「劇場」又吉直樹
とても沈んだ気持ちにさせてくれる。
わかっていながら大切な人を傷つける。
自分だけは失うものがないかのような錯覚は
若さがそうさせるのか。
言葉にしなければ伝わらないことはたくさんあるのに。
元々、この手の苦しい恋愛小説は苦手だけれど
笑える箇所は幾つもあって
それがまた、苦しさを強くしているようなところがある。
笑うと苦しくなる、そんな感じ。
夜中に
マンションの前で自転車の呼び鈴を鳴らし続ける主人公の様子が
怖かった。
怖かったけど
別の建物から沙希が出てくるというオチが、
とっても作者らしい感じがして
不覚にもちょっと笑ってしまった。
でも、やっぱり、
誰が書いても恋愛小説は苦手だった。
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