小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(66)&CG合成
部屋の前に来ると京平はポケットに手を入れて二つ折にした札を出して渡して礼を言うと部屋の前で荷物を受け取った。
ベッドの隣にバックを置いて部屋の時計を見ると七時を回っていた。
美保は風呂場に行くとバスタブに湯を入れていた。
京平はそんな美保を見て心に感じていた。結婚して四ケ月、仕事でもプライベートでも嫌な顔を一つ見せた事がない。自分にも両親にも未だ見せた事がない。何を聞いても素直に答えてくれる。そして何事に関しても気が利く優しい女性だ。京平は風呂場から出てくる美保を見て改めて惚れ直していた。
「うん?・・どうしたの、そんなに見て?・・・」。
京平は両手を広げた。すると小走りに来ると胸に抱き着いた。
「お風呂入ろう、もう入れるよ」。と美保は京平の唇を見ると目を綴じてキスした。そして抱き合い愛し合い、お互いの身体を流し合い、風呂から出ると着替えて食事に出掛けた。
美保は寿司が食べたいと言い、京平は両替町にある寿司屋に連れて行った。
街には茶髪でマイクロミニの女の子がたむろし、路上に座ってお喋りに明け暮れていた。耳には携帯電話を充て、訳の分からない言葉で話していた。
そして目のやり場に困るほど股を広げ、下着が見えているのも気にせず話に没頭していた。
そして顔は真っ黒で目と唇が異様に白く化け物の様だった。そして聞こえて来る言葉は、もとかれ、まじきれ、ちょう・・・
「やあねあんな娘は、同じ女だけど神経が分からないわ」。美保は目を背けるように京平の手を引いて反対側の道に亙った。
そんな女の子が至る所にいた。そして七間町から両替町商店街に入り、ビルの一階に店舗を持つ寿司屋に入った。
景気の良い勇ましい接客に美保は目を丸くしていた。そしてカウンターに腰を降ろし、美保は好きなアナゴや赤身を注文しては堪能していた。
そして中トロにイクラと思い思いの握りを頼んでいた。そんな美保の口が止まった。「京平さん見ないでね。一番隅にいる男、堂元じゃない?・・・」。と京平に寄り添うように小声で言うのだった。
京平はお手洗いに立つとそっと顔を伺った。ズバリ堂元勝雄だった。そしてお手洗いに入って戻ると美保の目を見て頷いた。
堂元の隣に座っている女性はホステスのようだったが迷惑そうな顔をしていた。
そして寿司を堪能し、勘定をしていると人相の悪い男が二人入って来た。
そして堂元の所に行くと耳打ちしていた。
二人は店を出た。「嫌なものを見た感じだ。あの二人が堂元の用心棒だな。あれじゃ堂元同様で睨まれたらビビルよな」。
「うん、でもさ、何でああ言う顔になるんだろうね。ヤクザとか暴力団の人って同じ目をして顔も似てくるんだ。やだやだ。ねえ京平さん、ああ言う人達ってみんな落ちこぼれなの」?
「どうかな、たまに大卒のインテリヤクザなんて言葉を聞くけど、若い時にいい事してなかった人達だろうな」。
そんな話をしながら裏通りに入った。十時過ぎと言う中途半端な間もあって人通りもまばらで数人の酔っ払いがたどたどしい足取りで歩いているだけだった。
そして青葉公園通りに出てテレビ局の通りに出た。
そして向かいにあるサークルKに寄ってドリンクと軽いスナック菓子を買ってホテルに戻った。
部屋に戻った二人はジャージに着替え、テレビを見ながら時間を待った。そして十一時になると美保は携帯で自分の泊まっているホテルに電話し、紺野京平を呼び出した。すると間もなく電話が鳴った。
京平は受話器を取ると美保の顔を見ながら笑うと適当に話して受話器を置いた。
「OK、さあ出掛ける口実が出来たから出掛けようか」。
「うん」。美保はウエストポーチを着け、京平はスポーツバックを持って部屋を出た。そしてフロントに行くと電話があって出掛けると告げた。
「スポーツジムですか」。とニコッと笑って頭を下げた。
そしてホテルを出ると駐車場から車を出して中村町に向かった。
美保は走る車の中でジャージを脱いで作業服に着替えた。そして安全靴を履て靴紐を結んでいた。
そして車を止めて運転を代わると走り出した。今度は京平が作業服に着替えた。そして安全靴を履くと車を止めた。
そして京平に代わると堂元勝雄の家に向かった。すると、堂本の家は門灯だけで家の中は真っ暗で帰っていなかった。
京平はそのまま家の前を通ると後方にあるビルの建設現場に向かった。そこは六階建てのオフィースビルだった。都合良く警備員もなく、少し離れた空き地に車を止めると二人は黒い二本線の入ったヘルメットを被り、顎紐を着けるとブリーフケースを下げてビルに入って行った。
二人は中に入ると暫く止まっていた。
暗いビルの内部に目を慣らせていたのだ。そして階段を五階まで上がるとほぼ完成している部屋のドアを開けて入った。
すると人の気配がして懐中電灯を点けると、床にベニヤ板を敷いてアベックが全裸で抱き合っていた。驚いたのかポカ~ンと見ていた。
「コラッ、こんな所で何をしている。立ち入り禁止だ、出ていけ」。
「す、済みません。出ていきますから勘弁して下さい」。
アベックは下着も着けずに服を抱えると一目散に出て行った。
そして窓から下を見ていると、アベックはビルから出ると振り向きもせず走って暗闇に姿を消した。
「参るよな、でも少し可哀相だったかな」。
「あの子達まだ中学生くらいよ、女の子なんかまだ生え揃ってなかったもの。これに凝りて暫はしないわよね。それより顔は?・・・」。
「いいや、逆光になって相手からは顔は見えないさ」。
京平はブリーフケースをベニヤの上に置くと鍵を開けた、そしてライフルを組み立てて消音器を装着した。そしてスコープを取り付けると印のあるカートリッジを入れて美保に渡した。そしてもう一丁のライフルを組み立てた。そして二人して堂元の家の窓に照準を合わせた。
そして時計を見ると十二時を少し回っていた。そして窓を締め、ドアを閉め、堂元の帰りを待った。京平はライフルを立て掛けると美保の身体を後ろから抱き締めた。
「どう、少しは暖かいか」。
「うん、あったかい、京平さん有り難う。これが長野じゃなくて良かったね。長野じゃ凍えちゃうもん」。
「うん、本当だ」。そして三十分、一時間。午前一時を過ぎた。
京平は今夜は駄目か、半分諦め始めていた。寿司屋で堂元といた女と何処かにしけ込んで帰って来ないのかと思い始めていた。
NO-66-58
部屋の前に来ると京平はポケットに手を入れて二つ折にした札を出して渡して礼を言うと部屋の前で荷物を受け取った。
ベッドの隣にバックを置いて部屋の時計を見ると七時を回っていた。
美保は風呂場に行くとバスタブに湯を入れていた。
京平はそんな美保を見て心に感じていた。結婚して四ケ月、仕事でもプライベートでも嫌な顔を一つ見せた事がない。自分にも両親にも未だ見せた事がない。何を聞いても素直に答えてくれる。そして何事に関しても気が利く優しい女性だ。京平は風呂場から出てくる美保を見て改めて惚れ直していた。
「うん?・・どうしたの、そんなに見て?・・・」。
京平は両手を広げた。すると小走りに来ると胸に抱き着いた。
「お風呂入ろう、もう入れるよ」。と美保は京平の唇を見ると目を綴じてキスした。そして抱き合い愛し合い、お互いの身体を流し合い、風呂から出ると着替えて食事に出掛けた。
美保は寿司が食べたいと言い、京平は両替町にある寿司屋に連れて行った。
街には茶髪でマイクロミニの女の子がたむろし、路上に座ってお喋りに明け暮れていた。耳には携帯電話を充て、訳の分からない言葉で話していた。
そして目のやり場に困るほど股を広げ、下着が見えているのも気にせず話に没頭していた。
そして顔は真っ黒で目と唇が異様に白く化け物の様だった。そして聞こえて来る言葉は、もとかれ、まじきれ、ちょう・・・
「やあねあんな娘は、同じ女だけど神経が分からないわ」。美保は目を背けるように京平の手を引いて反対側の道に亙った。
そんな女の子が至る所にいた。そして七間町から両替町商店街に入り、ビルの一階に店舗を持つ寿司屋に入った。
景気の良い勇ましい接客に美保は目を丸くしていた。そしてカウンターに腰を降ろし、美保は好きなアナゴや赤身を注文しては堪能していた。
そして中トロにイクラと思い思いの握りを頼んでいた。そんな美保の口が止まった。「京平さん見ないでね。一番隅にいる男、堂元じゃない?・・・」。と京平に寄り添うように小声で言うのだった。
京平はお手洗いに立つとそっと顔を伺った。ズバリ堂元勝雄だった。そしてお手洗いに入って戻ると美保の目を見て頷いた。
堂元の隣に座っている女性はホステスのようだったが迷惑そうな顔をしていた。
そして寿司を堪能し、勘定をしていると人相の悪い男が二人入って来た。
そして堂元の所に行くと耳打ちしていた。
二人は店を出た。「嫌なものを見た感じだ。あの二人が堂元の用心棒だな。あれじゃ堂元同様で睨まれたらビビルよな」。
「うん、でもさ、何でああ言う顔になるんだろうね。ヤクザとか暴力団の人って同じ目をして顔も似てくるんだ。やだやだ。ねえ京平さん、ああ言う人達ってみんな落ちこぼれなの」?
「どうかな、たまに大卒のインテリヤクザなんて言葉を聞くけど、若い時にいい事してなかった人達だろうな」。
そんな話をしながら裏通りに入った。十時過ぎと言う中途半端な間もあって人通りもまばらで数人の酔っ払いがたどたどしい足取りで歩いているだけだった。
そして青葉公園通りに出てテレビ局の通りに出た。
そして向かいにあるサークルKに寄ってドリンクと軽いスナック菓子を買ってホテルに戻った。
部屋に戻った二人はジャージに着替え、テレビを見ながら時間を待った。そして十一時になると美保は携帯で自分の泊まっているホテルに電話し、紺野京平を呼び出した。すると間もなく電話が鳴った。
京平は受話器を取ると美保の顔を見ながら笑うと適当に話して受話器を置いた。
「OK、さあ出掛ける口実が出来たから出掛けようか」。
「うん」。美保はウエストポーチを着け、京平はスポーツバックを持って部屋を出た。そしてフロントに行くと電話があって出掛けると告げた。
「スポーツジムですか」。とニコッと笑って頭を下げた。
そしてホテルを出ると駐車場から車を出して中村町に向かった。
美保は走る車の中でジャージを脱いで作業服に着替えた。そして安全靴を履て靴紐を結んでいた。
そして車を止めて運転を代わると走り出した。今度は京平が作業服に着替えた。そして安全靴を履くと車を止めた。
そして京平に代わると堂元勝雄の家に向かった。すると、堂本の家は門灯だけで家の中は真っ暗で帰っていなかった。
京平はそのまま家の前を通ると後方にあるビルの建設現場に向かった。そこは六階建てのオフィースビルだった。都合良く警備員もなく、少し離れた空き地に車を止めると二人は黒い二本線の入ったヘルメットを被り、顎紐を着けるとブリーフケースを下げてビルに入って行った。
二人は中に入ると暫く止まっていた。
暗いビルの内部に目を慣らせていたのだ。そして階段を五階まで上がるとほぼ完成している部屋のドアを開けて入った。
すると人の気配がして懐中電灯を点けると、床にベニヤ板を敷いてアベックが全裸で抱き合っていた。驚いたのかポカ~ンと見ていた。
「コラッ、こんな所で何をしている。立ち入り禁止だ、出ていけ」。
「す、済みません。出ていきますから勘弁して下さい」。
アベックは下着も着けずに服を抱えると一目散に出て行った。
そして窓から下を見ていると、アベックはビルから出ると振り向きもせず走って暗闇に姿を消した。
「参るよな、でも少し可哀相だったかな」。
「あの子達まだ中学生くらいよ、女の子なんかまだ生え揃ってなかったもの。これに凝りて暫はしないわよね。それより顔は?・・・」。
「いいや、逆光になって相手からは顔は見えないさ」。
京平はブリーフケースをベニヤの上に置くと鍵を開けた、そしてライフルを組み立てて消音器を装着した。そしてスコープを取り付けると印のあるカートリッジを入れて美保に渡した。そしてもう一丁のライフルを組み立てた。そして二人して堂元の家の窓に照準を合わせた。
そして時計を見ると十二時を少し回っていた。そして窓を締め、ドアを閉め、堂元の帰りを待った。京平はライフルを立て掛けると美保の身体を後ろから抱き締めた。
「どう、少しは暖かいか」。
「うん、あったかい、京平さん有り難う。これが長野じゃなくて良かったね。長野じゃ凍えちゃうもん」。
「うん、本当だ」。そして三十分、一時間。午前一時を過ぎた。
京平は今夜は駄目か、半分諦め始めていた。寿司屋で堂元といた女と何処かにしけ込んで帰って来ないのかと思い始めていた。
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