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ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

コムスンという営利企業

2007-06-07 01:20:41 | Public
訪問介護事業最大手、コムスンの新規開業・事業更新が認められなくなった。今年2月に発覚した不正申請(決められた人員配置の未徹底、そのごまかしによる不正診療報酬の申請など)が、先月にも発覚。

そのときにも、すばやい「廃業措置」によってコムスンは指定取り消しを免れてきた。今回は、この不正行為が2006年の介護保険法改正移行のものであったので、この改正によって可能となった新規指定・更新の欠格という行政処分を下した。

展開されている2081事業所が、開設順に更新が認められなくなることによって、6年後に五分の一になる。訪問介護だけでなく、グループホームも事業に含まれている。

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追加ニュース、
コムスンの親会社であるグッドウィルは、コムスンのグループ内譲渡を発表。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070606it13.htm
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「介護保険導入に伴う営利企業の顔」として展開してきたコムスンの、事実上の大幅撤退。これが意味するものは何か。

制度的要因:
非常勤、短時間の雇用者が多く、オフィスワークでない訪問介護という事業の、「監査コスト」がこのような不正申請を助長した・・・?

コムスンが手がけている事業は、訪問介護だけでなく、訪問入浴、デイサービス、グループホーム等にも渡る。今回の不正行為発覚は、6件とも訪問介護であることは、訪問介護という事業形態の規制、自律の難しさを表しているかもしれない。

訪問介護という事業のリスク:
訪問介護があまりに儲かりにくいビジネスになっていることが、
不正申請の大きなインセンティブになった・・・?
ここで問題になるのは<2006年の改正が、本当に「施設から在宅へ」の流れを作り出したのか?>ということだ。
http://www.goodwill.com/gwg/pdf/20070606210128.pdf
ここにある、当期の急激な赤字化には、2006年の改正による「要介護度1→要介護度1、要支援1、要支援2」という分割(相対的に介護報酬の点数の少ない利用者を増やした?)が訪問介護事業にもたらしたものは何か。

グッドウィルという企業:
本業の人材派遣業と、介護サービス供給の事業との違いに、敏感ではなかったのではないか?
上記、グループ内の譲渡という「反射的行動」の要因は何か?
読売新聞のインタビューで厚生労働省の老健局は「利用者サービスを守るためなのか処分逃れのためなのか不明」と答えている。利用サービスを守ることでも、処分逃れでもないかもしれない―――今日の日経の夕刊、「コムスンの株価下落」への反射的行動に見える。



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「営利企業の顔」が信用と事業そのものを失いつつある。段階的にとはいえ、介護利用者と、そこで働いていた雇用者に大きな影響が出るだろう。グッドウィルの派遣労働者の請け負うサービスと介護サービスは違う。継続性と、そこから生まれる消費者関与がサービスの質を高めるというのが介護サービスだと思う。量的拡大と質の向上―――というジレンマの中で、厚生労働省も苦渋の判断だったのではないか。長期的には、不可欠であった決断だと言うことが出来るように、今後の介護市場の状況好転を、祈っているに違いない。