つれづれ雑記

つれづれ:することが無くて退屈なこと
雑記:日常のことを何でも書きつづる

風立ちぬ

2013-08-13 | 映画
冒頭の関東大震災のシーンは迫力があった。 地震で大きく揺さぶられるシーン、群衆の逃げ惑う様子、燃え広がる下町、静かな街に突然熱風が吹き荒れる不気味な轟音など、アニメだからこそ表現できたと思える迫真の画面だった。 震災の中で知り合った2人が2年後に連絡がとれ、主人公が彼女の家に訪ねていく電車の行き先標識が「登戸」。 彼女の結核を療養する富士見高原のサナトリウム。 どちらも多少知っていたところなので見ていて嬉しかった。

主人公の堀越二郎は零戦はじめ戦闘機や航空機を設計した人だが、悲恋のストーリーは堀辰雄の「風立ちぬ」と絡めていた。 堀越の設計はひたすら機能を追求するもので、無駄なものを徹底的に排除した機能美の「美しさ」をもとめている。 困難な時代に困難な条件の中で「美しい」戦闘機は完成したが、それはおびただしい人の命を失い、国が敗れることに繋がったものでもある。 最後の戦闘機の残骸が累々として広がるシーンも、アニメならではの表現で迫力があった。 せっかくの機能美も戦争目的のものでは悲しい。

約40年前に関わったプリンターの仕事で、或る人から、その製品のキーとなる活字の形が「無駄がなく美しい」と機能美を絶賛されたことを思い出した。 そのプリンターはその後爆発的に売れ、世界のトップシェアを占めるまでに成功したが、これは平和な時代だったので良い思い出となった。

機能美を絶賛された活字

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