やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

黒い森とライン川 ドイツ・バーデン州からフランス・ミュールーズへ

2014-06-30 | 日記
5月末、パリでブログ主が所属する合唱団が、
ドイツ西部のカールスルーエ Karlsruhe にある合唱団の開くコンサートにて、
合同演奏することになりました。ドイツ遠征!

そこで、合唱団の皆でTGVにてカールスルーエまで。
パリ東駅からストラスブールを経由して、ライン川を渡り、ドイツに乗り入れです。
所要約3時間、チケットも39ユーロ!
時代は変わりました。


TGV Duplexですが、ディスプレイも付いています。仏独英の3ヶ国語で表示。
検札も SNCF (フランス国鉄)と DB (ドイツ鉄道)の二人組で来ました。



カールスルーエに到着。


~~~


コンサートを無事終え、翌日、街の観光をしました。


カールスルーエは、1992年に、世界に先駆けてトラムトレイン(路面電車が一般の鉄道線に乗り入れる)を始め、
欧州各都市のモデルとなったところです。


街中には大きな公園が。その中を、一周30分かけて巡る遊覧鉄道に乗りました。
軌間600mmと思われる小さなものですが、週末は本格的な蒸気機関車による牽引!


夕方、パリに戻る皆を見送って、一人で行きとは違う道を進みます。


カールスルーエ中央駅 (Karlsruhe Hbf) 18:09発 RegionalExpress 地域急行列車
オッフェンブルク Offenberg 18:56着

客車は二階建てで、快適。ごみがめったに落ちていないのはドイツらしい。

Schwartzwaltbahn (「黒い森鉄道」の意)の文字が誇らしい。
ん、黒い森鉄道?日本のは青い森鉄道。


温泉地、バーデンバーデン。
でも、スーパー銭湯を思い起こしてしまうのはなぜでしょう?





オッフェンブルク 19:07発 RegionalExpress
フライブルク中央駅 Freiburg (Breisgau) Hbf 19:55着


ここから南下していきます。
先ほどと同じタイプの二階建て客車。


車窓左手にはシュヴァルツヴァルト(黒い森)が続きます。
確かに、小高い岡は黒く見える。

バーデン・ヴュルテンベルク州を、黒い森とライン川に沿って縦断してきました。



フライブルク中央駅 20:27発 InterRegionalExpress
ミュールーズ駅 Mulhouse Ville 21:15着

国境を越える列車だけに、どちらの国のどんな車両が来るか楽しみでした。


ホームに入ってきたのはなんと!フランス側のTERディーゼルカー1両編成の列車
(1両なので編成とか列車と言うのはおかしいようだが、鉄道用語ではこのように)。
何だかフランスに戻ってきたようでほっとしてしまいました。
自動の車内放送はフランス語だけです。

それにしても、同じ独仏国境でも、TGVやICEが次々通る幹線のストラスブール~オッフェンブルクの間と違い、
ローカル線であるミュールーズ~フライブルク間の流動の少なさを既に見せ付けられたような気がしました。
単線の線路はか細く、
途中、いくつかの駅に停車するも、ほとんど街はありません。
列車にも10人に満たない人数しか乗っていません。


ライン川を渡り、フランスに入ります。


TGVと併走し、アルザス地域圏の工業都市、ミュールーズに到着します。

3時間のショートトリップが終わりました。ホテルにチェックインし、翌日に備えます。

次回に続く。

オリエント急行に触れる。アラブ世界研究所・オリエント急行展

2014-06-27 | 日記
パリ5区にあるアラブ世界研究所 (Institut du Monde Arabe : 以下 IMA)で、
4月4日より8月31日までオリエント急行の特別展 "Il était une fois l'Orient Express" が開かれています。

その名の通り、西欧から東欧、そして東方との架け橋になった名列車であり、
この研究所・博物館がこのようなテーマの展示を行うことには大きな意義がありますが、
それにしても本気度が違います。

SNCF(フランス国鉄)が協賛し、博物館前広場に車両を展示してしまいました。







12ユーロの券(前売り・当日もあり)で、館内展示以外に、客車3両の車内にも入れます。
あのオリエント急行にたった12ユーロで!!

世界各地の豪華列車の先駆けとなり、影響を与えてきた車両たちです。
もちろん、見に行きます。


古い車両ならではの美しい台車。


これが「北斗星」のJR北海道所属車についているエンブレムのもとになったものか!
日本の豪華寝台列車もオリエント急行を目指したもの。
特に「北斗星」と「トワイライトエクスプレス」は近年、
似たような、使い込まれた渋さがでてきました。
新幹線開業によって廃止とされているが、どうかふんばってほしい。


フランス製です。出入口のドア下に製造銘盤があります。

車両内には、学芸員(ガードマンか?)に導かれて、20人ぐらいずつの塊になって入っていきます。
3両編成の、真ん中の寝台車だけは撮影不可、両端の2両はフラッシュ撮影も可能です。


4159号車 サロン・食堂車「フレッシュ・ドール」(金の矢)


一両一両に名前がついているようです。
この車両は、朝食、昼食、夕食の会場になるだけでなく、食事時以外にはサロンカーともなっていたそうです。


ラリックのガラス窓が美しい。

1987年にレストアされているので、現役で本線を走ることが出来ます。
出入口なども、日本の寝台列車と同じような材質の建材でぎ装されていて、
近代的になっていました。
しかし、中身は...ホンモノの美しさです。「走る芸術品」の名は伊達ではありません。








サロン個室。


4160号車 バー車 「トラン・ブルー」










3両編成とは直角に、1両のレストラン車も置いてありますが、
こちらは予約制でディナーを味わえるそう。
コースは120ユーロと160ユーロの2種類で、8月2日までだそうです。

入ってみたい。


寝台車




写真に写すことの出来なかった寝台車ですが、
館内にレプリカが展示されています。
現代のヨーロッパの個室寝台車とそれほど変わらない構造、
つまり既に原型は出来ていたということです。
「北斗星」のツインデラックスにトイレが付いた構造です。


さらに古い時代のもの。

館内展示もオリエント急行のルートや乗車した著名人の紹介、ポスターなど、
充実したものでした。


IMAの展望台からは、こんな景色が見渡せます。
隠れた名所です。

Transilien P線のトラムトレインに乗る

2014-06-24 | RER / Transilien
以前は郊外線 (lignes de banlieue) と呼ばれていた
Transilien (トランシリアン:イル・ド・フランス地域圏の鉄道ネットワークに付けられた愛称)、
その P 線は、パリ東駅を出発点としてパリ東郊に延びる路線群です。

ある日曜日、仕事が終わってからの夕方、
まだ未乗だった、Esbly ~ Crécy la Chapelle 間に乗ってみました。
この部分は、通常のSNCFの路線ですが、車両がフル規格の鉄道車両ではなく、
トラムT4号線と共通で使用されているトラムトレイン (仏語「トラム・トラン」 tram-train) なのです。
その点でも気になっていた路線でした。



ちょうど今は一年で一番日が長い時期、22時過ぎまで明るいので、
16時に行動を開始しても間に合います。
週末はパリ市内・隣接郊外のパス (Zone 1-2) でもイル・ド・フランス地域圏の交通 (Zone 5 まで)に乗り放題です。

今はSNCF (フランス国鉄) のスト中。
パリ東駅まで来てみましたが、かなりの列車が省かれているようです。
P線の他の末端部分はバス代行などもしているようですが、
これから乗ろうとしている所はとりあえず動いている模様。

2009年より今まで Transilien 向けに増備が続いている Z50000系電車 (愛称 Francilien) で、
パリより約40分、Esbly まで向かいます。
明るく、静かで快適。

Esbly 駅では、40分の待ち合わせ。とりあえず、ストの影響はなさそうです。
Crécy la Chapelle 方面は駅舎に近い行き止まり式のホームです。
幹線の2本の線路に比べると、いかにか細いことか。



目指すトラムトレインは20分ほど待ったところでやってきました。


隣のホームは、L線のパリ行き幹線列車。
大きさの違いがわかります。
トラムトレインはちょこんと佇んでいます。
車両はシーメンス社の Avanto (SNCF形式 U25500系)。

Esbly 駅を出発します。一旦幹線のパリ方向に戻る形で進み、
駅構内を出るとすぐに左に分岐します。

運転席後ろの、
動力台車があるために他の客室よりも一段高くなっている部分に座りました。
路面電車の形をしていますが、通常の鉄道路線ですので、
90km/h程度でモーターをぶん回しながら豪快に飛ばしますし、
線路に踏み切りもあります。



日曜夕方のため、下り方面(パリから遠ざかる方)にはほとんど人が乗っていません。

この車両の走るもう一つの路線、トラムT4号線は、ホームが低くなっていますが、
こちらの路線ではホームの高さはそのまま。
逆段差になっています。





途中、1つの廃駅を通過、3つの駅に停車して、
約13分で Crécy la Chapelle 駅に到着。
全線を通じて単線で、行き違い設備もありません。
1本の車両が機織りのように運用されているようです。



折り返します。

週末を郊外の実家で過してきた人がパリに戻るので、
行きよりは人が乗っていますが、それでも席が半分埋まった程度。
これぐらいの乗りならトラムトレインでも十分でしょう。
今度は低床部分に座ります。

車両は路面電車のようなのに、流れる風景は都会ではなく田園地帯。


二階建て車両の下階に座っているようで、
地面に近く、スリリングに景色が流れます。
路面電車ではこんなスピードが出ませんからね。


幹線の線路が近づいてくると、Esbly 駅です。


Esbly に戻ってきました。19時50分、まだまだ明るい。