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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(35)&CG

2008-08-12 10:25:39 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(35)&CG

「それで、此れからどうするの?・・・」。
「うん、帰ろう。マリブへ行こう。近くまで来たから寄った事にして貴明の両親の顔を覚えないと」。
「だったら早く行かないと出掛けちゃうかも」。
「そうか。じゃあ今から車を乗り換えて行こう。五時を回ったばかりだから食事の時に顔を見られる」。
「うん、でもどして車を乗り換えるの」。
「京都ナンバーだと聞かれたら困るだろ」。
「そうか、私ったら馬鹿だね」。
家に帰ると車を乗り換えるて出掛けた。母は帰ったのかと表に出てた。そして美保の車を見てポカ~ンと見ていた。
「全く」。母は止してよと言う素振りで眉を挙げて家の中へ入った。
そして数十分、みそら野に着くとペンション・マリブの前に車を止めた。すると、突然クラクションを鳴らした。窓から顔を出すと
「おい、そこはわしの駐車場や、車を動かしてくれ」。見ると京都ナンバーのベンツだった。
「美保、乗って。見るな、早く乗って」。
美保は何が何だか分からないままドアを閉めた。そしてバックさせると反対側の駐車場へ車を止めた。
「なんて言い草なの、わしの駐車場や・・・あのナンバー・・・京平さん」。
「うん、貴明の家の車庫にあったベンツだ。貴明の父親だよ。横暴な男だ。あれでも医者だから参るよな」。
「うん。あっ、降りて来た。ひどい顔、あれで良く奥さん貰えたわね。見て、ペンションから出て来た人が奥さんじゃない」?
見ると、白のパンツスーツを着てスラットした細身の奇麗な奥さんだった。そして車から降りた男に近付いて頭を下げていた。
真田貴明の義父はモサッとした陰気の感じの悪い中年男だった。そして男の後ろから女房がつづいてペンションの中に姿を消した。
「どうする、降りてオーナーに顔を出すの」?
「いや、止そう。夕食の支度で忙しいだろうから。それに真田の顔さえ分かればそれでいい。帰ろう」。
「うん、ねえ帰りに薬局に寄ってくれない」。
「ああ、良いけど。どうしたの、身体の具合でも悪いのか」。
「ううん、あれ・・・・もう鈍いんだから」。
「ああ、そうか。ごめんごめん、分かったよ。生理だろ」。
「いや~もう、意地悪なんだから。早く帰ろうよ」。
美保は恥ずかしそうに俯いていた。そんな美保が意地らしくてならなかった。
夫婦とは言え、恥じらいは幾つになっても持ちづづけて欲しいと思った。そして薬局に寄って家に帰った。
そして翌日、私は早く目が覚めてしまい、時計を見るとまだ五時を回ったばかりだった。美保はグッスリ眠っていた。そっとベッドから出た。
すると腕を握った。「もう目が覚めたの」。
「なんだ起きてイたのか、ジュース持って来るよ。喉乾いた」。
「だったら私が持って来ます。何でも良い?・・・」。
美保はベッドから跳ね起きるとキスして部屋を出て行った。するとドアの隙間から話し声が聞こえた。ドアを開けて覗くと母も起きていた。
「どうしたの京平まで、こんなに早く起きて」。
「お早よう。別に理由なんかないよ。目が覚めたら美保をお越しちゃっただけだよ。母さん別荘に行って来るよ。このあいだ切った木も割っておかなきゃならないし、少し修理もしたいから」。
「いいわよ、美保さんも連れて行くんでしょう」?
「美保はどうする、もう少し寝ているか?・・・」。
「ううん、私も行きたい。お義母さん良いですか?・・・」。
「ええ、いいわよ。昨日お父さんから聞かなかったの。ペンションの方はいいからゆっくりなさい」。
「お聞きしましけど、じゃあお言葉に甘えさせて頂きます。でも用があったら言って下さいね」。
「はいはい。それで、飲み物でも取りに来たんでしょう。好きなものを持ってっていいですよ」。
母はそう言って部屋へ戻った。私と美保はカウンターの冷蔵庫からオレンジジュースとコーラーを持って帰った。
それでも早すぎると思い、ベッドへ入った。しかし眠れずテレビを点けた。
「京平さん、あの件だけど。何処へ呼び出すか決めたの?・・」。
「その事だけど、幸子さんの自殺に関して僕等は無関係じゃないからさ、真田をこの白馬の近郊で始末したら疑いをかけられる事は間違いないと思う。
だから夫婦揃って軽井沢のペンションか、貸し別荘に移るように話を進めようと思っているんだ」。
「でもこの時期にペンション空いているかしら」。
「うん、それは問題ないと思う。先月の月末にやったペンションのオナー会議の時に軽井沢観光協会の人がいてね、景気が悪くて随分空きがあるって困っていたから。あの口ぶりならキャンセル待ちなんて事はないと思う」。
「それで、どうやって話しを進めるの?・・・」。
「計画はこうだ。息子の貴明を人質にしている事にする。きっと電話で安否を確かめるだろう」。
「そうか。それで家を出て電話には絶対出るなって言ったのね、流石だな京平さんは、もう昨日の内に頭にあったんだ」。
美保は半身になって胸に乗ると顎を乗せてじっと目を見詰めていた。
「それからどうするの?・・・」。
「ともかく相手には営利目的だと思わせる事が肝心だからね。口止め料を催促する。まず一千万くらい要求してみる。
それで真田の出方を見てから徐々に上乗せして、精神的に追い詰めてやるよ。会話はあのテーブレコーダーで録音してね」。
「きっと驚くわよ、家に電話しても携帯に電話しても息子が出ないとなると信じるしかないものね」。
「うん。貴明にもう一度話しを訊く。それを録音してを聞かせれば観念するさ。
貴明にはあの晩の話しは録音していると脅かしておいたから、言う事を聞かざるを得ないならね」。
「ウフッ・・・凄い張ったり、それも営業で身に着けたの?・・・」。
「そう言う事かな、粘りと誠意と張ったりだからね営業なんて」。
そして六時を回ると起き出して着替えた。そして少しばかりの着替えを持って家を出た。そして公衆電話の前で車を止めるとテープレコーダーを出して真田貴明に電話した。そして合図した通り、過ぐに切るとかけ直した。
まだ七時だと言うのにすぐに出た。
NO-35

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(34)&CG

2008-08-10 18:57:50 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(34)&CG

「そうですか、御苦労さんだったね。ペンションの方はなんとかアルバイトを頼んだからね。新婚旅行にも行かせてやれなくて済まないね。その代わりと言ってはなんだけど、盆休みは二人でゆっくりしなさい」。
「有り難うございます、でもお手伝いします」。
「美保、せっかくそう言ってくれているから。休みを貰おう、仕事はづうっとあるんだから」。
「はい、じゃあそうさせて頂きます。お義父さんとお義母さんにお土産買ってきましたから、後でお渡ししますね」。
父はニッコリ笑うと草刈カマを下に置き、軍手を外した。そして荷物を運ぶのを手伝ってくれた。すると、事務所の窓が空いて母が顔を出した。
「お帰りなさい、お疲れ様でした」と直ぐに閉めると出て来て一緒に運ぶのを手伝っていた。
美保はもう家族なんだ。そう改めて感じた時だった。
荷物を運び入ると急に疲れを感じ、ソファーに横になった。すると、つま先と身体が重くなるのを感じて目を綴じると、いつしか眠っていた。
美保はそんな夫を見て、そっとタオルケットを掛けていた。そして旅行バックから現金と銃を取り出すと箪笥の奥にしまい、洗濯物を篭に入れていた。
そして、部屋着に着替えて洗濯物を持って下へ降りて行った。
「美保さん、言い忘れたけど昨日京都の警察の土屋とか言う刑事さんから電話があってね、色々話をしてくれて、ともかく謝っていたと伝えて欲しいって。京平怒ったんですってね」。
「そうですか、京平さん頼もしかったですよ」。
「京平の怒った顔なんか見た事ないから聞いて驚いてしまったわ。京平は」?
「はい、私運転代わるって言ったんですけど一人でづっと運転してくれて疲れたんですね。休んでいます」。
「そうそう、それから京都のホテルから何か届いていますよ」。
「フイルムです。一つ忘れて来てしまって、電話したら送ってくれたんです」。
美保は義母から膨らんだ封筒を受け取るとエプロンのポケットに入れた。
「美保さんは疲れてないの、お洗濯なら私がしますよ」。
「はい、有り難うございます。でも私は半分以上寝てしまって、京平さんに悪くて。それに洗濯物くらいは私がします」。
「そう、じゃあ洗濯機を回したらお茶にしましょうね」。
「はい、直ぐに行きます。お義母さん、私京平さんのお嫁さんにして貰って良かったです。凄く幸せです」。
「良かったわね」。義母は笑顔で頷くと事務所に入った。
美保は洗濯場に行くと洗濯機を回して事務所に行った。
そして義両親と三人で机を挟んで京都の土産の八ツ橋やせんべいをお茶の共に和気あいあいと雑談していた。
そして、お茶を持って部屋に戻ると夫は起きていた。
「起きていたの。はい、お茶です」。
「うん、有り難う。もう片付け済んだんだ。美保、考えたんだけどさ。貴明を一週間くらい旅行に行かようと思うんだ。父親と連絡取らせないようにさせる為に」。美保は驚いたように隣に座った。
「どう言う事?・・・」
「うん、マリブに居る父親に電話して威しを入れてみようと思う。父親は貴明に連絡して事情を聞くだろう。それをさせない為に貴明を旅行に出すんだ。
それに、あの刑事も張っていると思う、アリバイをしっかりさせておいて父親を始末すれば貴明には容疑がかからないからね」。
「あ~っ・・・」美保は二度三度と頷くと義母から聞いた電話の事を伝えた。そしてフィルムをエプロンから出すと差し出した。
「今から電話してくるから美保も一緒に行くか」?
「うん、あのお金も銀行に入れて来たいから行く。それから、あのピストルやライフルの事だけど、見付からない」?
「ああ、父も母も僕等がいない時には絶対部屋には入らないから心配ないよ。それが親子の約束事だから」。
「そう、だったら良いけど。少し心配だったから」。
美保は箪笥から現金と通帳を取り出すとリュックに入れた。私はお茶を一気に飲んでキーを持つと部屋を出た。
そして母に銀行へ行って来る事を伝え、美保のBMで白馬町の銀行へ向かった。
そして同級生のいる窓口へ九百万の現金と通帳を出した。
「紺野さん、こんな奇麗な奥さん貰って。京都出身なんだってね。京美人ね」。
「いいえ、そんな。左京区です。海野さんの事は京平さんから伺っています。美保です、宜しくお願いします」。
海野敦子は丁寧に頭を下げると現金と通帳を両手で受け取った。
そして現金を機械に掛けて数えていた。そして電算機に通帳を挟むと記帳していた。閉店間際で急いで飛び込んでくる客も多く、海野敦子と話をする暇もなく銀行を出た。
そして外にある電話ボックスに入った。そして京都の真田貴明の携帯へ掛けた。すると間もなく出た。
「俺だ、真田か?・・・」。
「はい、昨日は済みませんでした」。
「表に刑事居たろ」。
「はい、どうして?・・・そうですよね。さっき買い物に出たんですが尾行して来ました。いまも見張っています」
「そうか、夕方から行動を起こすから、お前は今から旅行に行け。何処でもいい、分かる様に家を出ろ。
携帯電話は俺達以外は出るな。お前のアリバイは刑事がしてくれる」。
「はい、刑事に尾行されて良いんですか?・・・」。
「それが狙いだ。その二人は京都婦警の土屋警部補と小森刑事だ。その二人に分かるように旅行バックを持って家を出ろ。
場所は何処でも好きな所へ旅行に行け。我々の一人が尾行する。それでだ、我々が電話するときは一度コールして切る、そしてかけ直す。
くどいようだが決して電話には出るな。それから態度は普通にな、警察に知れたら今度はお前が首謀者になるんだぞ。分かったな」。
「分かりました。母はこの件に関して何も知りませんので、それだけは宜しくお願いします」。
「分かっている、ではまた電話する」。
そして電話を切った。真田貴明は上ずった声をしていたものの、少しは落ち着いた様子だった。
「京平さん、迫力あるね」。
「えっ、そう。でも今のは演技だからさ」。
美保は思った。夫は生まれながらにペンションの坊ちゃんなんだと。そして優しい夫だと。巡り会えて良かったと思った。
NO-34-90

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(33)&CG

2008-08-10 18:55:36 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(33)&CG

「エ~ッ・・・それじゃ好都合ね。そう、じゃあ怖かったでしょうね」。
「うん、話している間づっと声が震えていたよ。美保、父親にも同じ手を使うか。地元では始末出来ないから何処かへおびき寄せて一発で仕留めるか。友世さんと幸子さんの敵討ちだ」。
「うん、私にお掃除させて。本当言うと今夜も私が行きたかったの。でも京平さんが行ってくれて良かった。私だったら何も聞かずに始末していたかも知れないもん」。
「うん、無駄に命を奪わなくて良かったよな」。
美保はルームサービスで取ったシャンパンとカナッペを持って来てくれた。
そして冷えたシャンパンを開けた。二人の自殺の裏に隠された真実が判明した事にグラスを重ねた。その二人の傍らには黒く鈍く光る銃がおかれていた。
そしてシャンパンを飲み干すと風呂に入り、午前一時にはベッドに入った。
翌朝、二人は目覚時計で目を覚ました。そしてシャワーを浴びると荷造りをした。例の現金をバックの底に入れ、銃を戻してしまった。
そしてフロントに電話を入れ、清算を頼んだ。フロントでは夕べのルームサービスのベルボーイから聞いて清算を済ませてあった。
そして荷物を持つとフロントに降りた。そしてまだ客もいない静まり返ったロビーで支払いを済ませてホテルを出た。
澄み切った青空が生暖かい風を二人を包んでいた。
そして駐車場を出ると東へ向かった。左手に平安神宮、右手に御所を見て真っすぐ走った。二条城の信号を南に右折し、右手に二条城を通り過ぎ、下京区に入った。まだ六時を過ぎた頃で人気も殆どなかった。
そしてグランドホテルの前を走り抜け、JRの高架橋をくぐって九条に入った。
東本願寺の信号を南に左折し、高橋幸子の実家の前で止まった。二人は両手を合わせて再び発進させた。
「美保、何を話していたんたの」。
「うん、真実が分かった事を話して敵は必ず討つって約束したの。なんだか知らないけど涙が出て来ちゃった」。とハンカチを出して涙を拭いていた。
そして国道一号線に出ると名神高速京都南インターに向かった。
ホテルを出て道路が空いてたせいもあり、三十数分で高速に乗った。私は西日が眩しい事はあっても、東から昇る朝日にバイザーを降ろした事はなかった。
そんな事を独り言のように言うと美保は笑っていた。
「そう言えば私、自分の車の助手席に乗るのって初めてよ」。
「うん、そんなもんだよ。美保、朝食は大垣に入ってから養老サービスエリアにしようか」?
「うん、私そんなにお腹も空いてないからそれでいいよ。それよりさ、新幹線で東京経由より早く帰れそうね」。
「うん、なんで車で来なかったんだろうな。でも車で来なくて正解だったよ、美保の車を乗って帰れるからね」。
「うん。帰ったら早速ナンバー変更しなくちゃ。この車京平さん乗っていいよ。私には合わないから」。
「そんな事ないさ、乗りたい時に自由に乗ったらいい。山へ行く時は四駆で街に行く時はBMにしたら車も痛まなくていいぞ」。
「そうだね、そうしよう」。
そして次第に高速を走る車の数も増えていた。そして一時間半も走ると米原ジャンクションを過ぎた。そして大垣に入り、養老サービスエリアに入った。
燃料を入れて朝食を取った。
そして土産を買って九時には高速に戻った。美保はシートを倒して楽な姿勢になると、いつしか寝息をたてていた。
サンバイザーを下ろし、エアコンを弱くした。そして後ろのシートに手を延ばしてジャケットを取ってミニスカートの膝に掛けた。
空には相変わらず真っ青な空が広がっていた。そして時を刻む事に太陽の陽射しが次第に強くなっていた。
そして二時間、名神高速小牧ジャンクションから中央自動車道に入っていた。美保は気持ち良さそうに眠っていた。
そして多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市を抜けて恵那山トンネルに入った。オレンジの明かりがどこまでも続いていた。そして強い日光で焼けた車体も幾分冷えたようにも感じた。
すると、不意に美保が目を覚まして起き上がった。
「私寝ちゃった。え~っこんな時間。三時間も寝ちゃった。ごめんなさい」。
「いいよ、トンネルを出たら休憩しよう。喉が乾いたろ」。
「うん、疲れたでしょう。私代わるよ」。
「いいよ、そんなに疲れてないから。営業していた頃なんか毎日300キロは走っていたからね」。
「うん、じゃあ疲れたら言ってね。無理しないでね」。
そしてトンネルを抜け、那智パーキングに入った。美保は車から降りるとトイレに駆け込んだ。
そして出て来るとスッキリした顔をして私が差し出したジュースを口に運んでいた。「あ~っ美味しい、天気も最高だね」。
美保は両手を広げ、背筋を伸ばしていた。するとマイクロミニのスカートが上がって下着が見え隠れしていた。
「美保。下着が見えるぞ」。
「あっ、そうだっけ。短かったんだ、私ったら」。そう言いながら赤面すると急いでスカートの裾を下ろしていた。
そしてキョロキョロ辺りを見回していた。
「ねえ京平さん、BMW来月車検なんだけど、ナンバー交換と一緒に車検に出しても良いですか」?
「うん、いいよ。その方が手間が二重にならなくて良いからね」。
「有り難う。京平さん大好き」。
「どうした急に。僕も好きだよ、愛しているよ美保」。
美保は腕にしがみついた。そして車に乗り込んだ。そしてキスした。そしてエンジンをスタートさせた。そして高速に戻って松本に向けて走らせた。
そして岡谷ジャンクションから長野自動車道に入り、豊科インターを二時には降りた。そして知り合いのレストランに入って遅い昼食を済ませ、白馬に帰った。ペンションへ着くと父が庭で草を刈っていた。
京都ナンバーの車を見て駆け寄った。そして運転しているのが私で余計驚いていた。「お帰り、どうしたんだその車は」?
「お義父さんただいま帰りました。この車は私のなんです。母が持って行きなさいって言うもので、持って来ました」。
「そうかね、でも良い車だね。それでどうだった」?
「はい、やっぱり失恋したのを苦にしての自殺ですって。それで幸子の御両親がお義父さん達に宜しく伝えて欲しいと」。
NO-33


小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(32)&CG

2008-08-08 03:33:42 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(32)&CG

「はい、家の明かりはそのままで裏から出るんですね」。
「復唱するな、黒い服を着て誰にも見られるな。分かったな」。
私は時計を見ながら受話器を置いた。そして宝池に向かった。そして見付けておいた場所に車を止めると真田の来るのを待った。
すると、一台のタクシーが池の反対側で止まった。目を凝らして見ると紙袋を下げた真田貴明だった。そして佐々木友世が殺されていたベンチに向かって歩いていた。
私は車を離れ、ベンチの真後ろの草むらに身体を潜めて待った。
真田は辺りをキョロキョロ見回しながらベンチに座った。
予定より五分ほど早く到着した。
「振り向くな、その間まで聞け。袋をそっと後ろに投げろ」。
言われるまま紙袋をガサガサ音をさせて丸めてそっと投げた。ドサッと草むらに落ちた袋を拾った。
「どうして殺した、結婚を迫ったからか?・・・」。
「聞いて下さい。自分は誰も殺していません。父が、父が二人を殺したんです。二人から献いで貰った金も父に言われて取ったんです。自分は父の命令で次から次へ女から金を」。
「そうか、思った通りだ。それは言い逃れや嘘じゃないだろうな」。
「はい、あんな父は親だと思っていません。だってそうでしょう、息子に紐をやれなんて親が何処にいますか」。
「なるほどな、思ったとおりだな。今の話しは録音したからな。それでお前のアリバイがちゃんとしていたのか」。
「自分が話した事は父には言わないで下さい。殺されてしまう」。
「それで両親は何処へ行ったんだ」。
「長野県の松本です。松本のみそら野のペンション・マリブとか言う所へ今日から一週間の予定で旅行に行きました」。
「お前いま言った事は事実か。どうして父親が息子のお前にそんな事をさせるんだ。誰が考えても変だろ」。
「自分は養子で本当の親子じゃないです。自分は医者になれなかった事を恨んで詐欺師みいな事をさせられるようになったんです」。
私はその話しに嘘はないと思った。
「父親をどうして欲しい」。
「あんな父は要らない、家を出て一人で暮らしたいです。自分はいつも能無しだ、バカだって言われ続けて来ました。あのベンツだって女が引っ掛かり易いからって買わされたんです。
家を出ようにも育てて貰った恩があります。母は父とは違って自分を可愛いがってくれます。そんな母を一人残して家を出られないんです」。
「本当はな、お前を殺しに来た。でも気が変わった。こっちを見ろ」。
「いえ、見ない方が良いです。見れば殺されます。貴方は九州や大坂で要人を殺したスナイパーでしょう」。そういう声は震えていた。
そうか、そう思い込んでいるのか。じゃあそれを使うか。計画を変更した。
「分かっていたのか、この金はどうやって集めたんだ」。
「はい、父の通帳から黙って降ろしました。・・・また叱られます」。
「そうか、じゃあこの金は父親を始末する代金として貰おう。足りないが後でまた貰いに来る。
お前と母親は生かしておいてやる。でも忘れるな、一言でも喋ったら二人の命はないからな」。
「はい、有り難うございます。決して誰にも話しません。済みません、もし警察に父の通帳から降ろしたお金の事を聞かれたらどう話せばいいですか」?
「そんなの適当に考えろ。仲間がお前を見張っているからな、それから真面目に働け、女を食い物にした時は分かっているな」。
「はい、恩は決して忘れません。まじめに働きます。失礼します」。
「おい、それを持ってけ。裏から入れよ」。
私は袋から一つの束を真田の足元に投げた。真田は拾うとポケットに入れ、タクシーを降りた方へ歩いて行った。
私は銃をホルダーに戻し、小さくなって行く真田貴明を見ていた。まさか、父親が息子に女から金を巻き上げさせていたとは想像もしていなかった。
すると、真田は通り掛かったタクシーを拾うと乗り込んだ。京平はそれを確認すると車に戻り、ホテルに戻ると駐車場に入れて非常階段から部屋に戻った
「お帰りなさい、こっは上手く行きました。どうでした?・・」。
「うん。美保、聞いて驚くなよ。真田貴明は二人を殺してない。父親だ」。
「エ~ッ・・・でもどうして父親が殺すの」。美保は愕然と見詰めていた。
私は真田から話を聞いた通りに話した。
すると、信じられないように目を丸くして驚いて聞いていた。
「嘘~っ、まさかそんな事ってあるの。そう、貴明は養子だったの。でもその話しに間違いはないの。貴明は自分が生き延びたいために嘘をついてるんじゃないの」?
「いや、あれは真実を話しているよ。刑事が言っていたろ、息子にはしっかりしたアリバイがあったって。
まさか息子の付き合っている女性を父親が殺したとは警察だって考えないさ。ましてタクシーの運転手まで貴明の事を悪く言うんだからね。荒手の稼ぎ方だよな」。
「そう、それで貴明を許してやったんだ。じゃあ父親ね」。
「うん、それが今日から一週間の予定で安墨野のベンション・マリブに行っているんだってさ」。
「えっ、マリブさんだったら知り合いじゃない。どうするの」?
「うん、この金は代償に貰って来た。真田の奴、一千万用意してあった。百万は貴明にくれてやったよ。金がないと困るだろ」。
「まったく人が良いんだから。そう、父親が首謀者だったの」。
美保は自分の父親の事が不図思い出していた。自分の父親も会社の為に娘の自分を財産家に嫁がせようとしていた事を。
そして貴明に同情のような感情が生まれているを感じていた。
「でもこっちは旨く行ったのよ。ベルボーイの人ったらシャワー室に貴方が本当にいると思ってね、頭を下げてったわよ。私帰ってから笑っちゃった」。
「そうか、でもこうなって良かったかも知れないな。帰りに真田の家の前を通ったら、あの刑事がまだ車の中で張っていた。始末していたら大騒ぎになっていたな」。
「まだって、行くときも居たの」。
「うん、だから明かりを着けたまま裏か出てタクシーで来させた」。
「じゃあ私達が騒いだから調べてくれる気持ちになったのね。でも父親が首謀者ならあの刑事も空振りね。それでどうするの、もし貴明が刑事に話したら」。
「いや、それはないよ。貴明は父親に言われて女性を食い物にして金を献がせていたにすぎないからね。それに貴明は僕たちを例の殺し屋だと信じている。少し脅かしておいた」。
NO-32-84

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(31)&CG

2008-08-08 03:31:09 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(31)&CG

「ああ、今出るよ」美保は私に声を掛けるタイミングを覚えていた。
「これならバッチリね、ボーイさんがルームサーピスをもって来て私がドアを開けるとどうじに。貴方、来たわよ。って言うと「ああ、いま出るよ」って聞こえる。ボーイさんは貴方がシャワーを浴びていると信じてアリバイ作りは完璧ね。私もシャワーから出たばかりのカッコウでいようか」。
「うん、髪を濡らしてバスローブで出てくれれは尚いいかもな」。
「分かった、じゃあそうするね」。
すると美保は帯びをほどいて浴衣を脱いだ、下着は付けていなかった。全裸になった美保は濡れた私の体に抱き着いた。
「京平さん抱いて、抱いて下さい」。抱き上げてベッドに運んだ。
美保は何時に無く激しく悶え、官能に達すると、力が抜け、グッタリと横たえた。そして唇を重ねた。そして腕を枕にいつしか眠ってしまった。
そんな眠りの中、美保の手が私の手を探して持つと、胸に運んだ。そして背中を向けると腕を抱くように眠っていた。
美保を背中越しに抱いて寝息を聞いていると、いつしか眠っていた。
そして十日、目を覚ますと美保はベッドにいなかった。時計に目を移すと既に十時を回っていた。
シヤワーを浴びて着替えようと洋服を見るとメモが残されていた。
「コインランドリーに行って来ます」と書かれていた。
すると、間もなくドアの鍵が開いて美保が戻って来た。
「京平さんお早よう、良く眠っていたから。ホテルの地下にコインランドリーがあるのね、助かっちゃった。それに夕べ出したクリーニングも出来ていた」。
美保はTシャツにG~ンズと言うラフな恰好に薄と化粧していた。
「そう、食事はどうしようか。もうモーニングは終わってしまったから。何か頼もうか」。
「うん、私サンドイッチにミルクがいい」。
受話器を取るとルームサービスを頼んだ。すると、数分でドアをノックする音がした。私は印象を強くさせる為にチップを包んでベルガールに渡した。
そして食事を済ませ、カメラ片手にロビーに降りた。すると、ルームサービスを運んでくれたベルガールが歩み寄って来た。
「先程は有り難うございました。あんなに沢山戴いて宜しいんでしょうか」。と少し不思議そうな顔を見せた。
「ええ、いいんですよ。今夜また一晩お世話になります」。
私は美保の肩を抱くようにホテルを出た。そして駐車場に行って溜まった料金を払い、少し曇った空の下、平安神宮から岡崎公園、動物園、そして野村美術館と見学して駐車場に戻った。
そして駐車場に向かい、半日で溜まった料金を払ってホテルに帰った。
その頃には陽が傾きはじめ、西の空には夕焼けが眩しく映った。
「疲れたか」。美保は笑顔を見せながら腕にまとわりついた。
「ううんちっとも、こんなに歩いたのは久し振りだけど、ゆっくりだったから少しも疲れてないよ。汗流そうか」。
美保は買って来たお札や土産の小物を整理していた。そして風呂の湯が溜まるころになると二人で入った。
そして出ると窓の外は夕闇に包まれ、夜景がチラホラ輝き初めていた。時計を見ると六時半を回っていた。
美保はクリーニングから戻って来た袋からスラックスと薄いブルーのサマーセータを取り出して袋から出して私に渡した。
美保はバスローブを落とすと、真っ白なショーツをはいてブラを着け、ペアのサマーセーターを着た。そして真っ白なパンツをはいた。そしてスニーカに履き替えてホテルのレストランに向かった。
美保は和食を頼み、私はショウガ焼きが食べたくなって美保とは別メニューを頼んだ。
食事を済ませ、時計を見ると七時半、部屋に戻ると花火を持ってロビーに下りた。そしてホテルからバケツを借りて水を入れて庭に出た。
そして花火を点けて遊んだ。すると一般客も寄って来た。皆んなで遊んだ。
私は業と風下に座って硝煙を体に浴びた。
誰もがどんな目的で花火をしているのか分からないだろう。美保は含み笑いを浮かべにがらはしゃいでいた。
そして三十分もすると、多めに買ってきた花火も終わり、後片付けをして部屋に戻った。
そして、旅行バックの底から分厚い辞典を出した。タオルに巻いた銃を取り出した。そして手袋をするとホルダーから銃を外して渡した。

そしてテープレコーダーのスイッチを入れ、話すタイミングを何度となく聴いて練習していた。私はグリーンのジャージに着替え、同色のスニーカーを履いた。そしてガンホルダーを肩に消音器を着けた銃を入れてジャンバーを着た。そして九時、私は小銭入れをポケットに入れて美保にキスした。
美保は私に帽子を被せるとドアを開け、廊下に人気のない事を確認すると「気をつけてね」。と美保はエレベーターへ走った。
そしてOKと左手で合図した。私は走って非常階段に行くと外へでた。
思った通り、裏には人気は無く、私はタオルを首に巻いてジョギングしながら駐車場へ走った。
すると、二人の男が入り口にいた。私は自動販売機でジュースを買いながら居なくなるのを待った。するとすぐに走り去った。
そしてメーター料金にコインを落とし、車を出して東山に向かった。私は目立たないよに車を走らせた。
そして茶町の真田貴明の家に近付くと、家の手前には車が止まっていた。
車の中には二人の男が乗っていた。
私は手前の十字路を右折して公園の反対側に車を止めた。双眼鏡をだして見ると、ガレージの中には真田のベンツが入っていた。
車を出して一町ほど走って公衆電話を探して電話を掛けた。するとすぐに出た。
「真田です。いつもの人ですか」。真田の声は震えていた。
「ああ、用意は出来たか」?
「はい、何とか借りて全額揃えました。言われた通りピン札は一枚も入っていません。どうすれば良いですか」。
「よし、家には誰がいるのか」?
「いいえ、自分一人です。両親は今夜は帰って来ません」。
「家の明かりを点けたまま裏からでろ。車は使うな。タクシーで宝池に向かえ。あのベンチ分かるな」
「はい、あそこへ行くんですか。別の所じゃ駄目ですか」?
「駄目だ。断れば商談は終わりになる」。
「いえ、行きます。必ず行きます」。
「では22時ちょうどに来い。もし誰かと来たり知らせた場合は分かっているな。商談はその時点で破談だ」。
NO-31

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(30)&CG

2008-08-05 13:45:06 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(30)&CG

「嗚呼ッ駄目ッ・・嗚呼ッ・・・」美保のブラウスを脱がせ、ブラを外した。汗ばんだ乳房がたまらなく刺激的だった。美保は間もなく絶叫すると達した。そんな美保を抱き上げ、シャワー室に連れて行った。
「京平さんったらッ鳴呼ッ・・駄目だったらッ・・」
私はシャワーを流しながら花園に舌を入れた。そして陰核を愛撫すると、美保は内股を痙攣させると達した。そして床に座り込んだ。
「もうっ京平さんったら・・・愛してる?・・・」。
「うん、愛しているよ美保」。
そして美保の体を洗い、湯舟に二人で浸かっていた。そして空腹も忘れてゆっくり風呂に入っていた。
そして出ると七時を回っていた。急いで着替えると「ちょっと待っていて、クリーニングに出すの持ってくるから」。
間も無く洗濯物が入った袋を持ってきた。フロントに出してホテルを出た。
そして南禅寺の近くにある、善、と言う古めかしい和食の料亭に入った。
「おやっ、紺野か?・・・紺野じゃないか。久し振りだな。お連れの美しいレディーはどちらさんかな」。
「先生、お久し振りです。妻の美保です」。
「は、はじめまして、妻の美保です。宜しくお願いします」。
「結婚したのか。おめでとう、会社辞めたんだって?・・」
「はい、二人で家の手伝いをしています。先生、先生のお進めを二つお願いします」。
「どうぞ」。と作務衣の店員が座敷に案内した。こじんまりとした懐かしい和室の座敷だった。
「ねえ、先生ってなんの先生なの。何も教えてくれないんだもん」。
「うん、前は早稲田大学の教授だった人だよ。教授を辞めてこの料亭を出したんだ。もう六年になるかな」。
「え~っ、大学の教授だったの。不思議な人ね、それで何の教授」。
「うん。電子物理学の教授だよ、僕の恩師だよ」。
「えっ、京平さん電子物理学を専攻していたの。それで電気関係にも強いんだね。でも変わっているわね。教授の道を辞めて料亭の主なんて」。
「うん、でも良い先生だよ。心が広くて寛大でさ。見習いたいよ」。すると料理が運ばれて来た。美保は目を見張って驚いていた。
刺身に煮物、焼き物にみそ汁、そして漬け物にと、此れぞと言わんばかりに運ばれて来た。
「紺野君、今日は心ばかりの結婚祝いだ。ゆっくり堪能してってくれ。奥さん、ごゆっくりどうぞ」。
「はい、とっても美味しいです。頂きます」。
そして所狭しと置かれた料理を美保は驚くほと良く食べた。
そして食事を済ませ時計を見ると、九時を回っていた。そして勘定を聞くと、やはり受け取って貰えなかった。
私達は言葉に甘えて御馳走になり、料亭を出た。そして公衆電話を探して二人で電話ボックスに入り、真田貴明の携帯に電話を入れた。
すると一回目のコールが鳴り終わらない内に真田が出た。
「は、はい、真田です。夕べの方ですね」?
「ああ、取引は成立しているか?・・・」。
「はい、言われた額は用意しました。夕方から家も出ていません」。
「それは分かっている。所で、今夜の取引だが延期だ。明日の夜までに全額用意してくれ」。
「ま・待って下さい、とても無理です。貯金を全部かき集めても無理です。なんとか勘弁してくれませんか」。
「お前ベンツがあるだろ、どうせ女から献がせた金で買ったんだろ。一度しか言わない、明日のこの時間に電話する」。
「ま・待って下さい、あのベンツはまだ月賦が残っているんです。五百万なら何とかなります。それで許して下さい。それからもう女とは付き合いません。真面目に働きますから」。
「駄目だ、お前は二人も殺しているんだぞ。甘い事は言うな、今は月賦が残っていても売れる。それとも自殺して詫びるか」。
「嫌です、分かりました。車を売って作ります」。
私は追い詰め過ぎたかと思いながら電話を切った。そしてホテルに戻った。シャワーを軽く浴びて浴衣に着替えソファーに掛けた。
そして電話の内容を美保に話した。
「五百万で許してくれだなんて虫が良すぎるわよね。友代も幸子もあの男に殺されて、この世に居ないのに。私は絶対に許せない。
お金で苦しめても生きてる限りあの男は同じ事をまたするわよ」。美保の瞳は憎しみに満ち、テーブルの灰皿をじいっと見ていた。
私は始末するのは止そうと思い始めていた。電話のうろたえた怯えた声、それがどうしても心に引っ掛かっていた。
しかし、美保は私よりあの男の事を知っている。そんな美保が言う言葉に決心が固まった。そして十時、携帯でグランドホテルに電話した。それは一つ仕掛けを残して来たからだった。
「もしもし、4012号室に泊まった紺野ですが。ベッドの棚にフィルムケースを忘れて来たと思うんですが」。
「はい、確かに一つありました。それで先程白馬の御自宅の方へお送りしました。それから、午後に見えた刑事さんがお詫びにみえました。腹を立てて予定を切り上げてお帰りになった事をお伝えするとガッカリしておりました」。
「そうですか、それは有り難うございました。ではまた京都に行く折りがありましたらお世話になります」。
やっぱり私の勘は当たった。此れで真田が殺されても私達の事は疑う事はないだろう。もし疑われた時は、明日の晩のシャワーに入っていた私の声のアリバイ工作が効いて来る。
「京平さん、どう言う事なの?・・フィルムって」。
「うん、きっとあの刑事がまた来るような気がしていたんだ。逆に刑事の心理を利用させて貰おうと思ってね。
それを確かめる為に業とフィルムを置いて来たんだ。理由もなしに電話出来ないからね。やっぱり土屋警部補がお詫びに来たってさ。それで、腹を立てて夕方の新幹線で帰った事を伝えたらガッカリして帰ったってさ」。
「そうか、それで真田を始末しても私達に疑いが来ないって寸法ね。もし疑われた時はこのホテルのボーイさんが夜食をもって来たときに貴方はシャワー室にいたと言うアリバイを主張してくれるって言う事ね。凄い、そこまで考えていたなんて」。
「じゃあ今からそのテープを録音するよ」。
そしてテープレコードを持って浴衣を脱いでシャワー室に入った。そしてシャワーの蛇口を捻った。鼻歌を歌った。「京平さん、来たわよ」。
NO-30-78

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(29)&CG

2008-08-05 13:41:41 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(29)&CG

「私じゃない、妻に詫びてくれ」。
「奥さん、回りくどい聞き方をして済みませんでした。どうか許して下さい」。
「いいえ、警察のやり方は分かっていますから。前もそうでした。あの時も刑事さんと同じように聞かれました。
たいして調べもしないで自殺と決め付けて片付けてしまったんです。一年半まえ友代が死んだ時も、何処から薬を手にいれたのかさえ調べなかった。今度もそうですよね。
絶対自殺なんかじゃないって私と御両親があれだけ訴えたのに、警察は聞いてくれませんでした。自殺に間違い無い。そう言って担当の刑事は迷惑そうな顔をして私達を睨みつけたんです。
佐々木友代さんは自殺したとされる五日後には私とデパートに行って、春休みに旅行に着て行く服を買う事になっていたんです。
そんな人が自殺なんかしますか。親友だった私には親にも言えない事も話してくれていたんです。そんな人が私に遺書も残さないで死にますか。
その事も総て警察に話しました。でも京都府警は取り合ってくれなかったんです。だめ警察ですよ京都府警は」。
美保はそう言うと刑事は黙ってしまった。そして静まり返った。
「奥さん、良く言った。署長にそう言って出直して来い」。傍観者の中からそんな声が耳に届いた。
「私たちには返す言葉がありません。確かにそう言う事があったかも知れません。ですが私達も一生懸命なんです。事件を幾つも抱えていましてね。どうか分かってくれませんか」。
「刑事さん、何を分かれと言うんです。秘密主義の警察の事なんか何一つ知っている人はいないのが現状でしょう。
刑事がどんな事件を抱えながら、殺されたのかも知れない者の事件を調べているなんて一般市民に分かり用がないでしょう。
被害者の遺族にしてみたら担当の刑事が頼りなんですよ。それを被害者の友人に聞き込みに来て、そう言った聞き方をしたり、都合が悪くなると刑事の仕事も分かって欲しい、ただ分かって欲しいなんて無理です。私は夫として此れ以上の協力は拒否させます」。
「そうですか、分かりました。どうも失礼しました。一つだけ聞かせて下さい。いつまで滞在されます」。
「そんな事お答えする必要はないと思いますが」。
私は腹が立って仕方がなかった。少し言い過ぎた感じもした。すると刑事はすごすごと帰って行った。
「やあ~っサッパリしたね。刑事にあれだれ啖呵を切ればスッキリしたでしょうな、アッハハハハけっこうけっこう」。
そう言って恰幅の良い老人はホテルを出て行った。美保は唖然と見ていた。
そしてアイスコーヒーを持ったまま呆然としているボーイから飲み物を受け取ると美保に渡した。そして一気に飲んで部屋に帰った。
「京平さんがあんなに怒ったの見たの初めて。頼もしかった」。
「僕だって怒る時は怒るさ、美保、すぐに夕方の新幹線のチケットをホテルに用意させてくれないか。怒って帰ったと見せ掛ける」
「はい、すぐに電話します」。
美保は受話器を取ると東京行きの新幹線の切符を頼んでいた。すると間もなく電話が入った。四十分後の五時三十五分発のこだまのチケットが取れたと電話が入った。
私達はすぐに支度して荷物を持つとロビーに降りた。すると、支配人が申し訳なさそうに歩み寄った。
「紺野様、誠に至りませんで申し訳ございませんでした」。
「いいえ、ホテルが悪いんじゃありません。警察が気に入らないだけです。また来ると嫌ですから帰ります。済みません御迷惑をお掛けしました」。
「またのお越しをお待ち申しております。お気を付けてどうぞ」。すると外は陽が傾き始めていた。そして夕暮れの街に出た。
私たちは駅へ歩いて駅舎に入った。まさか尾行はないと思ったが確認すると駐車場に向かった。そして車に乗り込んで携帯で左京区にあるホテル、サンフラワー京都に予約を取った。
「美保。明日の段取りは話した通りだから。今夜はゆっくりしよう。明日の晩決行する」。
「でも心配だな。少しでも不安な事があったら中止してね」。
「うん、分かっているよ」。
そしてホテルに向かった。そしてサンフラワーホテルの手前にある24時間営業の無人駐車場に車を入れた。
「どうしてこんなに入れずらい所に入れるの?・・他にも空いているよ」。
「この位置は監視カメラから死角になっているだろ。ナバーブレートが映らないんだ。右は絶対に向くなよ」。
「え~っ、そうなの。なんでも良く知っているね」。
「年の功だよ、だいたいこの位置はそうなんだ、学生の頃駐車場でアルバイトしていたから分かるんだ」。
美保は俯き下限で車を降りた。そしてホテルに向かった。
そんな道すがら、ふと頭に浮かんだのは三年前だった。豊島樹脂にいた頃、会社の研修で京都に来た頃の事が不意に思い出されて懐かしい感じて歩いていた。
そしてチェックインして部屋に通され、家に電話した。両親を騙す必要はなかったが、ホテルでの事を話した。
そしてホテルを出て今夜は東京に泊まり、十日の夕方に帰ると伝えて電話を切った。
「なんかお義父さんやお義母さんに申し訳ないね」。
「しょうがないさ、敵を欺くには味方からって言うだろ。何も知らない方がいいさ。美保、食事は何がいい」?
「うん、和食が食べたいな。お刺身に煮物とお味噌汁におしんこ」。
「よし、食べに出ようか。近くに和食の美味しい所があるんだ」。
「え~っどうして知っているの」?
「うん、三年前に会社の研修でこのホテルを使った事があってね、それで街を少し知っているんだ」。
「なんだ、そうだったの。さっきも道を良く知っているから不思議に思っていたの。なんだ、来ていたのか。じゃあ案内して下さる、あ・な・た」。
「はい、奥様。アッハハハハ、愛しているよ美保」。
「うん、私も好き。大好き、愛しています」。
美保は抱き着いてキスした。美保の心臓の鼓動が伝わってドキドキと波打っていた。そして美保を抱き上げて寝室に運んだ。
「駄目よ、汗かいているから。嗚呼ッ・・・駄目~っ」。ミニの中に手を忍ばせ、ショーツの中に手を滑らせた。
そして降ろすと舌を入れた。そしてベルトをゆるめた。
NO-28

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(28)&CG

2008-08-02 11:28:04 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(28)&CG

私はただ頷いて車庫に入った。すると紺のBMWが止まっていた。
「美保、車ってBMWに乗っているのか」?
「うん、左ハンドルは駄目?・・・」。
「駄目じゃないけど、乗って帰って良いのか。お父さんに叱られないか」?
「うん、だって此れはお母さんが前に乗っていた車だし、それにお母さんが買ったんだもん。父には関係ないの」。
「そう、それでお母さんは今なんの車に乗ってるの」。
「うん、たぶんジャガーじゃないかな。買い替えていなければだけど、母はカーキチでね、若い頃はレーサーだったの」。
「え~っ、そうか。それで美保も運転が上手なのか。レーサーね。此れは驚いた。じゃあ行こうか」。
美保は何のためらいもなく左のドアを開けて乗り込んだ。そして電動シャッターを開けた。そして窓を開けると棚の上にリモコンを置くとエンジンを駆けた。
BMW独特なエンジン音が鳴り渡り、ガレージを出た。そして表にいた時江に手を振るとクラクションを鳴らして実家を後にした。
そして白川町方面に走ると東山へ行く道を北へ左折した。そして宝ケ池駅に出ると車を止めた。
「京平さん、運転代わって。道を覚えた方がいいでしょう。それに車にも慣れておかないとさ」。
私は助手席から運転席へと移動してシートベルトを着けた。
久し振りの左ハンドルだった。
駅前をグルッと回って来た道を戻った。そして真っすぐ南に走ってホテルサンフラワーの通りを右折した。そして平安神宮を左に過ぎると次の交差点を左折した。そして祇園、八坂神社と過ぎて十三玄堂に向かって南下した。
そして東海道山陽新幹線のガードの手前を右折して京都駅に向かった。そしてグランドホテルの隣にある別の駐車場に入った。
「ちょうど四十分、でも夜は車が少ないから三十分で行けるわね。京平さん運転上手だね、左ハンドル乗っていたの」。
「いや、父さんが前にベンツ乗っていたからね、それで借りて乗っていたから慣れているだけだよ」。
「そう、じゃあ荷物は積んでおいても良いわよね」。
「うん、じゃあ土産を買ってホテルに戻ろう」。
そして三時過ぎには買い物を済ませてホテルに戻った。そしてフロントへ行くと。すると私達を待っていた人間がいた。
「失礼します、紺野京平さんと奥さんの美保さんですね。
私達は京都府警の土屋と佐野刑事です。高橋幸子さんの事で少しお聞きしたい事がありましてお待ちしていました。お時間戴けますか」。差し出した警察手帳を開いた。高級用紙第一頁には目の鋭い年配の土屋良也警部補と書かれていた。どうして、もう耳に入ったのかと思いながら頷いた。
「ええ、構いませんよ。アイスコーヒーを四つ頼みます」。
「はい、畏まりました」フロントマンはすぐに動いた。私は美保の肩を抱きながらロビーのボックスに腰を降ろした。
二人の刑事は真向かいに座り、手帳を開いてペンを手にした。
「では早速お聞きします。奥さんとは京大の同期と言う事ですね。最近高橋さんに会われたのはいつですか」?
「はい、幸子と久し振りに再会したのは白馬の夫のペンションです。確か六月の二十三日だったと思います。そうよね京平さん」。
「うん、間違いないよ。私たちが静岡から実家に帰った翌日だったからね。六月二十三日だよ」。
「そうですか、その時、高橋さんはお一人でしたか」?
「いいえ、会社の同僚と女性三人でペンションに泊まっていました。幸子とは大学ではそんなに仲が良い方ではありませんでした。
でも、卒業が近付くに連れて仲良しになったんです。たまに会ってはお買い物をしたりしていました。それで今年の一月に私が静岡に行ってから会っていませんでした」。
「静岡と言うと、仕事でですか」?
「いいえ、私が身体を壊して市立病院に二ケ月ほど入院したんです。その後は彼のアパートで暮らしていました」。
「では高橋さんとは半年以上お会いになっていなかったんですね」。
「はい、電話してもいつも留守でした」。
「それで次にお会いしたのはいつ頃でしょう」?
「昨日です。それもあんな姿になって。でも電話は六日の午後に夫のペンションにありました。盆休みに来る予定だった宿泊のキャンセルの電話でした」。
「そうですか、その時に何か話していませんでしたかね。例えば彼氏の事とか、金銭的な事を。貸して欲しいとか」。
「いいえ、ただ予定が変わって行かれなくなったからって。ただそれだけです。刑事さん、幸子は本当に自殺なんですか」?
「ええ、舞鶴署もそう断定したようです。一応他殺の線も考えられますので、こうしてお聞きしているんです。では真田貴明と言う名前はご存じですか」?
「ええ、良く知っています」。
「それはどんな理由からご存じなんです。ご主人の前ですが、差し障り無ければ話して頂けませんか」?
「はい、主人には全く関係ありませんし、私にも直接関係ないんです。真田貴明と言う人は私の大学の同期だった親友の佐々木友代という女性の彼だった人です。それで一度紹介されて知っているんです」。
「しかし一度会っただけでそんなに覚えている物ですかね」
「いいえ、それだけではありません。刑事さん、もう調べて知っているんでしょう。友代が捨てられて自殺した事を」。
「美保、もうこんな刑事に話さなくていい。帰ってくれないか。俺たちは善意で話しているのに、何だお前達のその聞き方は」。
私はカマを掛けるような聞き方に腹が立った。
「いや、此れは失礼しました。お詫びします。この通りです」。
そう言うと土屋はテーブルに両手を添えて頭を下げた。すると周りにいた客が私の声に驚いて見ていた。
「だったら初めから回りくどい良いかたは止めろ。あんた方はただの事件だろうが遺族や妻の立場になってみろ。京都府警の刑事は皆んなあんたと同じなのか、それでなくても不祥事続きの警察がこんな事でいいのか」。
「おう、そうだそうだ貴方の言う通りだ。警察は何をやってるんだ」と、隣でお茶を飲んでいた恰幅の良い老人が立ち上がって囃し立てていた。
するとぞろぞろと客が寄って来ていた。
「申し訳ありませんでした。皆さん私達も一生懸命やっています。どうか分かって下さい。紺野さん済みません」。
NO-28-72

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(27)&CG

2008-08-02 11:24:42 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(27)&CG

「もし何人かで来たら計画は中止して帰って来てね」。
「うん、分かったよ」。
そして翌日、朝食を済ませてホテルを出ると電車で東山に向かった。そして、宝ケ池駅で降りるとカメラを片手に観光客に交じって公園を見て回った。
そして、美保の親友の佐々木友代が自殺していたと言うコンクリートのベンチに来ると美保は涙を流していた。ベンチの下には萎れた花が置かれていた。
そんな美保を抱き寄せながら、車を隠せる位置を探していた。そして身を隠せる場所も探した。
池の近くに公衆トイレがあり、その隣には物置小屋らしい小屋があった。
「美保、帰ろうか」。
「うん、誰か花を供えてくれているみたいね。花が萎れている」。
写真を撮りながら東山を後にし、宝ケ池駅に戻ると電車に乗って茶町駅で下りた。そして真田貴明の家の方向に歩いた。
ガレージは半分空いて真田のベンツが入っていた。家は静かで雨戸が閉まっていた。
そんな家の前を素通りして公園に入った。男の子が二人汗まみれになってブランコで遊んでいた。
そんな子供を見ながら公園の裏を回って茶町駅に戻った。
四条駅で下りるとデパートに向かった。暑い日ざしが髪を照り付け、額から汗が吹き出ていた。小走りにデパートに入ると汗ばんだ身体を冷たい空気が優しく包んでいた。
そしてエスカレーターで電気機器の階で下り、ボイスレコーダーを買い、スポーツ用品売り場へ向かった。するとバーゲンをしていた。
私はサイズを見て、スニカーとアディダスのグリーンのジャージを選んだ。
「ねえどうしてグリーンなの。黒じゃないの」?
「うん、黒は芝では目立つだろ。あそこは芝が多いし低い垣根が緑だったからさ。見に行って良かったよ」。
「そうか、流石ね。お昼にしようか、私お腹空いちゃった」。
そして食堂に行こうとエレベーターに向かった。
「美保、京平さん。どうしたんへ、こんな所で」。と、振り返ると美保の母親の美代子が立っていた。
「エ~ッお母さんこそ、一緒にお食事にしよう。ちょうどよかった。電話しようと思っていたの。少しお願いがあるの」。
「いいわよ。私もお食事にしようと思っていた所なんへ」。そして三人はそトンカツ屋に入った。すると、母美代子は何も聞かずにオーダーを出した。
すると和服を着た若い店員はペコペコしていた。
「此のお店、三ケ月前に私が出したんへ。結構評判がええの」。
「え~っ、そうなの?・・・良くあの人が許してくれたね」。
「美保、あの人って言うのはお止めなさい。あなたの父親へ」。すると美保は目を見開いて大きく溜め息を着いていた。
「それより、頼みってなんへ」?
「うん、明日の午後車を貸して欲しいの。返すには遅くなるけど」。
「そやったら自分の車を使いなさい。まだちゃんと車庫にあるへ。そのまま乗って帰ったらよろしい。そうしなさい」。
「そうか、まだあるの。でも半年も乗ってないから動かないよ」。
「バカね、美保がいつ帰っても乗れるようにと、ちゃんと頼んで整備してあるわよ。午後から取ってらっしゃい」。
「有り難うお母さん、京平さん乗って帰っても良いかな」。
「うん、いいよ。僕が運転して行くよ。お義母さん済みません」。
「ううん、ええのよ。それより幸子さんの事やけど。やっぱり自殺だったのね。御両親が気の毒よね、家と同じ一人っ子でしょう」。
「うん、親不孝でも生きてた方がいいよね。お母さん」。
「まあ、この子ったら。口が減らないわね。美保は殺しても死なないわよ。それでいつ帰りはるの」?
「うん、車があるならドライブしがら十日の日に帰るよ。朝早く発てば夕方には着くから」。
「そう、でも気を着けて帰るんへ。鍵はいつもの所にあるから。お父さんは出張で今朝から九州に行って十三日まで帰らないから、もし必要な物があるなら持って帰りなさい」。
こうしてヒレカツ定食を頂いて美保の母親に別れを告げ、デパートを出た。そしてまた四条駅に戻ると電車に乗った。
そして元田中駅で下りると美保の実家に向かった。初めて行く美保の実家だった。そこは閑静な住宅街だった。そして五分ほど歩くと一際大きな家の前で止まった。
「ここが私の実家なの、遠慮しないで入って」。
美保がインターホーンに手を延ばして押した。すると応対があった。
「どちら様でしょうか」?
「時江さんただいま、美保です。旦那様も一緒なの」。
すると玄関から年配の女性が走って来た。
「お嬢さん、お帰りなさい。初めましてお手伝いの時江です。良く来てくれました。ささどうぞ。先程奥様から電話を貰いました」。
「うん、デパートで会ってね。お食事を御馳走になっちやった。時江さん、私車乗って帰るから」。
「はい、お聞きしていますよ。御結婚おめでとうございます」。
「有り難う、旦那様の紺野京平さん、今度母とペンションに来てね、温泉があるの、必ず来てよね」。
美保の楽しそうな笑顔が戻っていた。私は家にはあがらなかった。
「京平さん、上がってよ」。
「うん。悪いけどお父さんのいる時に上がらせてもらうよ。美保は必要な物があれば持っておいで」。
「うん、分かった。じゃあすぐに戻るから待っていてね」。
「紺野さん、そんな事はおっしゃらないでどうぞ」。
「時江さん、主人の言う通りよ。分かってあげて。何か冷たい物でも出してあげて。私も飲みたいから」。
美保はそう言うと家に入って行った。そして、すぐにお手伝いの時江が大きなグラスにアイスコーヒーを入れて運んでくれた。
私はそれを飲みながら屋敷に植えられている松や盆栽を眺めていた。すると美保がボストンバックを下げて出て来た。
「お待たせしました。此れ二つだけ持って帰る。時江さん、私たち帰るから元気でね。お母さんの事お願い。後でガレージ閉めてね」。
「はい、もう帰ってしまうんですか。お気を着けて。旦那様、お嬢さんを宜しくお願いします」。
NO-27

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(26)&CG

2008-07-30 03:08:06 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(26)&CG

美保は京平の陰に隠れるように言うのだった。見ると街路灯に照らされて見えた男は茶髪で女好きする顔をしていた。
「あの顔に騙されるのか、いったい何処へ行くんだ」。
「決まってますへ、祇園へ出掛けるんへ。私達も行かはるでしょう」。美保は自分でも気がつかない内に京都人に戻っていた。
そして急いで公園を出ると茶山駅に向かった。切符を買うと調度良く電車が入って来た。乗り込むとクーラーが効いていて汗ばんだ身体には心地よかった。
「美保、胸のボタンが外れているよ」。
「困っちゃう」。谷間には汗が光っていた。慌てて手で押さえてとめていた。
そして三条駅で下りるとムッとした風が身体を包んだ。
駅を出て祇園の繁華街を歩いた。そして何軒もの駐車場を見て廻ったが、真田のベンツは見付からなかった。
「とても無理ね、何か良い案ないかしら」?
「呼び出すしかないな、きっと奴は二人を殺している筈だ。警察が自殺と断定したんだ、そう簡単なトリックじゃないだろう。
こうしよう、僕が電話して威してみる。俺は知っているぞ、トリックを警察に知られたくなかったら金を用意しろって」。
「カマ掛けはるの、でも乗って来るかしら。したたかよ真田は」。
「警察には知らないと言い張ればいいけど、顔も声も知らない男から言われたら誰でも微々るさ。それも出来たら友代さんが幾ら位献いで捨てられたのか分かれば余計いい。美保は知っているの」?
「うん、確か三百五十万だったと思う」。
「よし、その倍の金額を要求しよう。それで亡くなったのはいつ」。
「もう一年半になるわね、二月十日だった。前の晩から冷えて寒い日だった、東山の宝山公園で半分雪に埋もれて亡くなっていたの」。
「分かった、その事を話そう。それで殺したトリックが分かった事にしよう。白を切るだろうけど、きっと聞くだろうね、どうやって殺したかって。
携帯じゃまずいから公衆電話からにしよう。家に電話して携帯の番号を聞いてくれないか。男より女の電話のほうが親も安心して教えてくれるだろうから」。
「え~っ、私が聞くの。でも何て言うの」?
「適当で良いよ、京都弁が良い。名前もでたらめで良いから」。
美保は口を真一文字にして渋い顔をしたが電話ボックスを探して二人で入った。
そして電話帳から真田医院を探して電話を掛けた。すると宿直の医師が実家の電話番号と貴明の携帯の番号を教えてくれた。
「なんだ、簡単だったね。今度は京平さんね。番号を押すわよ」。
美保は受話器を私に渡すと、聞いた携帯の番号を押した。一回二回三回とコールしていた。「はい真田です。誰っ」
私は美保にOKサインを出して頷いた。
「真田か、俺見たんだけどな。あの晩舞鶴で高橋幸子と一緒にいる所を。お前を二年も追っ掛けていたんだ。ああやって二年前佐々木友代も殺したのか」。
「な、何を、し知らない。俺は何も知らない。言い掛かりは止めろ」。
「そう、じゃあ警察に行くよ。じゃあな」
「まっ待て!・・・、待ってくれ。誰だ君は?・・・」。
「お前のトリックを見破った男さ、佐々木友代から献いでもらった額の倍、七百万で手を打とう。取り合えず半分、明日の晩までに用意しておけ。誰かに話したり知らせたりしたら警察に行く。
それから、さっきも刑事が三人来ていたな。お前を昼夜見張っているからな。明日の晩家に電話するから出掛けるなよ」。
「は、はい。でも誰なんだ、友代も幸子も自殺したんだぞ」。
「そうだな、警察ではそう言う事になっている、だったら取引は止めだ。警察に全部話して来るよ」。
「待って下さい、分かりました。明日金を用意して待っています」。
「ああ、その方がお互いの利益になる。明日電話する」。
真田の声はワナワナと震えていた。私は二人の女性を自殺に見せ掛けて殺したと事を確信した。
「ねえ、どうだったの。真田の奴認めたの」?
「声が震えていたし、まず間違いないよ。明日の晩電話する事にした。金を用意して待っているってさ」。
「やっぱり友代も殺されたの。それでどうするの」。
「此々じゃなんだからホテルに帰ろう。途中で地図を買って帰ろう。詳しい打ち合わせはそれからにしよう」。
タクシーを拾うと書店に寄った。そして東山地区が詳しく載っている地図を買うとホテルに戻った。
すると、公園のベンチの位置から遊歩道まで詳しく書かれていた。
「美保、お母さんから車を借りられるか?・・」
「うん、それは良いけど。でもレンタカーを借りたら」。
「いや、レンタカーはナンバーでバレルし他県の人間が借りると目立つから駄目だ。九日の夕方借りてくれないか」?
「え、明日じゃないの」?
「うん、少し焦らすんだ。それで全額揃えさせる。少し恐ろしさを味あほせてから始末する」。
「えっ、でもそんな早く始末していいの」?
「うん、警察は高橋さんの死は自殺でけりを着けた。もう真田の所へは調べに来ないと思うけど、一日様子をみよう。
明日、十日の朝一番の新幹線の切符を手配しておこう。それからテープレコーダーが欲しいな、アリバイ工作に使いたい。
それで、当日だけど、昼間は軽く出掛けて真田の家の様子を見て来よう。帰ったらホテルから出ないようにするんだ。
ホテルの人間に僕達は出掛けないと思わせる為にね。それで、美保はホテルに残って僕のアリバイ工作をしてくれないか。
十時になったらルームサービスを頼んでワインとカナッペを二人分取ってくれ。
その時にテープレコーダーに吹き込んである僕の声をシャワー室から流してね。そのタイミングはドアロックを外す直前にテープのスイッチを入れて欲しい。勿論シャワーも流してね。
僕は誰にも見付からないようにホテルの非常階段から出る、それで東山に行って十時に真田を始末して帰るから。
帰ったら二人でホテルを出て車を返しに行こう。
東山まで三十分、往復に一時間。もうホテルの非常階段は見て調べてあるから。誰にも見られない事も分かったから」。
「もう~京平さんったら。凄い計画だね。でも真田は誰にも話さないかな。中間を呼ぶかも知れないよ」。
「そんな事はバカでない限りしないさ、もし仲間を連れて来るにしても何て説明するんだ。そんな事をすれば逆に自分の弱みを握られる事になるからね、絶対にしないさ。こう言う事は人数が少なければ少ないほど自分の身は安全だからね。奴は一人で来るさ」。
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