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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(44)&CG

2008-09-17 02:45:41 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・NOー(44)&CG

京平はハンドルをゆっくり回すとアスファルトで舗装された細い林道に入った。そして間もなく空き地に着いた。
「ここは昔別荘があったんだ。私有地だから誰も入って来ない。暗くて良く分からないけど、道路のラバーコーンが見える筈だよ」。
すると美保は身を乗り出して道の方を見た。すると、車が来てヘッドライトで空き地が映し出された。
「ほんとう、良く見える。五十メートル位ね。この距離なら完璧よ。一発で仕留められるわね」。
京平は暗闇の中でゆっくり車を回すヘッドライトも点けずに細い道を下った。そして道路に出ると車が来ないのを確認するとヘッドライトを点けた。そしてロッヂに戻った。
戻ると古山が二人の帰りを待っていた。
「お帰り、夕食の支度が出来たからどうぞ。ちょうど雨になっちゃってあいにくだったね。明日は晴れるって言うから」。
二人はそんな小山の後につづいて母屋に入った。すると、レストランには女性客ばかりが大勢座って料理を食べていた。
「おい、男性が少ないな」。
「ああ、十七日まで女子大のテニス部の合宿で貸し切りだから。でもその後も予約は入っているよ。さあどうぞ」。
テーブルに着くと森の星自慢のフランス料理のフルコースがだされた。二人はワインで乾杯し、贅沢なホアグラや鴨料理に舌包みを打って楽しい夕食を済ませた。
「京平さん、このフルコースで一泊幾らなの。採算が合わないんじゃない?・・。それにワインも良い物だし」。
「うん、たぶんどっこいどっこいで儲けはかなり薄いだろう」。
「味付けや鴨もホアグラも新鮮で美味かったけど、でも学生料金では採算割れしていると思う」。
するとオーナーの小山久雄がテーブルに来た。
「小山、この料理では採算割れしているだろ」?
「良く分かったな、実はそうなんだ。一般のお客さんだと採算割れはないんだが、合宿の学生さんからはな」。
「ごめんなさい小山さん、生意気な事を言うようですが、それではお金は貸せません。採算割れしているペンションに融資はできません。最高の素材で料理を作る、それは間違いではないと思います。でも現状では無謀です。
仕入れ値を下げて何とかして楽しいお食事にするのが料理長でもあるオーナーの仕事ですもの。違いますか。
それに、学生は学割なら一般の留まり客と料理が違っていて当たり前だと言う事は分かってます。私もつい二年前までは学生でしたから良く分かるんです。小山さん、学生の頃の事を思い出して下さい。そうだったでしょう」。
すると小山久雄は痛い所を突かれたのか、グッと手を握った。
「・・・確かにそうです。奥さんの言う通りです。今までそう言ってくれた人はいませんでした。なんか目が覚めたような気がします」。
「小山、お前は料理人から足を洗え。経営者になってみろ。今のお前は料理人の方が強過ぎるんだ。だから安い料金で同じ料理を出したいって考えるんだ。
客の立場で言おうか、僕と女房は一泊一万五千円だよな。学生は一万円以下だろ、それが量も質も同じだったら一般客はどう思う。僕等はそうじゃないけど、もう二度と来るもんかって思うぞ」。
「私の言いたかったのはそこなんです。いかに常連客を作るかだと思います。毎年決まって涼を求めてこの森の星で避暑を過ごせればこんなに楽しい事はないです。でも、きっとお客さんは代わっていると思いますけど、違いますか」。
「ええ、自分の代になってからは昔の常連さんは来なくなりました。そうか、気が着かなかった。料金が安いお客さんと分けるべきだったのか。単純な事を俺は忘れていた。実言うと、俺はどうして来なくなったのか不思議で仕方なかったんだ。その反面学生さんは多くなった」。
「当たり前だろ、安い学割料金で一般客と同じ料理なんだから学生は来るさ。その度に赤字だ」。
「そうです、ペンションを修理して一から始めて下さい。私も主人もそれだったらお金はお貸ししても良いと思っています」。
「有り難う、再起する為に計画書を書き直して見て貰うよ。それで融資の事を判断してくれないか」。
「ああ、いいよ。なあ美保」。
「はい、きっと出来ますよ。生意気な事を言って済みません」。
「いいえ、逆にお礼を言わせて下さい。なんでそんな単純な事が分からなかったのか自分でも不思議ですよ。紺野、良い奥さん貰ったな、じゃあごゆっくり」。小山は丁寧に頭を下げると苦笑いを浮かべ、厨房へ戻って行った。
こうして二人も小山に一声かけてレストハウスからロッヂに戻った。そして十時を回ると二人のロッヂの明かりが消えた。
翌朝、驚くほど真っ青に晴れ上がった朝だった。美保は先に起きると眠っている京平に抱き着いた。そしてキスで起こした。
「京平さん、すっごい良い天気よ。着替えて食事前にサイクリングコース見に行くんでしょう」。
「ああ、お早よう。美保、愛しているよ」。
「私も。好き、大好き。幸せよ」。
そして早速サイクルウエアーに着替えて自転車をだした。
「お早よう、朝食前の一走りか」。
小山は片手を上げた。「ああ、行ってくる」と二人は手を挙げて挨拶すると乗り出した。
京平はトランシーバーの性能を確かめるからと美保を止め、どんどん離れて行った。そして交信した、かなり感度がよく性能が良い事分かった。
すると美保を聖パウロ教会まで来るように伝えた。
「分かった」と、返事をすると数分で到着した。
そして、三笠ハウスの方へ走った。すると恰好なサイクリングコースが見付かった。その後、二人はホテル鹿島の森の先にあるコースを見に戻った。
そしてホテル鹿島の森を過ぎると京平は自転車を降りた。
「やっぱり三笠ハウスのサイクリングコースに決めよう、見通しも良いし車両進入禁止だ。それに恰好なベンチもある」。
「うん、こっちより向こうのほうがステキな所だったね。カラ松の中をコースが作られていて、景色も良かったもの」。
こうして二人はロッヂに戻った。そしてシャワーを浴びてレストハウスへ向かった。すでに学生達は食事をしていて中は賑やかだった。
二人は簡単な朝食を頼んだ。トーストにサラダ、そしてアイスコーヒーで食事を済ませた。すると小山が書類をもって来た、
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