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ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

新聞業界に興味はありますか?

2009-11-29 00:52:06 | Private・雑感
「毎日新聞が共同通信に加盟」

http://www.asahi.com/national/update/1126/TKY200911260395.html
というのは、
一般読者にとって興味があることなのか、どうなんだろう。
朝日新聞は一面の肩で書いてましたね。
毎日新聞も、といってもこちらは当事者。
まあ全国紙、地方紙ともにみな当事者みたいな気分はあると思います。

大学時代の、純読者時代なら、あまり興味がなかったかも。
大学時代の友人たちに今聞いても、ニュース自体知らないかもね。
おおよそ日経しか読んでないだろうし。
大学時代も、話題になるのは日経だったし。

ちなみに、ネット上ではけっこう反応がある感じ。
研究者とか、金融マンとか、、たまたま私が読んでいる
やつが、かもしれないけど。
彼らが興味を持っているのは、やっぱりそういう上層部(?)
の人たちがこれまで、現在、新聞社のどこかしらとつながり
(たとえば取材を受けたことがあるとか、電話でコメント求められるとか)
があるからなんだろうな、と思う。

一般の読者が興味がないとすれば、新聞がいままで「新聞業界」という業界を
ほとんど報じてこなかった結果(効果?)でもあるのでしょう。(たぶん)
だから、今年に入って、朝日新聞が時折「Media Times」という欄で
「アメリカでの官僚の記者会見は」とか、
国内外のメディア業界を取り上げてるのは少しびっくりしていました。
・・・業界人(社内の人)にも考えてもらわんと、という
メッセージもあるのかもしれないなとか思いつつ。

新聞が新聞業界を報じてこなかった、というのに加えて、
新聞業界はニュースになるような動きがきわめて少なかった、
ということもあるのでは。きっとそこが一番、危機感を抱くべき所だと思う。

ニュースが載ってるとしても、どこそこが夕刊をやめたとか、印刷で提携したとか、
ほんとに小さい、しかも後ろ向きなニュースばかり。
経済面には耐えられないような、単純な話ばかり。

そんな中、日経が電子新聞にのりだす話は、数少ない前向きのニュース?
http://www.nikkei.co.jp/topic/ds/kiji02.html
一方で、「日々刻々と変わる情報を伝えるため、電子新聞では従来の朝刊、夕刊といった時間の枠にとらわれず、ニュースを常に最新の状態で提供する」という
点には、「24時間の需要に応えるための、24時間の生産体制」
つまり、仕事は大変になるだろうなと、恐ろしい気もしてくる。

いろいろ非難されて、その人たちのなかから革新的な
ビジネス形態が出てこないものかしら。

(追記)
革新的なビジネス、とまでは言わないけれども・・・
たとえば、今後人口が急増しつづけるというイスラム圏に
記者を重点的に配置するとか。
(アフガニスタンの合計特殊出生率は、07年で6.69、イラクで4.18らしい)
各国に伝手を作ったり、細かく記事を書いていってデータベースを充実させたり、
10年くらい多めにすれば、効果はあるのでは。
人口が増えればマーケットは大きくなるわけだし、
中国、インドでもこれほど(経済的にも)ニュースバリューのある国になってきたのだから、
次は東南アジア、その次はイスラムの貧困国、としておかしくない。
勤務した人間が外部に出て行ってしまうリスクはあるけど。
大手優良企業だったら、それくらいのリスクはとってるよね。

昨日は毎日新聞が、毎日介護賞を今年で終わりとします、と記事にありました。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091112k0000m040041000c.html
日経は、昨年から、かつての経営者かなんかの名前を冠に本を大賞とした賞を
設けたみたい。
どちらも地味なニュースですね。


大阪と奈良へ、ちょっとだけ文化的な週末

2009-11-29 00:29:15 | Private・雑感
大阪と奈良に行ってきました。三重では触れにくい文化を求めて(?)。
初体験もなかなか盛りだくさんで、楽しかった~。

日程は、
21日 大阪駅→サントリーミュージアム@天保山でクリムト・シーレ展
    →西成を散歩→大阪劇団四季劇場でWICKED→ワイン→奈良のホテル

22日 奈良駅前でモーニング→東大寺で大仏→興福寺境内を散歩・資料館
    →雨の法隆寺→四日市で鍋と日本酒

四日市から近鉄特急で2時間ちょっと。
鶴橋乗り換えで、大阪駅に。
最初の目的地は「サントリーミュージアム天保山」。
企業お抱えの美術館は、不景気の折に閉館の潮流、なんていう感じの
日経記事(文化欄)を読んだ記憶がある。
このサントリーミュージアムは、2010年12月末で閉館するとのこと。
http://www.suntory.co.jp/culture/smt/about/index.html
「クリムト・シーレ ウィーンの世紀末展」に行きました。

結果的には、クリムトの絵はほんとに少なくて。
ただ、「ウィーンの世紀末展」としては成功しています。
19世紀、プロイセンかそこらへんの脅威がなくなり、
市街地を囲む塀を壊し、大通りを造った(リングシュトラッセ)。
オペラ劇場や市庁舎など(確か)大規模な建物を次々と建設。
そこに「古典的芸術」の需要が生まれ、多くの画家たちが
その仕事に集中していくのだけど、
その古典回帰的な雰囲気から逃れようとして芸術協会を脱退し、
「分離派」をつくったのがクリムトたちなのです。
芸術が事業として成り立つというのは、ほとんどが公共事業の場合のみなんだよな、
と改めて思いました。
体育協会と同じく、芸術文化協会の要職を政治家(市議とかを含めて)が
やってるケースって多いでしょうね。

その後、「あいりん地区」がある西成で途中下車して、
時間もあまりなかったのでただ歩いてきた。
ホテル業がさかんでしたね、一泊700円台くらいから。
カップ酒の自販機もやたら多かった。

夜。大阪四季劇場に足を踏み入れる。
ミュージカル初体験は、「ウィキッド」でした。
とにかく、脚本展開に「やられたぁっ!」の連続。
オズの魔法使いに登場する良い魔女、悪い魔女の誕生秘話風なのだけど・・・
めくりめく展開を可能にするのは、ミュージカルの特性だなと実感。
というのも、ミュージカルだと、歌や踊りや照明で
「これは恐怖の場面」「これは喜びの場面」と一目瞭然。
だから、3時間半くらいであれだけの場面展開ができるのだと思う。
ミュージカルはまた、きっと見てみたいねと言って会場を出ました。

奈良ロイヤルホテルで就寝。

22日は、最初は晴れ間が覗いていたのだけど、徐々に曇っていきました。
モーニングを食べたカフェでは、店員が余裕で客を待たせていて、
のんびりしたとこなのかなと想像。
初めての東大寺に入る。
華厳経を学ぶ大学だったと、『街道をゆく』にありました。
それにしても、聖武天皇と光明皇后は、それまでの「天皇による統治」を、
自ら天皇の立場でありながら「仏教による統治」を大きく進めたのは
大転換ですね。
大仏より、それを納める東大寺の木造建築の大きさが
なかなか立派だなと感心しました。

興福寺は、藤原氏の寺。法相学を修める大学だったのかな。
それでも、ある一本の経本をずーっと、明治前に廃仏毀釈になるまで
繰り返し研究した、学問的には味気ない感じの拠点だったみたい。
それでも、(それだから?)栄え、境内は奈良駅周辺をすっぽり
覆うほどだったとか。
学問にさほど興味のなかった江戸末期の僧たちは、
廃仏毀釈をすんなりと受け入れたらしいです。
阿修羅展があるため、特別展示の場所はものすごい列でした。

法隆寺も初めて。
聖徳太子が、用明天皇の体を治してほしいと、薬師如来像を
置くために作ったのだそうだ。
現在は「聖徳宗」なるもの(1950年に法相宗から独立らしい
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E5%BE%B3%E5%AE%97
ずいぶん新しいな)
の総本山となっています。
雨が強くなってきて寒かった。
法隆寺自体は宝物庫のような印象ですね。

奈良は来年、遷都1300年。
日経TRENDYでは、「2010年のブーム」のひとつになっています。
さあどうなるでしょう、奈良市や奈良市民らの取り組みが
成功するか期待です。

長々と失礼。だんだんと「ですます」調になったのは、
歴史に触れる部分で自信がないからかも。

『自然はそんなにヤワじゃない』

2009-11-02 00:28:58 | Book
「生物多様性」は守るべきものか。
多様な生物が共存することのメリットは何か、デメリットは何か。

『自然はそんなにヤワじゃない』(新潮選書)というタイトルが
気に入って手に取った本。
ミジンコ学者の著者は、主にミジンコの世界(湖の中の生態系)の研究をもとに
いろいろと言っているが、書きとどめておきたいことはそんなに多くなかった。

単純で面白い生態系の考え方だなと思ったのは、
生物をr-戦略者と、K-戦略者に分けて考えるというもの。

r-戦略者とは、個体が小さく寿命も短く、種子・子どもをたくさん産んで繁殖する生物。
K-戦略者とは個体が大きく寿命が長く、少数の子どもを産んで育てる生物。


r-は個々の生存可能性は低いが、分散能力が高いので、種としては生きながらえる力が強い。
K-は、個々は強いが、環境の変化に弱い。
著者の表現だと、「資源をめぐる他者との競争に勝つことが必要」。一方で、
資源の構成比が変わったりしたら、寿命も長いし、すぐには対応できない。

・・・おそらく、「現状の」生物多様性を一番求めてるのは森でも海でもなく、
人間なんだろう。
K-の最たる生き物は人間だからだ。
安定した生態系が一番生きやすく、肉食をやめたり、動物園に行かなくなったり、
山登りをやめたりしなくてもいい。
生態系が安定していなければ生きにくい。r-なら、場所を移したり
個体数を減らしたりして対処できるが、人間はできない。
これは、人間が人間らしく生きる-「人間の文化の保存のため」と言ってもいい。

一方で、人間が食べ物の多くを穀物などのr-に頼っていることは、
生態系の不安定要素になっているともいう。
r-は洪水や平均温度の上下などの要素で
現存量を大きく変化させるからだ。


・・・とまあ、論調は多分に「学者的」で、原理的な感じもするのだけど、
生物多様性は人間が心地よく生きるため、文化を保っていくための
ものだというのはけっこう腑に落ちている。
里山保全、水田の継承なんてその代表かも。

関東の人はあまり触れることもないかもしれませんが、
東海地方では来年10月のCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)
が名古屋で開催されるのを控え、
「生物多様性」が増殖中です。
文化もまた、生き物ですね。