森田宏幸のブログ

Morita Hiroyukiの自己宣伝のためのblog アニメーション作画・演出・研究 「ぼくらの」監督

アートと仕事

2006年05月27日 03時29分04秒 | サン・アート
 友人の岩田信一氏の個展を見てきた。
 岩田さんは昨日、富士展を見に来てくれていた。画家同士は持ちつ持たれつで、お互い個展に誘い合って、その訪問に追われるということがままあるけれど、岩田さんの場合は貸し借り抜きで楽しみにして出かけて行った。
 個展と言っても会場が自宅マンションで、ホームパーティーといった様子。絵画鑑賞よりもテーブルを囲んで語りの時間の方が長い。
 岩田さんとは去年、お互いが参加した「詩画展」という企画展で知り合った。岩田さんは詩人で、しかも数学や英語の塾を開いているというユニークな人だ。
 岩田さんに言わせると、詩には必ず客観性とリアリティがないといけないそうだ。私は、詩などというものは、好き勝手に主観的な言葉を並べたものと思っていたので、そう聞いてとても驚いた。詩は数式と同じ論理だ、とも言う。話を聞いているうちに、分かるような気がしてきた。それ以来友人である。
 詩の話も面白いけれど、私塾で身銭を稼いでいる、その商才にあやかろうと、仕事をうまく成り立たせる秘訣は?と質問したら、
「森田さん、詩さえ書ければ仕事なんて簡単ですよ」
 と言われる。
 そう言われてみれば梅原健二先生も似たようなことを言っていた。梅原さんは若い頃、グラフィックデザインの仕事で成功していたらしい。その仕事の成功の秘訣を聞いたのだ。すると、
「いい絵が描けたらね、デザインの仕事なんてどうってことないよ」
 と言われる。
 梅原さんは、画家でそれほど儲けているわけではなく、絵画教室の先生で食べているようなものだ。岩田さんの詩は、まったく金にならない。けれども二人とも、金になる仕事よりも、金にならないアートを意識の上では上位に置いているのである。私の本業である商業アニメーションの世界では、売れることが大事なことだから、この二人の考えは私を混乱させる。
 混乱させてはくれるけれども、梅原さんとは2年の付き合いで、岩田さんとは今日もゆっくり語らってきた。お二人の言うことが、なんとなく判ってきている今日この頃である。

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