荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

スピリチュアル

2010年02月02日 18時10分50秒 | 映画

「ラブリーボーン」2日、ユナイテッドシネマ札幌

 スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は14歳。父母、妹弟と幸せに暮らしていた。好きな子からもデートに誘われ、これからという時1007893_01に、近所に住む男にトウモロコシ畑に作った地下の部屋で襲われ、殺されてしまった。父は犯人捜しに明け暮れ、母は娘を守れなかった罪悪感に苦み、家を飛び出した。スージーは地上と天国の間にいた。

 世界で1000万部を売り上げたアリス・シーボルトのベスト002セラーが原作で、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンとスティーヴン・スピルバーグが映画化。

 2時間半近いのだが、ずっと緊張を強いられるほど中身が濃かった。もっとも最後の終わり方にはどうも納得は行かないんだけど。彼女の遺体は出てこないままで、あの金庫が穴に落とされる際、感の鋭い少女が指摘するのか、それとも落ちる際に扉が開くのかと期待したのだけど。映画では「ラブリーボーン」の意味は「美しい骨」と訳されていたが、それは死者と生者とを結ぶ役割を持った存在ということがよく分かった。そして「死者は終結した自身の人生を受け入れ、生者は死者の分も幸せになることが使命だ」と語られる。少女は地上と天国の間で、言わば成仏しない状況にあったわけだが、少女から恨みが消えたのか、天国へと向かう。それこそが生き残っている者にとって、凍結したままの心が溶解した瞬間なのだろう。この最後のシーンは、まるで千の風のようにも見えた。私は最近亡くなった父のことを思い出していたけど。枷にならないというのは去っていく者の望みなのだろうが、ちょっぴり091209_lovelybone_sub5 寂しい思いもする。いずれにしても多様な解釈がなされる映画だ。091203_lovely_sub3

 こうした精神性を抜きにしてはこの映画は語れないだろう。ただし、それ以外は大量女性猟奇殺人事件の物語であり、ノンフィクション的な物語だ。犯人の秘密が明らかになるシ ーンはなかなか息詰まる。製作者の意図はスピリチュアルな部分とノンフィクション的な展開の融合なのだろうか。見る者はいろいろ評価を下すだろうが。

 シアーシャ・ローナンは「つぐない」で出ていた女優だ。あのときはちょっと嫌な役だったのだが(嫌に思わせるほどうまかったということか    )、今回はなかなかチャーミングだ。熱演だ。犯人はスタンリー・トゥッチ。あの「プラダを着た悪魔」ではおかまのようなデザイナーだったが、いつ見てもうまい。これじゃ、恨まれるぞ。両親役はマーク・ウォールバーグとレイチェル・ワイ003_2ズ。評価は様々だがスーザン・サランドンの祖母役も面白かった。ちなみに少女の部屋のドアにはデビッド・キャシディーの006ポスターが貼ってあって懐かしかった。

 エンドロールがやたら長い。それはVFX、CGを駆使しているから。たくさん関係者がいるからね。欧米人が考える天国を表現しているようだが、なかなかダイナミックな景色だ。スピリチュアルというか、聖書を持った人たちが出てくる番組を見ているような気さえした 。神や天国の存在を信じるかどうかはさておき、もわーっとした別世界の描写に驚く。面白かったのはボトルの中の船。岸に打ち上げられようとして、壊れるシーンは感心した。