。