My Life After MIT Sloan

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グレンフィディック蒸留所見学-Scotland(7)

2008-12-02 14:30:45 | ●スコットランド旅行

Invernessから国道A94を行く。
Nairn(ネイルン、とかいう。発音しにくい)を越え、13世紀から栄えていた街Elginに入る。
このあたりは、古い町並みが続いていて、まるでタイムスリップしたような気持ちになる。

Elginから、国道A941に入る。
この道は、Whiskyの本場、Speysideの蒸留所がひしめいている、銘酒街道とも言うべき道。
ボルドーの銘酒街道を走っているときの気分だ。
自分の好きなお酒たちが造られている地を真近に見ると、とうとうこの地に来たかー、という感慨を覚える。

時速60マイル(約100キロ)をキープして、30分ほど走ると、Dufftownの街に入る。
この街こそ、Glenfiddichをはじめとし、著名な蒸留所で賑わう、ウィスキーの街。
近くにはMacallanなどもある。

Dufftownに入る前あたりから少しわき道にそれ、バルベニー城を目指す。

Glenfiddichは、バルベニー城の脇にある、世界で一番大きな蒸留所。

Glenfiddichは、1887年、軍人の息子だったWilliam Gordonが、この地にやってきて、部下の石工と二人だけで作り上げた蒸留所だそうだ。
雨の日も、風の日も、一日たりとも休むことなく石を組み上げて、1年以上の歳月をかけて、発酵のための建物を作り、蒸留所を作り、ウィスキーを寝かせるための倉庫を作った。
それから100年たった今も、Gordonファミリーのオーナー企業であり続けている。
個人的な感想だけど、サントリー然り、酒の味を保つためにオーナー企業であることは大切だよな、と思う。

この建物が、最初に作られた建物だという。
現在改修中だが、屋根の上には、昔ながらの蒸留所らしい、火の見矢倉のような煙突が建っている。

Whisky好きの私は、日本ならサントリーの山崎蒸留所に2回、白州に1回行っているが、本場のスコッチウィスキーの蒸留所を見学するのはこれが始めて。
当時の鳥羽さんになった気持ちで、本場のウィスキーの作り方を学ぶ。
とは言っても、Glenfiddichの蒸留所の見学は、誰でも楽しめる1時間くらいのコースにまとめられているから、見られる内容はほとんどサントリーの見学と変わらないのだが。

まずはマッシング。
発芽させて乾燥したモルトを砕いてお湯に溶かし、麦汁を作る。
お湯に溶けることで、澱粉が糖化して、甘い原液ができる。

その原液を発酵槽(Washback)に入れて、イースト菌を入れて三日三晩かけて発酵させる。

2日目の終わりくらいが、一番発酵が激しく進み、大量のビールみたいになる。
香りは、ちょっとピートがかったビール、といったところだ。

3日たって発酵が終わった液は、スチル(Still)にかけられて蒸留される。
蒸留は約11時間。
最初の液はHeadと言われて、エステル分が多く華やかだが、アルコール度数が強くて使えない。
最後の液はTailと言われて、重い分子が多く残っていてオイリーだが、アルコール度数が弱くて使えない。
真ん中に取れる、Heartといわれる、アルコール度数約70%の部分だけを取り出して、樽へと移す。

これは、サントリーの蒸留所で何度も聞いた話なんだけど、スチルの形によって、蒸留後の原酒の味が変わるらしい。
突起が少ない、まっすぐのスチルからは、分子量の重い分子が昇りやすいので、スパイキーでオイリー、しっかりとした味わいのお酒が。
丸い蒸留器は、蒸発したアルコールが壁にぶつかって、元に戻り、というのを繰り返し、軽い原子が昇りやすいので、フルーティで華やかな味わいになるとか。
Glenfiddichは、いくつもの種類のスチルをそろえていて、マスターブレンダーが絶妙の感覚でブレンドする、という仕組み。

サントリーの蒸留所と違って、ここでは、スチルのそばと、熟成のための倉庫だけが撮影を禁止されている。
何故なのかは聞かなかったのだが、秘密を守るというより、おそらく、酒税に関する理由なのだと思う。
イギリスでは酒税法が厳しくて、お酒が直接出てくるところは、全てDuty Freeの看板が掲げられている。
この看板がないと、酒税が課せられてしまうのだ。
そんな話、日本の蒸留所ではあまり聞いたことがない。

倉庫では、ヨーロピアンオークでできたシェリー樽、アメリカンホワイトオークのバーボン樽、それぞれで熟成されたウィスキーの香りを比べる。
シェリー樽が、よりフルーティでレーズンのような香り、たまにチョコレートや紅茶のような香りがするのに対し、ホワイトオークはバニラの香り、トーストのような樽香が強い。
「スコッチ」と呼ばれるためには、最低3年寝かせなくてはならない、というのは有名な話だが、実際には最低で7年、長いものだと30年、50年と寝かされている。
ウィスキーはこのあと、これらの2,3種類の樽で熟成されたものをブレンドして、最終製品ができる。

最後に試飲。
これが楽しみなんだよね。

グレンフィディックは、Speysideらしく、華やかでフルーティ、アカシアなどの花の蜂蜜の香りもするし、バニラのような樽香も強い。
味は、アルコールの自然な甘みに加えて、割と酸味もある。

私が最も愛するウィスキーのひとつ、Balvenieはグレンフィディックの敷地内に蒸留所がある。
そこを見学できないのか聞いてみると、明日の朝10時に予約すれば、約3時間の専門ツアーをやってくれるという。
行かない手はないだろう。
というわけで翌日もこの蒸留所に戻ってくることになった。

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