ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

障害のある人こそ恋愛を

2014-12-30 05:21:08 | Private・雑感

26日で仕事納め。研修中の身なので休日出勤はない。来月は別の障害者支援事業所へ。

1か月半、社会的養護の事業所と、障害者の就労継続(作業所)と生活介護(デイサービス)の事業所を曜日ごとに行き来して感じるのは、「恋愛パワーの大きさ」だ。就労継続に来ている子たちは、外見では知的障害が分からない子もいるし、体型やしぐさで分かる子もいるが、コミュニケーションは交わせる子が多い。社会的養護の女の子たちも、知的にはそんなに高くない子も多いし、なんせ15,16歳などと若い(幼い)ので、社会的スキルや知的水準においてけっこう就労継続の子たち近い。でも彼女たちの間の大きな違い、特に生きるエネルギーの違いは、恋愛が身近にあるかどうかではないかと感じている。

社会的養護の子たちは、女の子向けの施設ということもあるが、ほとんどの子は男に目がない。15歳の子から20歳まで。性的虐待を受けていた子でもそうだ(とはいっても虐待の内容は個々に違うので、男の子とのかかわり方にいろんな個人差はあるのだけど)。男性からのアプローチこそが、自分の存在価値を実感させてくれるものなのかもしれない。避妊、妊娠にも無頓着で、妊娠の話題もしょっちゅう上がる。素直におめでとうと言えない妊娠は、当然彼女たち、その子どもたちにとって(祝福されるものであってもそうなのだから)大きな試練だし、それによって貧困に陥ったり、仕事が続けられなかったりと不幸な面も出てくる。それでも、これまで親に愛されずに愛着障害を抱えて生きている彼女たちには、「男性に好かれる」ということが、かけがえのないことなのだと思う。

知的障害のある人も、人に好かれたい気持ちは強い。あの手この手で職員を取り合う。もっと踏み込んで、恋愛がしたい、性的行為に興味がある、という人も当然多い。でもそこに、あきらめの気持ちがあって、それが職員へのアプローチやコミュニケーションの手法にも表れている。ネガティブなこと(お腹が痛いとか、仕事ができないとか)を口にしてしまうのだ。「そんなことではかっこ悪い=モテない」ということを、社会的養護の子たちは分かるのだが、作業所の人は分からない・・・。

恋愛は、コミュニケーションの最良の勉強場所だ、おそらく。障害のある人も、そういう人こそばんばん、恋愛をしてほしい。障害のない人でさえ(現に私の大学の友人たちも)難しいし、成就しない、結婚したくてもできない、ということはある。だから、よりいっそう背中を押して、支援してでも恋愛の場に彼ら、彼女たちを置くことが、人生を豊かにするのに大いに貢献するのではないかなと思う。たとえ結婚に至らなくても、恋はしていたいじゃないですか?


企業の管理部門に障害者雇用の可能性を感じた日

2014-12-04 06:05:27 | Private・雑感

おととい、知的障害者の雇用について日経新聞夕刊にこんな記事が載った。

知的障害者が職場変えた
一緒に働いたら業務効率アップ 仕事切り出し ためらわず雇用
2014/12/2付
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO80390360S4A201C1NNMP00/

感じたこと。知的障害者の雇用では、企業における障害者雇用の方が、障害者のみが働く作業所(障害者総合支援法における就労継続A、B、就労移行支援)よりも、障害者にとって力を発揮できる就労場所になる可能性がある、ということ(回りくどい言い方だが)。

なぜか。知的障害者は、企業の「管理部門」「バックオフィス」のような仕事をうまくこなせる可能性がある。そういう管理部門、バックオフィスの仕事は、A型、B型の作業所ではなく企業にしかない。だから、企業に職をつくるのが、わざわざA型B型のように「障害者用の専門職場」をつくるよりも、障害者が生産的な仕事をする「近道」だ。

・・・

私自身は今、就労継続B型の事業所で働かせてもらっている。イメージとしては、「最低賃金以上で働ける場所のない人たち」が働く、生産的な仕事をしてもらうための場所。基本的にB型作業所として独立しているので、単体で受けられる仕事といったら、
・バックの中敷き入れ
・100円ショップの刺繍糸の袋詰め
など非常に単価の低いものになってしまう。
(何工程かあって1個完成させて50銭から2円程度と思われる)

バックオフィス的な仕事であれば、単価がどうこうと気にする必要はない。一方で、外注する企業はほとんどない。。

記事で紹介されているのは、
・人材サイトの応募データの入力
・年末調整の書類のチェック
・経費精算の単純な部分のチェック
・全部署のシュレッダー書類の回収、破棄
・文房具の清掃
・パンフレットの封入

など。単体の仕事としてどこかから受注するのは難しい類の仕事だ。

現実的には、作業所を運営する法人が多角化、巨大化?する中で、バックオフィス的な仕事を極力切り出し、就労継続B型の仕事としてやってもらう。そこで慣れれば、企業の中のバックオフィスで雇ってもらう―といったところか。

毎日毎日が忙しく、いろんなことが起こる現場で、理想を持つことは大事だと感じている。昨日の時点でのアイデアを書き残しておくことにしました。