やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

【メトロでフランス語】 Musiciens du métro 「メトロの音楽家」

2014-05-30 | メトロでフランス語
Musiciens du métro (名・男)「メトロの音楽家」

RATP(パリ交通公団)が1997年に創設したのが、「メトロの音楽家」です。

本来は駅構内および車内では演奏活動などは許されていないのですが、
(8号線車内に、
「無許可音楽家にお金を与えることは、彼らの活動を助長するので、与えないように」
という「鳩にエサを与えないでください」的な掲示がなされていたことがあります。
現在はRoissybusの広告に置き換わってしまいました)
それまで野放図となっていた辻音楽家たちに、秩序を与えることと、
また、プロへの登竜門を与えるという意味合いも込められて創設されました。

パリ11区の rue de Charonne (シャロンヌ通り)に事務所とスタジオがあるようです。




RATPのサイトによると、
http://www.ratp.fr/fr/ratp/c_9326/une-veritable-scene-alternative/
毎年、350人がオーディションに勝ち残ってこの称号と構内での演奏許可を与えられます。

構内の、利用客の通行を妨げない、許可された通路において「合法的に」演奏が行われています。
音楽家はバッジ(許可証)を掲げていますので、それとわかります。
もちろん、オーディションを勝ち残ったセミプロ~プロですから、演奏の腕もピカ一。

Place d'Italie駅の6号線と7号線の乗り換え通路には、簡単ながらも特設ステージが。


個人的には、ロシア歌曲やウクライナ歌曲を高らかに歌い上げるこの男性演奏家たちがお気に入りです。

Châtelet 駅の1号線から4号線に乗り換える際の通路や、Concorde 駅で演奏を聞くことが多いです。

【メトロでフランス語】 métro 「メトロ」

2014-02-01 | メトロでフランス語
métro (名・男) 「メトロ、地下鉄」

フランス語圏だけでなく、最近では日本でも「メトロ」といいます。
そもそも、このブログのタイトルにもなっている métro とは何なのでしょうか。



世界で最初の地下鉄は、
1863年に開業したロンドンの Metropolitan Railway 「メトロポリタン鉄道」です。

フランスでは、このメトロポリタン鉄道を手本として、
パリの1号線が1900年の万国博覧会に合わせて営業を開始しました。
この地下を走る新しい都市鉄道を、「メトロポリタン鉄道」の名を元に、
chemin de fer métropolitain 「首都の鉄道」と呼びました。
それ以降、従来からの路面電車や乗合馬車といった交通機関を置き換える形で建設が進んでいきました。
この新しいタイプの鉄道は、主に地下を、そして高架を走って、
他の交通機関と立体交差することによって、
従来の平面交差をしていた交通機関に対して、
より高速で運行できるというメリットがあります。




METROPOLITAIN の表記が残る (上:Volontaires 駅 下:Pasteur 駅)

chemin de fer métropolitain が、métropolitain と略され、
さらに、首都に限らず、主に地下を走る鉄道を表す名詞として métro となり、
現在では世界で流通する言葉になっています。
ただし、現在でも、フランスの法令では métropolitain が正式に使われる場合もあります。

フランスにおけるメトロは、首都パリのほか、
地方都市のリヨン、マルセイユ、トゥールーズ、リール、レンヌなどにも建設され、営業されています。

この métro という語がそのまま、世界中で地下鉄もしくは都市鉄道を表す言葉として用いられています。
英語圏では underground, the Tube (イギリス)や subway (アメリカ)など、
ドイツ語圏では U-Bahn と呼び習わしますが、その他では metro が圧倒的です。

日本でも、東京の旧・帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が、
末期に路線図などの表記類に「メトロ」の語を用いたり(「メトロネットワーク」)、
プリペイドカードに「メトロカード」などの愛称を用いだしてから、
地下鉄を表す言葉として一般に知られるようになってきました。
さらに2004年、営団が民営化され、現在では「東京地下鉄株式会社」となっていますが、
この会社およびその路線を呼ぶのに、
「東京メトロ」という愛称が広く用いられています。
東京におけるもう一つの地下鉄運営事業者である東京都交通局(都営地下鉄)でも、
統一的に「メトロ」という言葉を用いる場合があります。


東京メトロ5000系(既に廃車) 右上に東京メトロのマーク(ハートM)がついている


ただ、日本のその他の都市では「メトロ」があまり用いられず、
旧来からの「地下鉄」、英語表記は subway が使われることが多いようです。

【メトロでフランス語】 portes palières 「ホームドア」

2013-10-29 | メトロでフランス語
portes palières (名・女複) 「ホームドア」

フランス語では portes palières もしくは façades de quai といいます。
porteは「ドア」。
あまり聞きなれない palière という語は「踊り場と同平面の踏み板の」という形容詞(『スタンダード仏和辞典』)。
つまりここでは「ホーム面の」ということになります。


ホームドアに掲げられている注意
Ne pas se pencher
Ne pas descendre sur la voie
Danger de mort
「よりかからないこと
線路に降りないこと
生命の危険あり」
(文法的に、不定法は、
命令法よりも強い命令の意味を持ちます)

ホームドアの設置は、転落事故や自殺の抑止に効果があり、
近年では世界中の都市鉄道で進められています。

パリのメトロでは3つの路線に設置されています。


まず、1998年に開業した14号線は当初より自動運転となっていますが、
それを見越して、フルスクリーンタイプのホームドア(半密閉式)が全駅に設置されています。
日本では東京メトロの南北線などで見られるものです。


(Châtelet 駅 14号線ホームにて)


次に、13号線には、まず2006年に Invalides 駅に
可動式ホーム柵タイプのホームドアが試験的に設置されました。
これは、13号線の各駅への設置に先立つのと同時に、
1号線の自動運転化によるホームドア設置を見越した試験でもありました。
2009年から2012年までに12の駅に設置され、
さらに13号線全駅への設置も検討されています。

(Champs-Elysées - Clemenceau 駅 13号線ホームにて)

13号線は自動運転ではありませんが、パリのメトロの中でも最も混雑の激しい路線です。
例えば、ラッシュ時の Saint-Lazare 駅は、
フランスとは思えないすさまじいものがあり、ホームドア設置前は大変危険でした。
ホームドアの設置によって、
ラッシュ時間帯において電車がホームへ進入する速度を上げることができ、
列車本数の増加や、ダイヤが乱れたときの回復に寄与しています。

1号線には自動運転化に先立って2011年より可動式ホーム柵の設置が始まりました。


(Bastille 駅 1号線ホームにて)
現在では全駅に完備されています。
2011年末より自動運転がスタートし、
2013年初頭にはすべての列車が自動運転化されました。


(Champs-Elysées - Clemenceau 駅 1号線ホームにて)


Franklin Roosevelt 駅のホームドアは、
フレームが黒く塗られて、ムーディーな駅にマッチしています。

日本では、都市の地下鉄や新交通システムなどでホームドアの設置が進んでいますが、
ようやくJRでも山手線(東京)やJR東西線(大阪)のような
単一の車両で運用される路線に設置が始まりました。
複雑な列車種別や、ドア数のバラエティーなどで設置には困難がありますが、
技術革新が進むことによって解決法が見えてきているようです。

【メトロでフランス語】 lapin du métro 「メトロウサギ」

2013-10-19 | メトロでフランス語
lapin du métro (名・男)「メトロウサギ」



メトロのドアの窓に、このようなステッカーが張ってあります。

Ne mets pas tes mains sur les portes,
tu risques de te faire pincer très fort.
「はさまれちゃうから、ドアに てをおかないでね」

RATPオリジナルのウサギの絵とともに、注意書きが添えられています。
このウサギのステッカーでは、
この類の注意書きには珍しく、二人称が tu (君)になっています。
子供向けとして、親しさを出しつつ注意を促しているのでしょう。



ドア横に掲げられた注意書きには、3つの注意が書かれています。
上下の二つについては不定法を用いた強い命令表現となっていますが、
中間、メトロウサギの出てくる「ドアにご注意」については、上記の文と同じものが書いてあり、
やはり二人称親称形 tu が用いられています。

これらのメトロウサギステッカーは、RATPの管理する鉄道車両の大半、
つまりメトロの1~14号線用車両と、RER A線の車両に掲出されています。

このメトロウサギ、70年代ぐらいから現れたようですが、
旧バージョンは手がちぎれて血が出ているという、かなりシュールな絵だったようです。
これはさすがに姿を消しましたが、インターネットのサイトで検索すると見ることができます。
現行のものは1986年からのものです。


日本では、ピクトグラムを用いたまじめなものが多いですが、
鉄道会社によっては下記のような例もあり、子ども向けにして注意を促しています。
(日本のステッカーの画像は、他サイト様よりお借りしました)


京王電鉄。沿線にサンリオピューロランドがあるので、
ハローキティーです。やはり子供向けの親称になっています。


東急電鉄の(半裸)クマです。最近、ステッカーが変わりましたので、
「あぶないョ!」のタイプは見られなくなりましたが、東急クマは健在です。


JR北海道は分割民営化以来、所有する全車両のドアに「モジャくん」を起用し、
注意書きにふりがな付きでしたが、
(寝台特急「北斗星」で東京でも見ることができました)
やはり最近見なくなりました。Kitakaモモンガに人気を奪われたか?

関西の電車では、15~10年ぐらい前まで
「ゆびづめちゅうい」「ゆびをつめないように」「ゆびをつめぬよう」
のステッカーがありましたが、
最近ではほとんど見られなくなってしまいました。
関東からすると、なかなかシュールな表現ですが、
こういった地方差が見られなくなるのに、さみしさを感じます。

参考サイト
http://homepage2.nifty.com/uotsu/doagiwa/doagiwa.htm
見だしたら止まらなくなります。こんなに奥深かったのか!

【メトロでフランス語】 places réservées 「優先席」

2013-09-30 | メトロでフランス語
places réservées (名・女複)「優先席」


3号線車内にて。

通常、place(s) réservée(s)というと、「予約席」の意ですが、
上の表記からわかるとおり、メトロにおいては、「優先席」と解釈できます。
いずれにしても、形容詞 réservé の「とっておかれた」という原義からは共通して考えることができます。

5ヶ国語で表記されています(フランス語、英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語)。

日本とだいぶ対象者や意味合いが異なりますので、見てみましょう。

(私訳、かなり意訳)
この下の4席は、以下のお客様への優先席となっております。

- 戦争にて負傷されたお客様
- 視覚障がいをお持ちのお客様、労働災害にて負傷されたお客様、お付き添いのお客様
- 妊娠中や4歳以下の乳幼児をお連れのお客様
- 75歳以上のお年寄りのお客様

(訳以上)

まず、戦争による負傷というのが、現代の日本ではピンと来ませんが、
戦後すぐまでは日本でも傷痍軍人への優先があったと聞きます。
また、お年寄りも「75歳以上」と規定されています。

携帯電話について、
フランスでは、優先席付近での電源OFF、その他の場所での通話を遠慮するよう、
などとは特に指示されていません
(TGVなどの長距離列車では控えるように指示されています)。
なにしろ、電車の中でも普通に話しますからね。
ただし、日本のように大声で携帯に向かって話す人は少ないので、
あまり耳障りに感じません。
心臓ペースメーカーに対する影響は、
第三世代携帯電話以降は相当近づかなければ問題ないという議論もあり、
日本では優先席付近の携帯電源OFFの文言をはずそうという流れが出始めたといいますが。

お年寄りが乗車すると、敬意(フランス語でrespect、日本語になかなか訳せない文化事象の一つです)
を表し、躊躇なく、さっと席をゆずるのは立派だと思います。
譲られる方も Merci, c'est gentil. (どうもご親切にありがとう)などと、
一言挨拶をし、遠慮なく席に着きます。
フランスっていいなー、って思う一瞬です。

【メトロでフランス語】 strapontin 「補助イス」

2013-06-04 | メトロでフランス語
strapontin (名・男)(跳ね上げ式の)補助イス

 

フランスのあらゆる旅客鉄道車両の、出入口付近に跳ね上げ式の補助イスが設けられています(トラム等は除く)。
この「補助イス」(劇場や観光バスについているものなども含め)、フランス語では"strapontin"といいます。


En cas d'affluence, ne pas utiliser les strapontins.
「混雑時には補助イスを使用しないでください」

このような形の補助イスのことを英語では"jump seat"とそれそのもので、わかりやすいのに対し、
フランス語では他の語との関連がいまいちはっきりしない語だと思っていましたが、
Wikipediaで調べてみると(以下引用、下線と注はブログ主)、

Le strapontin, dans sa forme moderne, fût inventé dans la deuxième partie du XIXème siècle par Bernard Strapontin, ingénieur des ponts et chaussées et maire de Belay(原文ママ)

訳(ブログ主):現在の形をした strapontin は、土木技師およびブレイ市(Ain県Bellay「ベレイ」の誤りか?)市長であった、
ベルナール・ストラポンタンによって19世紀後半に発明されたものである

とのことで、発明者の名前のようです。
イタリア語でも"strapuntino"と言うそうで、フランス語から入ったと思われます。

他にも、二次的な地位(重要ではない人物)のことも strapontin というそうです。
あくまで補助、ということですね。

ちなみに、日本のJRでは、思いつくままに挙げると、
JR北海道731系やキハ201系、JR東日本E1系(下写真)、E4系新幹線Max、
JR西日本の新快速223系・225系、JR四国5000系、1500形、JR九州817系など、
採用例は意外に少ないと思われます(車椅子対応席を除く)。

 
私鉄は…すみません、あまり知らないのです。
名鉄や京阪、阪急なんかにありましたっけ。