E&Iの起業志望の学生や、100Kに出てくる参加者と話してると、これだけ景気の悪い今こそ、実は起業するチャンスなのかもしれない、と思う。
景気が悪いと物も売れないし、資金も貸し渋られて集まらず、失敗しやすいのでは、と思われるかもしれない。
しかし、そういう理由で失敗する会社は、景気が良い時はたまたま上手くいくかも知れないが、長期的にはどうせダメになる会社なんだと思う。
バブルの時起業した会社が、景気悪くなった時にたくさん潰れたように。
真に強い会社は、景気の悪い時こそ生まれうる、と思う。
直感的には。
何でそう思うのか、ちょっと理由を考えてみた。
一番大きな理由は、景気が悪い時というのは、世の中の大変化が起きているときだということ。
世の中が変わり、勝者が勝者ではなくなり、ゲームのルールが変わる。
ルールの変化を敏感に感じ取り、上手く対応できた企業が新たな勝者になる。
これは新参者にとっては大きなチャンスだ。
たとえば消費者の財布の紐が硬くなるのは、実はそれまでになかった安いものが売れるチャンス。
銀行がお金を貸さなくなるのは、お金の流れが変わって困っている人が出てくるということなので、それに乗じた新しいビジネスをやるチャンスなのだ。
それから人材。
景気が良いと、良い給料を払ってくれる大きな会社がたくさん人を雇うから、冒険してベンチャーに行こう、という優秀な人は相対的に少なくなる。
ところが、景気が悪くなると、そういう人でもあぶれてくるようになるので、ベンチャーとしては優秀な人が採用しやすくなる。
創業期の人材・チームは、その後にその企業が成功するかどうか、に大きく関係すると言われる。
しっかりした人材を登用出来る機会を、逃すべきではない。
起業資金。
微妙なところではあるが、景気の悪いときは、お金を借りにくくなる一方、金融商品も乏しくなるので、行き場を失ったお金が余るようになる。
もちろん、全体としてお金の量は減ってるわけではあるが、それ以上に投資先が乏しくなっている。
そうすると、お金を持っている人たちはリターンの大きい投資先を探すようになる。
もちろん今のアメリカのVCとかを見ていると、苦しそうなところも多い。
アメリカの場合、今まで普通の金融機関もVCにかなり投資していたので、金融機関からの金集めというは資金繰りのメジャーな方法だった。
景気が悪くなって、そういう金融機関からのお金が全く入ってこなくなった。
代わりに、今までそういう金融機関に預けられていたお金が、直接VCに入ってくるようになってきた。
そこに着眼して、新たな投資家を探して動いているVCは生き残ってるし、何もしないVCは金融機関と共倒れである。
さっき書いた、ルールの変化に着目して勝者になる、とはこういうことだと思う。
うーん、取りあえず3つくらい理由を思いついたけど。
起業することを考えた時、今の景気が悪い時はチャンスだといえないか?
皆さんもコメントでご意見ください。お待ちしてマース。
私は日本の大学院でイノベーションを勉強しているもので、最前線で学ばれているLilacさんに(ご迷惑かと思いつつも)いくつか質問させて頂きたくコメントさせて頂きました。
※現在学校ではイノベーションについてどの様な授業を受けていらっしゃるのでしょうか?
自分・企業がイノベーションを起こすには?といった様な方法論でしょうか。
※何か関心を持たれている本(原書含めて)ありましたら教えて頂けますでしょうか?
不躾にご連絡してしまいまして、もしご不快に感じられたら大変申し訳ありません!またイノベーションが起業に関するものでしたら的外れで申し訳ないです。
イノベーションを起こす-フェラン・アドリア講演会
楽しく読ませて頂きました!ありがとうございます。
はじめまして。私は個人的には起業よりも大企業などにおけるイノベーションや、もっと産業的な視点からのイノベーション論に興味がありますので、近いと思います。
>※現在学校ではイノベーションについてどの様な授業を受けていらっしゃるのでしょうか?
今受けているInnovationの授業が一番面白いんですが、ブログにUpする時間がなく。。
さわりはこちらのエントリ http://blog.goo.ne.jp/mit_sloan/e/4ae86370085c6c1195e88947661a9178
に書いてありますので、参考にしていただければ幸いです。
あと、学校で受けているEntrepreneurship & Innovationの授業を私なりのイノベーションの視点で切ったのが
http://blog.goo.ne.jp/mit_sloan/c/15fcbc80087bd14ff9d820e8a148a179
にいろいろ載ってるので、良ければ読んでみてkださい!
※何か関心を持たれている本(原書含めて)ありましたら教えて頂けますでしょうか?
やっぱり古典的ですが、Clayton CristensenのInnovator's dilemmaとその姉妹作ですね。
それから今受けているJim Utterback先生の著作もかなり面白く読んでいます。こちらは産業全体の視点で、イノベーションを語っており、事例も豊富で、非常に参考になります。
これも書評を書きたいと思ってるのですが。。。そのうち必ず書きますので、ご期待ください!
今後はイノベーション関連のエントリも増えていくはずなので、どうぞよろしくお願いします。