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やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

【車両】RATP MP89系電車 メトロ4号線用手動運転タイプ

2014-02-04 | Métro 車両
RATPのMP89系電車です。


形式記号「MP」の P からわかるように、ゴムタイヤ式 (pneumatique) になっています。
1989年に開発が開始され、1997年に1号線に、1998年に14号線に投入されました。
1号線用は運転手が運転する従来の方式ですが、14号線用は自動運転用となり、
運転室がありません。
また、1号線用は、当該路線の自動運転化に伴い、
新型MP05系に押し出される形で4号線に転用されました。

今回紹介するのは、この4号線で運用されている手動運転タイプの車両です。
14号線用は先頭車両最前部まで客室になっていたり、座席配置が異なっていたりしますが、
基本的なデザインは変わりません。

1両当たり、片側に両開きの3扉。
6両編成を組んでいて、車両間の移動が可能なように幌でつながっています。


先頭車は横1+2の座席配置。なお、14号線用は全車両この配置。


4号専用の中間車は横2+2の座席配置。


先頭車の一人がけボックスシート。


ボックスシート。


車端部のロングシート。


先頭車を運転室向きに。


車両間の通り抜けが可能です。
ゴム製の幌になっているものと、カバーがされているもの(写真)の2種類があります。


窓は上部が内側に折れ、換気が可能です。


ドアは幅広の両開き。外吊り式の扉となっています。
真ん中に3つ又に別れたスタンションポールが立っていて、
大人数で掴まることができます。


ドア上には路線図が組み込まれています。


Saint-Michel 駅にて。


【車両】RATP MP59系電車 メトロ11号線

2014-01-22 | Métro 車両
RATPのMP59系電車です。
1959年にRATPより発注され、1963年に運用を開始しました。
パリのメトロで最も古い車両になりました。



さて、足元をご覧ください。
世界でも例の少ない、ゴムタイヤです。
前後の駆動はゴムタイヤで、
左右の案内については内側についている鉄車輪+鉄のレールと、
ガイドレールに接する横向きのゴムタイヤで行われています。


台車アップ。外側に左右案内用のゴムタイヤ、内側に前後駆動用のゴムタイヤ、
さらにその真ん中が第三軌条の集電靴です。

急勾配区間に強く、加速もよく、走行音も静かということで、
1950年代当時、フランスの編み出した、画期的技術として知られていました。
また、構造上、脱線しにくいという特徴を持っています。
現在では、技術革新によって、鉄車輪を採用していても、
台車やモーター、制御装置などが高性能化、静音化され、
当初のメリットは薄れてしまいましたが、
今でもフランスの各都市のメトロで採用されています。

日本では、札幌市営地下鉄の3路線全線で、似たようなゴムタイヤ技術が採用されています
(細部は少々異なる)。

パリのメトロでは、1, 4, 6, 11号線がゴムタイヤ方式に改装されました。
また、1989年開業の14号線は当初より採用されています。

MP59系は、このうちの1, 4, 11号線に投入されましたが、
現在では前者2路線には新車が投入され、
押し出された状態のよい車両が11号線に集められて、4両編成で運用されています。

系列番号 MP の P は、pneumatique「タイヤ方式」の頭文字です。
(MF は fer「鉄」から。鉄車輪を採用している車両)


それでは、車両を見てみましょう。

ドアは半自動式。
取っ手を上に上げて、乗車します。





真ん中にスタンションポールが立ちます。


車内はドア間ボックスシートです。
リニューアルされていますが、それからも長年使われているので、
薄暗さはあります。




先頭車


中間車

【車両】RATP MF77系電車 メトロ7, 8, 13号線

2013-12-23 | Métro 車両
RATPのMF77系電車です。
1977年にRATPによって発注されて、Alsthom 社と Franco-Belge 社で製造されました。
郊外に延長され、比較的長距離を走ることになった7, 8, 13号線に投入されています。
このうち、13号線の大半の車両は内装のリニューアルを受けていて、
オリジナルで残る車両は少なくなりました。


長時間の乗車にも耐えられるよう、
広幅の車体を採用。ただし、カーブやトンネルの建築限界があるので、
車体を卵型にすることで支障しないように工夫されています。
上に向かって窄まるという、JR北海道731系のような特徴的な断面をしています。

ドアは1両あたり片側3つ。両開きのプラグドアで戸袋を省略しています。

半自動で、開ける時にはボタンを押します。勢いよく開きます。



大変幅広の両開きドア。小田急1500形や東京メトロ15000系もびっくり。
扉部分には折りたたみ補助イス strapontins が装備されています。

ドア鴨居部分に路線図。

ドア幅が巨大なので、路線の長い7,8,13号線でも路線図が十分収まります。

青を基調とした内装。
車幅が広がったため、以前の車両に比べて、
座席に掛けたときの横幅の窮屈さが解消されています。


ドア間の座席はボックスシート。以前の車両よりシートピッチが拡大されました。


車端部分は車幅が絞られているため、ボックスシートを採用せず、
ロングシートとしています。


いずれの座席もビニール張りですが、クッションが入っていて、
長時間乗車でも苦痛ではありません。


窓は、上の部分を引っ張ると内側に開きます。


冷房装置はついていませんが、ベンチレーターによる強制換気が行われています。
その手前にあるものは、吊り手でしょうか?
蛍光灯が直接見えない半間接照明になっていて、落ち着きがあります。
それでもメンテナンスや掃除が大変そうではあります。


暖房は、窓側座席下に電気ヒーターが組み込まれています。
冬、メトロで一番暖かい車両です。窓側オススメ。


車両間の通り抜けはできません。扉は非常用です。



7号線や13号線では、末端で二股に分かれるため、
行き先を示すランプが車内外にあります。


車両のメカ部分のお話を。

5両編成。Mc + T + M + T + Mc の組成になります(Mはモーター車、Tはモーターなし、cは運転台)
2,4両目に乗ると静かです。


台車は空気バネ(エアサス)を用いていて、乗り心地がよくなっています。

制御方式は、チョッパ制御 (仏:hacheur) です。
このMF77系に乗ると、加減速時に「プー」という一定の周波数のうなり音がします。
MF77系が設計、制作された1970年代後半、日本でも省エネ電車として国鉄中央線に、
チョッパ制御の201系が投入されました。

日本の国鉄(JR)201系(中央線快速 (2010年まで)や大阪環状線、大和路線)や
203系(常磐線各駅停車~東京メトロ千代田線 (2011年まで))と同じ音が、パリのメトロでも聞こえます。
同時代の電車であることがわかります。


【車両】RATP MF01系電車 9号線用新型車

2013-10-26 | Métro 車両
昨日は9号線でパリ16区の南の端まで。


行きの電車は従来からのMF67系でしたが、なんと帰りは...


9号線にも投入が始まったMF01系の新車でした。


Porte de Saint-Cloud 駅にて

広告などで前評判もあり、さらに5号線に先行投入されて営業運転されていたようですが、



いよいよ9号線に登場しました。




(5号線に先行投入された車両、2013年10月23日撮影)


(5号線に投入されている従来からの塗装)
2号線や5号線に従来から投入されているものと同じ構造、車内ですが、
外観の塗装が変わりました。
2号線、5号線用の車両はこちら


従来からの、RATP(パリ交通公団)のグリーンと白のコーポレートカラーに加えて、
イル・ド・フランス地方圏の交通整備を行うSTIF(イル・ド・フランス交通組合)のロゴと
シルバーグレーのテーマカラーがあしらわれています。


路線図は電光式。ただし、車両更新の途中でまだ整備されていないためか、
ついたりつかなかったり。
自動放送もそれに連動してかかったりかからなかったり。


運転台。

これが9号線かと思うくらいに、乗り心地が格段によくなりました。

【車両】RATP MI79系/SNCF Z8100系 RER B線用リニューアル車

2013-10-04 | Métro 車両
先日、パリ・シャルル・ド・ゴール空港に出向いた際、帰りのRER B線でリニューアル車両にあたりました。
このリニューアルは、2010年から、STIF(イル・ド・フランス交通組合)の予算配分により、
RER B線を共同管理するSNCF(フランス国鉄)とRATP(パリ交通公団)が進めているものです。

RER B線の車両の中でも、
1981年から量産されていたMI79系(RATP形式)およびZ8100系(SNCF形式)
(両者は同一仕様)がその対象となっています。


1編成4両を2編成つなげて、8両編成となっています。
(この場合、発車案内板に "Train long" (長編成)と表示されます)
今回は前4両がリニューアル車、後4両が非リニューアル車でした。


乗り込んでみましょう。ドアをボタンで開ける方式は変わっていません。
折りたたみ式の補助イスはなくなり、立ち席スペースがアップしました。


車内が再塗装され、明るくなりました。


座席も、ビニール張りのものから、モケット張りの新品に取り替えられました。
ほどよくクッションが効いていて、掛け心地がアップしています。


沿線にシャルル・ド・ゴール、オルリーの両空港を擁するので、
空港アクセス用に大型荷物置き場が1両に一箇所、設置されました。
枠にはモケットが張られています。ラッシュ時などの混雑時に、
体が当たっても痛くないようになっています。


停車駅情報装置。
RER B線では両方の末端で二股に分かれたり、快速運転も行いますが、
これを見れば行き先や停車駅が一目瞭然です。
自動放送による次駅案内は健在です。


外装も、モノトーンにSNCFとRATPのテーマカラーを配する、大胆な色使いになりました。






【車両】 RATP MF01系電車(2, 5, 9号線)

2013-06-29 | Métro 車両
メトロのMF01系電車(MF2000系とも)です。



5両編成、3扉です。前面にLEDによる行き先表示がされます。

2001年にRATP(パリ交通公団)より発注され、
納入は2008年より現在まで続きます。
製造元はアレバ社 (Areva)、アルストム社 (Alstom)、
ボンバルディア・トランスポーテーション社 (Bombardier)、
その他数社による共同製造(車内のプレートは上記3社を掲載)。

2013年6月現在、2号線はすべてこの車両、
5号線は数編成を残して旧型を置き換えており、
この置き換え完了後には、
9号線の旧型MF67系を置き換えるべく投入されます。


車内に入ってみましょう。


ドアは開閉時ともに自動です。両開きの大きなプラグドア(戸袋なし)です。
ドア前に3本に分かれたスタンションポールが立っており、
多くの人がつかまることができるようになっています。


ドア間には、4人がけのボックスと2人がけのボックスが千鳥配置になっています。
窓のサイズは、座っている人の肘の部分から立っている人の頭の高さまである大きなもので、開放的です。
JR東海の在来線ワイドビュー特急なみです。
2号線、5号線ともに高架上を走る区間がありますので、うれしいですね。




それぞれ4人がけ、2人がけボックスです。
座面や背もたれにはクッションやスプリングが入っておらず、
硬いですが、台車のサスペンションがしっかり効いていることや、
乗車時間を考えればあまり苦になりません。


ボックス背面には、補助イスがあります。


貫通路脇は2人(3人?)がけのロングシートとなっています。
背もたれが切り立っており、すわり心地はあまりよくありません。
着席人数を増やすための補助イス程度でしょうか。


最近のパリのメトロの車両は貫通路が設けられています。MF 01系も例外ではありません。
車両間で乗客が行き来できるようにして、車両ごとの混雑を均等にする役割があります。
東京メトロ6000系(更新前。千代田線~JR常磐線各停~小田急線)のような、広い貫通路になっています。

貫通路の部分にも立つことができます。


ドア上には、LED(発光ダイオード)による自動旅客案内装置が組み込まれています。
次駅または停車中の駅は点滅、これから停車する駅は常点灯となっています。
その他に、次駅到着直前に自動放送による駅名案内があります。
スピーカーはドア脇にあります。


ドアが閉まる際には、プーという電子音のブザーのほかに、
頭上の赤いランプも点滅し、注意を促します。




天井に電球色の蛍光灯が半間接照明として組み込まれ、
なめらかな曲面に造形された天井とあいまって、
やわらかくあたたかな雰囲気があります。
画面手前の冷房装置が組み込まれている部分の天井には、
スポット照明が組み込まれています。


少々、車両のテクニカルな面を。


台車は空気ばね式のもので、
やわらかい乗り心地を実現しています。
集電は第三軌条方式で、台車の中央右寄りに集電靴が見られます。
運転台付き先頭車はモーターなしの付随車、
中間車3両がモーター付き(電動車)です。
IGBT素子を用いたVVVFインバータ制御装置によって、
誘導電動機の主電動機を制御しています。
起動時のうなり音も気にならなく、大変静かな印象です。

ところで、5号線、9号線向けにまだまだ増備が続きますが、
2013年6月の新製車から、外観の塗装が変更されました。

RATPの新型路線バスにも見られる配色で、
RATPのグリーンの他、
STIF(Syndicat des Transports d'Ile-de-France:イル・ド・フランス交通組合)
のシルバーグレーを配しています。

【車両】 RATP MF 67系電車(3号線用リニューアル車両)

2013-06-18 | Métro 車両



メトロ3号線で運行されているMF 67系です。1968~1971年に投入されました。
この系列は他にも3号線支線, 5, 9, 10, 12号線などで活躍していますが、
3号線用の大多数は徹底的なリニューアルが行われています。
リニューアル車は顔が黒いのが特徴です。


取っ手を回すと勢いよくドアが開きます。
車内に入ってみましょう。


リニューアル後は、ボックスシートと4人がけロングシートが千鳥配置になっています。
パリのメトロでは珍しい座席配置です。

 
ボックスシート背面や車端部には補助イスがあります。


スタンションポール上部に埋め込まれた青い光がよいアクセントになっています。


非冷房なので、熱いときは窓を開けます。
下段固定、上段下降式です。


ドアの鴨居部分の停車駅案内です。
これから停車していく駅にはランプが点灯し、
次駅もしくは停車中の駅は点滅で示されます。
また、次駅名や足元注意などの自動放送案内も行われます。
このような自動旅客案内
(ASVA : Annonces sonores et visuelles automatiques)が備えられているのも、
リニューアル車の大きな特徴の一つです。

取っ手を回して、降ります。



ドアは半自動式(開けるときは手動、閉めるときは自動)の両開きです。

窓ガラスが車体外板よりも一段奥まっているのがわかります。
手前は戸袋になっているのです。
乗車中、決して窓から手や顔を出さないように!勢いよく開いたドアにぶつかります。


空気ばね台車ですが、古めかしく乗り心地やや固め。


5両編成、一両あたり4ドアです。