175Rと130R

175Rと130Rの関係性を多角的に考察し、新しい日本のあり方を模索する。

『桃太郎~若ハゲ版~』

2005年01月13日 | Weblog
昔々あるところに、テクノカットのおじいさんと、巨乳のおばあさんが住んでいました。
おじいさんは、山へ芝刈りに行ったっきり、帰ってくることはありませんでした。
おばあさんは、「比呂衛門さんなしの人生なんて、生きている意味がない!」と思ったので、迷わず川へ入水自殺しに行きました。
なんとも情熱的な熟年カップルの愛、これぞまさに真実の愛であります。

おばあさんの遺体は、どんぶらこ~どんぶらこ~と流されていきましたが、途中で、「タマちゃんを守る会」の人たちに、タマちゃんと勘違いされて、引き揚げられました。
でも、「タマちゃんを守る会」会員ナンバー04の篠田さん(36)が過ちに気付いて、「タマちゃんじゃなくない?」と言い出したのをきっかけに、「守る会」の中で意見が対立。
タマちゃん派の急先鋒・八木下さん(52)が、篠田さんのメガネをかち割ったのをきっかけに、巨乳のおばあさんをめぐる、血なまぐさい抗争が勃発した。(映画『仁義なき戦い・広島死闘編』参照)

結局2つの勢力は、おばあさんを分け合う形で合意。
で、まさにおばあさんを分けようと、結婚式における新郎新婦ケーキ入刀!みたいなノリで、篠田さんと八木下さんがおばあさんに入刀したその瞬間、おばあさんはパカッと真っ二つに割れて、「おぎゃはぎぃ!」と生まれたのが、オズワルド・フレデリックス・モモ太郎(19)。

モモ太郎は間違いなくイケメンだったし、事実、アルゼンチンに留学した際なんかは、「ミスター・アルゼンチン」の栄冠を手にしたほどの、世界標準のイケメンだった。
しかし、その後急激に髪の毛の本数が減少し、25歳になる頃には、代名詞が「イケメン」から「若ハゲ」に変わってしまっていた!
ナルシストだったモモ太郎(若ハゲ)は、今やコンプレックスの塊のような人間になってしまっていて、例えばテレビにコイズミ総理大臣なんかが映ると、「なんでオッサンなのにそない髪あんねん!中途ハンパな長さやなぁ。伸ばすんならちゃんと伸ばせやぁ」と、外国語なまりの関西弁で逆ギレした。

その頃にはすでに、篠田さんと八木下さんはよりを戻していて、なおかつ、結婚しちゃってた。
だから、篠田さんは、旧姓・篠田で、今は八木下さんが二人みたいな状況。年の差夫婦の誕生である。
2人は片手間にモモ太郎を育てた。
なにしろ19歳の状態から生まれてきてくれたおかげで、ほとんど手が掛からなかった。
でも、若ハゲになってからのモモ太郎は、家に引きこもりっきりで、ドメスティック・バイオレンスの兆候も見られ始めた。
旧姓・篠田さんと八木下さんは、手が付けられなくなる前に、と、「お前、鬼ヶ島行ってこいよ。お前がいると家の空気が腐るんだよ、この若ハゲがぁ」と、鬼のようなことを言って、モモ太郎を「心のリハビリセンター・コマネチの里」がある鬼ヶ島へと向かわせた。

旧姓・篠田さんは「これできび団子でも買いなさい」と、モモ太郎に1000円札を手渡した。
「アリガトウ」と、感情の糸がプッツリ切れた人形のような表情でお礼を言ったモモ太郎は、近所のダイエーで1パック250円のお徳用きび団子を買った後、急に涙した。
親代わりの八木下さんや旧姓・篠田さんとの別れが辛くて泣いたわけではない。
ダイエーで、大して美味しくもない安売り団子を、ここぞとばかりに買い込んでしまった自分が、なんだか惨めに思えてきて、泣かずにはいられなかったのである。

モモ太郎は、きび団子を、死にかけの野良犬にくれてやった。
野良犬は、「テメェみたいな若ハゲにクサレきび団子をめぐんでもらうほど、ミーはおちぶれちゃいねぇのさ…」と、ニヒルに(?)つぶやいた後、息をひきとった。
モモ太郎は感動した。そしてその誇り高き野良犬のために、墓を掘った。

次にモモ太郎が出会ったのは、猿だった。
ちょうど日光あたりを通った際、きび団子を入れていた袋を、猿たちに持ち逃げされたのだ。
日光では今、観光客に餌付けされて人を恐れなくなった猿たちが、逆に観光客を襲うというような被害が多発している。
そんな中、頑なに集団蛮行を拒否する一匹の猿Aが、モモ太郎の目に留まった。
猿Aは次第に、「みんなやったんだから、お前もやれよ」「お前だけ逃げるなんて、ありえねぇよ」というような感じに、周りの猿たちから小突かれ始めた。
その様子はあたかも、みんなで万引きすることによって薄っぺらな友情を確かめ合おうとする中学生のようだったが、猿Aは、それでも断固として自らの意志を貫いた。
とうとうまわりの猿たちはブチキレ、猿Aに対して、集団リンチを加え始めたので、モモ太郎は勇気をふり絞って、それを止めに入った。

「やめるんだ!やめましょう!やめてください!やめてみませんか?」
しかし猿たちは、そんな弱気な発言には聞く耳を持たず、結果、猿Aは撲殺された。
モモ太郎は泣き叫んだ。自分はなんて無力なんだ、と。
しかし、死ぬ間際、猿Aは確かにこう言ったのだ。
「モモ太郎さん、あんた、ハゲてるけど、すごくカッコいいよ。なんていうか、ダサカッコいい・・・いや、不気味カッコいいっていうか・・・、うーん違うなあ・・・、アッ!・・・若ハゲだよ!あんた、すごく若ハゲだよ!」
「・・・・・・。」モモ太郎は、少し考えた後、猿Aのお墓を作ってあげた。

次に出会ったキジは、ボランティアで鬼ヶ島までモモ太郎の船を誘導してくれたのだが、船が島に到着する直前に、ジョーズに食われました。
うかつな超低空飛行が招いた悲劇でした。


さて、鬼ヶ島に着いたモモ太郎は、「心のリハビリセンター・コマネチの里」が、薬物の投与によって患者を植物状態に追い込む、全くもって非人道的な施設であることを知った。
しかも、植物状態といってもただの植物状態ではなく、死ぬまで「コマネチ!コマネチ!」と一発ギャグを繰り出し続ける、悲惨な植物状態なのだ。
モモ太郎は、鬼ヶ島への旅が、八木下さんたちの陰謀であったことに、今ようやく気が付いた。

でも、ぶっちゃけ、モモ太郎は怖くはなかった。
「僕はもう、一人じゃないんだから!」
旅の途中で出会った野良犬、猿A、ボランティアのキジたちの姿が、モモ太郎にはハッキリと見えていた。
それだけではない。ヘビ、ブタ、カエル、コブラ、チンパンジー、魚、バンビ、すっぽん、佐々木さん、などなど、ありとあらゆる動物たちの姿、森羅万象が、モモ太郎には見えていた。
「僕は、一人で生きてるわけじゃない!みんなと一緒に、生きているんだ!」

モモ太郎は次第に、動物たちの幻と、気さくに会話を交わすようになっていった。
そして気が付けば、若ハゲなど全く気にしない自分に、生まれ変わっていた。
「なりたい自分に、なれる!」
たくさんの仲間たち(の幻)を味方につけ、怖いものがなくなった(そして若干うざいセリフを吐くようになった)モモ太郎は、コマネチの里の悪徳職員たちを、「この鬼畜どもがぁっ!」と相手の耳元でささやきながら、次々と暗殺した。
そして、100万から成るコマネチ型植物人間を解放し、彼らを引き連れて帰宅しました。