やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

RER B 線南半分→ Orlyval → トラムT7号線

2014-07-09 | RER / Transilien
3月のある日曜日の話です。
まだ乗っていないRER B線南側半分に乗りに行きました。
RER B 線はパリ北駅を境に北側をSNCF(フランス国鉄)、
南側はRATP(パリ交通公団)の管轄となります。
今回はこのRATP管轄の側です。

帰りは、そのまま引き返してもおもしろくないので、
Orlyvalというオルリー空港連絡輸送に乗り空港へ、
さらに新しくできたトラムT7線を経由してパリに戻りました。

それでは、その時の散歩日記です。


RER C線 との乗換駅、Massy - Palaiseau 駅。
こちらはRATPですが、C線はSNCFで、ホームはちょっと離れています。


パリ南西郊は静かな住宅街が続きます。
同じRER B 線とは思えないくらいに、SNCF管轄の北側とは風景や乗客が違います。


「窓口」という名の駅。




終点近く、Gif-sur-Yvette 駅。降車客も乗客もまばらになってきました。
数十分前にパリの Châtelet - Les Halles を走っていた電車とは思えない、
まるでローカル線の佇まいです。


パリから約50分、終点のSaint-Rémy-les-Chevreuseに到着します。

(駅名に入っている lès というのは英語の the に相当する定冠詞 les ではなく、
古語 lès や lèz (「~の近くの」)です)
そんなわけでその名の通り、Chevreuse 渓谷公園の入り口に位置しています。
なだらかな山が駅の近くまで迫ってきています。




線路はここでおしまい。






ここが RER B 線系統の南端、最北はシャルル・ド・ゴール空港です。

パリに戻ります。
が、来た道を引き返すだけではおもしろくないと思い、
ぱっと Antony 駅で降りてしまいました。



ところで、今回のお出かけはいつもと同じように、
定期券であるICカード Navigo のZone1-2用を使っています。
平日はパリと隣接郊外だけしか乗れませんが、
土曜休日は Zone 5 まで、つまりイル・ド・フランス地域圏の交通にすべて乗れるようになります。
しかし、今回の Orlyval だけは例外。
いかなる券も使えず、別払いできっぷを買わなければなりません。
改札機はICカードも未対応です。

10ユーロ出すか、かなり迷いましたが、
これも経験、えい、とばかりに乗ってしまいました。
本当に空港に用事があるときは、
これからは RER B線 + Orlyval の乗り継ぎではなく、
Orlybus というパリから直通のバスを使うと思います。




Antony からしばらくトンネルの中を行きますが、
トンネルを出ると RER C 線の線路と並行します。
日本で言う新交通システム(「ゆりかもめ」や「ポートライナー」)のようなものです。

Orlyval は1991年に開通した、VAL*を利用した空港連絡輸送です。
(VAL:Véhicule automatique léger「軽輸送自動運転車両」、
Lille, Toulouse, Rennesなどの都市でメトロとしても採用されている)
1993年にはRATPが管理するようになりましたが、
前述の通り、運賃は他の交通機関とは一線を画するものになっています。






自動運転のため、運転室はない。


横幅は狭く、ロングシートだがお見合い席のよう。
空港連絡用として、大型荷物置き場もあります。


補助席もあります。


オルリー空港が見えてきます。

Orly Ouest (西ターミナル)でスイッチバックします。
反対に進みだしたので、びっくりしました。


Orly Sud (南ターミナル)が終点です。



列車は2両編成。

空港ターミナルビルに入ります。


ふっと、Tramway の文字が目に付きました。
あれ、ここまで来てたっけ?
そうだ、T7号線が開通していたんだ!

それでは、トラムでパリ方面に戻りましょう。


トラムT7号線は2013年11月に開通しました。
一旦、空港駅からパリとは一駅反対側に向かい、
終点から起点を目指します。
終点は Athis-Mons 市にある Porte de l'Essonne 停留所。

がらんとしていますが、2017年にはここよりも南に延びるそうです。

停留所の横には、コンコルドが!

この反対側はエールフランスの塗装になっていました。

トラムは明るく、きれい。




オルリー空港の貨物ターミナルを通り、
さらに現代のパリの胃袋、ランジス市場 (marché de Rungis)をぐるりと回りこむように行きます。

高速道路A6(パリからリヨン方面に、さらに地中海方面に通じる、
通称「太陽の道」Autoroute du Soleil)と付かず離れずで進みます。


Place de la Logistique 停留所。(直訳すると「物流広場」。巨大市場らしい!)


終点、Villejuif - Louis Aragon 駅。メトロ7号線の終点です。
トラム乗り入れにともなって、リニューアルされました。

ここからメトロで帰ります。

Japan Expo に行く!

2014-07-06 | 日記
7月2日から6日まで、毎年恒例、日本の祭典、Japan Expo が行われています。
いまやフランスからだけでなく、ヨーロッパ中からも来訪者が押しかけてきます。
今回15回目になるそうですが、ブログ主は初めて行きました。

午前中は仕事があったので、午後のRER B線に乗って向かいます。
通常、昼間に走っている快速電車はパリ北駅 (Gare du Nord) を出ると空港までノンストップですが、
今日は臨時に見本市会場最寄の駅に止まります。


なんと、停車駅表示下欄にもJapan Expoの文字が!
いかに多くの人が訪れるかがわかります。
この見本市会場で行われる他の大きな恒例行事、
例えば Maison et objets などのイベント時でも、こんな表示は出ません。


シャルル・ド・ゴール空港手前の Parc des Expositions 駅が最寄です。



駅もこの通り、Japan Expo 一色です。


コスプレして記念撮影ができるのかも。


マンガの広告。




会場は、Villepinte 市(Seine-Saint-Denis 県 (93))にある見本市会場です。

日本で言えば、幕張メッセのようなものでしょうか。










(画像がちっちゃくてごめんなさい)
ミュージシャンの YOSHIKI さんと「ふなっしー」が同じステージの上に乗っていたり。
フランスにいて、こんな光景をみるとは...



帰りは集中するので、券売機付近では整理が行われていました。
コスプレの人たちが多数いて、ここはフランスだよなーと思いながら、
滑稽。



帰りの電車の中にもコスプレイヤーが。
この時間になると、RER B線はすべての電車が各駅停車になります。
少しく治安の良くないところにも停車するので、
途中で乗ってくる乗客とのギャップが激しいです...

晴海や有明のコミックマーケットに行っていた大学時代を思い出しました。
(最近はそっち方面からすっかり足を洗ってしまっていました)

【SNCF】 TGV Duplex(オール2階建てTGV)1等車

2014-07-04 | SNCF(フランス国鉄)
SNCFの TGV Duplex (オール2階建てTGV)です。



2等車車内は以前に紹介しました。
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/fc49b90deebcef16580e46e6a0f71b6b

今回は1等車の車内です。リニューアルされていない車両を取りあげます。
客車8両中、1等車は3両連結されていますが、いずれもオープン室で、
セミコンパートのようになっている席はありません。


入り口は1等車のテーマカラーのピンクになっています。


2階で車両間を行き来するのは、2等車と同様です。


1+2のシート配置になっています。シートは回転できません。


2人がけの向かい合わせシート。固定式のテーブルとテーブルスタンドが備わります。


4人がけの向かい合わせシート

リクライニング、テーブル展開状態


2人がけのシート


1人がけのシート

座席というよりもどっしりとしたソファーを目指したような作りとなっていて、
長時間乗車しても疲れ知らずです。


リクライニングは電動式で、前後のボタンを押すことで起こしたり倒したりします。


窓側各座席の壁にはAC220~240Vのコンセントが備わっています。


各席に読書灯が備わります。

ミュールーズの鉄道博物館 Cité du train (2)

2014-07-03 | 日記
トラムトレインに乗って、ミュールーズの鉄道博物館 (Cité du train) にやってきました。

前回はこちら
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/e7ad8a9602cdaf31c0b4d354282eab4a

旧館に入ります。
歴史順、カテゴリー別に鉄道技術の発達がわかるようになっています。

鉄道草創期、蒸気機関車




ワイン樽を積めるようになっている貨車。フランスらしい。



電気機関車の登場と発達


1920年代に製造の BB1600 形。
この頃は日本には電気機関車を国産開発する能力がなかったため、
欧米製電気機関車が日本にも輸入されていました。フランス製はなかったようですが...


1955年に時速331km/hを記録した電気機関車 BB9000 形 9004 号機


げんこつ形をしている cc5600 形電気機関車。



車両の大型化


ブガッティ式ガソリンカー(1932年)。
自動車会社が手がけていて、超軽量化されている様子がわかります。


ルノー VH形ディーゼルカー(1933年)。自動車会社ルノーが手がけた最初の車両。
このころは自動車会社が内燃式鉄道車両も作っていたのですね。


パリ郊外(ソー線 Ligne de Seaux)の電車。
現在の RER B 線南側に当たります。


大統領専用車。




衛生車。野戦病院の役割を果たしていました。



ヨーロッパ国際特急網とフランス

1940年代後半から1970年代、このころが鉄道の黄金期です。
以降はモータリゼーションと航空路線の発達によって、在来線では太刀打ちできなくなり、
高速鉄道の開発、建設が進んでいきます。
この黄金期を飾っているのが、TEE(ヨーロッパ国際特急)の路線網です。
当初は各国自慢の一等車のみで編成されていました。


「ル・キャピトール (Le Capitole:パリ~トゥールーズ間)」や
「ラキテーヌ (L'Aquitaine:パリ~ボルドー間)」をはじめとして、
フランス国内都市を結ぶ特急に使用された Grand confort 形客車のバー車。
雨どいが内蔵されていたり、
足元が丸みを帯びたスカートとなっていたりと、スマートになっている。


TEE客車内部(食堂車)


TEE PBA (Paris-Bruxelle-Amsterdam)用寝台車。
窓割りが独特です。


ターボトレイン。
1960年代に高速鉄道を見据えて開発されましたが、
騒音・振動に問題があり、燃費も悪く、
高速鉄道は電気車方式のTGVとして結実しました。
2000年代前半に退役しています。
ブログ主も1997年に乗りましたが、ものすごい音でした。

TGVに関しては、老朽化のために廃車になった車両はまだありませんので、
本物が展示されるのは当分先でしょう。

運転台のモックアップと、各種模型、
そして2007年に世界記録574.8km/hを達成した時の
運転台からのビデオが流されていました。

レストランがようやく空いてきました。
TEE「ル・ミストラル」のステンレス客車を模した入り口。


店内には蒸気機関車の模型や、鉄道写真が。



鶏肉のリースリングワインソース煮込みと、アルザスのピッチャーワインをつけて。


ミュージアムショップを抜けて、博物館を後にします。

トラムトレインでミュールーズの市内に入り、
トラムの市内線1~3号線を全線乗りつぶしました。


工業都市らしく移民も多く、各線終点近くで乗り降りする人たちの目はどことなく怖い。


しかし、トラム各駅付近の架線柱はこのような円形で凝っています。

この後は、TGVを乗り継いでパリに帰ります。
チケットを予約した時点の最安値の列車、さらにそこにわずか3ユーロ足すだけで、
一等車に乗れることがわかりましたので、迷わず一等車で!

ミュールーズから、2011年に開通した高速新線ライン・ローヌ線 (LGV Rhin-Rhône) でディジョン (Dijon) まで。
二階建ての TGV Duplex です。
高速新線を降りて、ディジョンの駅手前までは工事のためにノロノロ運転、5分ほど遅れました。


乗り継ぎの列車も遅れてやってきました。
ディジョンからパリまではクラシカルな第一世代のTGV車両です。
15年ほど前に大幅なリニューアル工事を受けています。

アルザス地方に店舗のあるパン屋 Poulaillon の
プレッツェル生地のサンドイッチとビールで晩御飯。



雨の中を過ぎると、ブルゴーニュの平原に虹が。


快晴のパリに到着です。21:02、5月末のパリはまだ明るい。

ミュールーズの鉄道博物館 Cité du train (1)

2014-07-02 | 日記

Musées 博物館駅でトラムトレインを降りました。

前回はこちら
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/bf104bd0c0ebcd5bb29f522e7ae72570

ミュールーズ (Mulhouse) は、人口で見ると、アルザス地方第二の都市です。
しかし、木組みの建物が立ち並ぶアルザス地方の他の街や村とは違い、
工業都市のため、あまり見所はありません。
しかし、この街に立ち寄ったのは、フランス随一の巨大な鉄道博物館がお目当てのためです。

駅を降りると、だだっ広い草原に一本の道が続いています。
その道に沿っていくと、最初に EDF (フランス電力公社)の電力博物館が、

そしてその先に目指す鉄道博物館 (Cité du train) が見えてきます。


カラフルな建物が目を引きます。

入り口で入場券を買い、入ります。
今日は月曜日、ほとんど入場客は居ないように見えます。
それでもすれ違う人はドイツ語を話す人が多いので、
国境を越えて観光に来ているのかもしれません。


以下、展示車両の写真、簡単にコメントをつけるだけとします。
ここに挙げた写真はほんの一部。
とにかく巨大で、展示車両が充実しているので、
予備知識がなくても見るだけで楽しめます。


入場してすぐの新館は鉄道草創期から第二次世界大戦前夜までの
「鉄道黄金時代」(Le siècle d'or du chemin de fer) をテーマとした展示。
暗い室内として、ライトアップによって展示を際立たせています。


入って早々、キワモノがやってきました。
タイヤ会社の「ミシュラン」(Michelin) が、騒音低減と乗り心地向上を図って、
ゴムタイヤを履かせた「ミシュリーヌ」(Micheline) です。
JR北海道で開発中の DMV (Dual Mode Vehicle) とは違い、
鉄路の上だけを走るためです。
フランスのメトロで走っているゴムタイヤ車両のご先祖様です。


迫力の蒸気


貴賓車(公用列車)


なんと、脱線転覆のシーンが再現されています。



オリエント急行食堂車


オリエント急行寝台車



パリのメトロで1908~1983年に使用されていた Sprague-Thomson 形車両。

9号線の路線図。古めかしい表示だけど、当たり前だが、今の駅名と変わらない。

新館を出ると、昼時でレストランは満員でした。人っ気がなかったのに。
仕方なく、屋外展示の中庭に出ます。




昨年で全車退役し、最近展示が始まったと思われる、
パリ近郊線のZ6100系電車、通称 Petit-gris 「グレーの坊や」が。
一昨年、パリ北郊で乗りました。


特別カラーが施された、入れ替え用ディーゼル機関車。
模型がほしい。


伝説の特急「ル・キャピトール」(Le Capitole) 専用塗装の電気機関車 BB9200型です。
パリ~トゥールーズ (Toulouse) 間を在来線最速の 200km/h で結んでいました。
TGVができるまでの最速列車を牽引していた機関車です。


コライユ客車の塗装バリエーションを一両に施してしまっています。わかりやすい。
(左から、オリジナル、TER汎用塗装、コライユ・テオズ、TERアルザス、コライユ・アンテルシテ)

長くなってきたので、次回に続く!



アルザス地方 ミュールーズのトラムトレイン

2014-07-01 | SNCF(フランス国鉄)
5月末、パリでブログ主が所属する合唱団が、ドイツに遠征しました。
帰りは一人離脱して、寄り道しています。
フランス国内に入りました。

前回はこちら
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/1e03c3d937379ab18392413f34f85648

アルザス地域圏 (Région Alsace) では、TER(transport express régional:地域急行交通)で珍しい試みを取り入れています。
例えば、コライユ客車で編成され、時速200km/h で都市間を結ぶ TER200などが挙げられますが、
ミュールーズ (Mulhouse) では、前日にドイツのカールスルーエで見たトラムトレインのシステムが導入されました。
(カールスルーエ・モデルについては前回を参照)

行きは通常の国鉄列車で、帰りは途中からトラムトレインに乗ってみます。

出発はミュールーズのSNCF駅。通常の鉄道車両であるディーゼルカー、1両です。


この列車の終点の Kruth 駅まで行きます。
途中まではアルザス地方を縦に貫く幹線を快走します。
トラム3号線の線路が途中からぴったりと横にくっついてきます。

通常、SNCFは左側通行ですが、
ドイツに近いアルザス・ロレーヌ地方の路線だけはドイツと同様の右側通行となります。

Lutterbach 駅から分岐し、Lutterbach - Kruth 線を行きます。
単線になりました。ずっと横を走ってきたトラム3号線もこの駅で合流して、
直通する列車はトラムトレインとなります。

途中のThann Saint-Jacques 駅までは電化されていますが、
私の乗っている列車はその先まで行くので、ディーゼルカーです。
車内はのんびりとしています。



終点 Kruth 近く、山岳的な風景になります。


Kruth 駅に到着。

折り返します。


途中駅で行き違い。


Thann Centre ville 駅付近にて。
渓谷沿いに瀟洒な建物が立ち並びます。



この列車(写真右)はThann 駅止まりです。
ここから、ミュールーズ市内に直通するトラム・トラン(tram-train トラムトレイン:写真左)に乗り換えです。


このトラム・トランは、
Tram-train Mulhouse - Vallée de la Thur (ミュールーズ~チュール渓谷トラムトレイン)と呼ばれる路線です。

ミュールーズ市外では国鉄の電車、市内では路面電車になります。


車内。

Lutterbach 駅からトラム専用線に入ります。

Musées (博物館)駅で降ります。
単線なので、行き違いの列車を待ちます。


行き違いの列車が来ると、やがて出発していきました。
国鉄列車と同様の、TER Alsace のデザインを纏っています。
車両は、パリ郊外のトラムT4線と同様の、シーメンス社 Avanto (SNCF形式 U25500系)。


路面電車用の車両しか止まらず、
ホームは路面電車用に低く、駅舎もありませんが、
しっかりとSNCF(国鉄)の駅です。
平行して走る幹線上には駅はありません。

続きは次回!