「せくら」一軒限りで燃え尽きた直近二回に対して、今回は多少の余力が残りました。そして、二軒目の選択肢は二つありました。いずれも過去に一度だけ訪ね、その後長らく無沙汰をしているところです。その中から「小判道場」の暖簾をくぐります。
宿から東へ歩くとまず「たにた」があり、その後大街道の商店街を横切って「せくら」の方へ歩いていくと、その途中にあるのがこの店です。たしか初めて松山の呑み屋を訪ねたとき、繁華街を歩いてみて、古い店構えが目に留まって飛び込んだのでした。心底感動するまでには至らず、その後は素通りを続けてきたものの、酒場好きには知られた店のようで、近年は「酒場放浪記」で紹介されるという出来事もありました。当時でさえ高齢だった店主と女将が、今なお奮闘しているのを、毎回通りがかって確かめてはいただけに、もう一度暖簾をくぐってみたいという考えはかねてからあったのです。今回ようやくその宿願を果たすことができました。
実は、前回か前々回、ここをのぞいてみたところ、かなり混んでいるのが見えて退散したという経験があります。そのとき、店主と女将ではなく、手伝いのお姉さんらしき人物がカウンターに立っているのを見たような気がします。しかし、今日は店主と女将が二人で店を仕切っていました。六、七年もの間が空けば、お互い老け込むのは致し方ないものの、ご両人とも今なお矍鑠としています。
それを見て思い出したのが、会津若松の「麦とろ」です。L字のカウンターと、その内側の広々した厨房の雰囲気と、そこに立つ矍鑠とした御両名の立ち居振る舞いが、どことなく似ているとでも申しましょうか。「せくら」のような感嘆するほどの品こそないものの、黒板と短冊に綴られた品書きは、簡素ながらも物足りなさを感じさせず、長年かけて完成された老練さが感じられました。
とある居酒屋好きのblogでこの店が紹介されており、店主が七十代の後半であること、跡取りはいないことを知りました。あと何年できるかという店主の発言が綴られているのを見て、少し切なく思ったものです。その記事が投稿されてから数年経っており、店主は八十代半ばということになりますが、今なお矍鑠としているのは上記の通りです。字面からは弱音のようにも読めたものの、屋号入りのカレンダーを作ったのは、まだまだ続ける体力気力の表れでしょう。その気概に応えるべく、次回もここをのぞいてみようと思っています。
★小判道場
松山市二番町2-6-1
089-945-9927
1700PM-2400PM
日曜定休
松山三井・梅錦
突き出し(大根煮・胡麻和え)
サバ刺身
アマギ唐揚
宿から東へ歩くとまず「たにた」があり、その後大街道の商店街を横切って「せくら」の方へ歩いていくと、その途中にあるのがこの店です。たしか初めて松山の呑み屋を訪ねたとき、繁華街を歩いてみて、古い店構えが目に留まって飛び込んだのでした。心底感動するまでには至らず、その後は素通りを続けてきたものの、酒場好きには知られた店のようで、近年は「酒場放浪記」で紹介されるという出来事もありました。当時でさえ高齢だった店主と女将が、今なお奮闘しているのを、毎回通りがかって確かめてはいただけに、もう一度暖簾をくぐってみたいという考えはかねてからあったのです。今回ようやくその宿願を果たすことができました。
実は、前回か前々回、ここをのぞいてみたところ、かなり混んでいるのが見えて退散したという経験があります。そのとき、店主と女将ではなく、手伝いのお姉さんらしき人物がカウンターに立っているのを見たような気がします。しかし、今日は店主と女将が二人で店を仕切っていました。六、七年もの間が空けば、お互い老け込むのは致し方ないものの、ご両人とも今なお矍鑠としています。
それを見て思い出したのが、会津若松の「麦とろ」です。L字のカウンターと、その内側の広々した厨房の雰囲気と、そこに立つ矍鑠とした御両名の立ち居振る舞いが、どことなく似ているとでも申しましょうか。「せくら」のような感嘆するほどの品こそないものの、黒板と短冊に綴られた品書きは、簡素ながらも物足りなさを感じさせず、長年かけて完成された老練さが感じられました。
とある居酒屋好きのblogでこの店が紹介されており、店主が七十代の後半であること、跡取りはいないことを知りました。あと何年できるかという店主の発言が綴られているのを見て、少し切なく思ったものです。その記事が投稿されてから数年経っており、店主は八十代半ばということになりますが、今なお矍鑠としているのは上記の通りです。字面からは弱音のようにも読めたものの、屋号入りのカレンダーを作ったのは、まだまだ続ける体力気力の表れでしょう。その気概に応えるべく、次回もここをのぞいてみようと思っています。
★小判道場
松山市二番町2-6-1
089-945-9927
1700PM-2400PM
日曜定休
松山三井・梅錦
突き出し(大根煮・胡麻和え)
サバ刺身
アマギ唐揚