やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

【メトロでフランス語】 places réservées 「優先席」

2013-09-30 | メトロでフランス語
places réservées (名・女複)「優先席」


3号線車内にて。

通常、place(s) réservée(s)というと、「予約席」の意ですが、
上の表記からわかるとおり、メトロにおいては、「優先席」と解釈できます。
いずれにしても、形容詞 réservé の「とっておかれた」という原義からは共通して考えることができます。

5ヶ国語で表記されています(フランス語、英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語)。

日本とだいぶ対象者や意味合いが異なりますので、見てみましょう。

(私訳、かなり意訳)
この下の4席は、以下のお客様への優先席となっております。

- 戦争にて負傷されたお客様
- 視覚障がいをお持ちのお客様、労働災害にて負傷されたお客様、お付き添いのお客様
- 妊娠中や4歳以下の乳幼児をお連れのお客様
- 75歳以上のお年寄りのお客様

(訳以上)

まず、戦争による負傷というのが、現代の日本ではピンと来ませんが、
戦後すぐまでは日本でも傷痍軍人への優先があったと聞きます。
また、お年寄りも「75歳以上」と規定されています。

携帯電話について、
フランスでは、優先席付近での電源OFF、その他の場所での通話を遠慮するよう、
などとは特に指示されていません
(TGVなどの長距離列車では控えるように指示されています)。
なにしろ、電車の中でも普通に話しますからね。
ただし、日本のように大声で携帯に向かって話す人は少ないので、
あまり耳障りに感じません。
心臓ペースメーカーに対する影響は、
第三世代携帯電話以降は相当近づかなければ問題ないという議論もあり、
日本では優先席付近の携帯電源OFFの文言をはずそうという流れが出始めたといいますが。

お年寄りが乗車すると、敬意(フランス語でrespect、日本語になかなか訳せない文化事象の一つです)
を表し、躊躇なく、さっと席をゆずるのは立派だと思います。
譲られる方も Merci, c'est gentil. (どうもご親切にありがとう)などと、
一言挨拶をし、遠慮なく席に着きます。
フランスっていいなー、って思う一瞬です。

【Métro いろいろ】SIEL(オンライン情報システム)メトロバージョン

2013-09-29 | Métro いろいろ
SIEL (Système d'information en ligne)「オンライン情報システム」は、
イル・ド・フランス地方圏のメトロ、バス、トラムやバスに採用されている次列車(バス)案内装置です。
数種類のバージョンがありますが、今回のログでは、
パリのメトロ1号線から13号線に採用されているものを取り上げます。


通常バージョン。右上に現在時刻表示。
中央右側から、方面、1er train(次の列車)の待ち時間、2e train(その次の列車)の待ち時間

右横についている円筒がスピーカーになっていて、音声でも知らせます。
この写真の場合でしたら、
"Direction La Défense, prochain train dans 1 minute, le suivant dans 6 minutes."
(「ラ・デファンス方面、次の列車は1分後、その次の列車は6分後です」)と流れます。
次の列車が10分後、4分後、1分後のタイミングで放送されます。

パリのメトロは、起点と終点を行ったり来たりしているので(朝や深夜に例外あり)、
列車ごとの行き先を表示する必要もなく、すっきりしていますね。


7bis線の表示。列車本数が少ない場所や、
始発駅に近いところではこのように次の列車のみの案内になります。


途中で二股に分かれる7号線や13号線は、2段になっています。
次に来る列車の方に青い矢印がつきます。
(それにしてもびっくりするほどの待ち時間が表示されていますが、
これはこの駅の手前で工事をやっていたため、SIELが正確に機能していませんでした。
実際は2~3分で来ました)

この場合の音声放送は、例えば、
"Direction Ivry, prochain train dans 1 minute,
direction Villejuif, prochain train dans 3 minutes."
といったように、それぞれの方面の次列車のみの案内になります。


おまけ

次列車が2分後、次次列車が1分後!?
いえいえ。

異常時は**と待ち時間が交互に表示されます。
この後、車内の電灯を消した故障車が通過していきました。

国際空港の鉄道アクセス~東京 vs. パリ(2. パリ編)

2013-09-28 | RER / Transilien
前回(東京編)はこちら
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/6f7e41e076c4d2685e3fc639beec8032

飛行機に乗って、パリ・シャルル・ド・ゴール国際空港に22時00分ぐらいに到着しました
(フランス人は空港の所在する地名から、Roissy(ロワシー)と呼びます)。


入国審査の後、荷物受取で30分ほど待つも、
ターンテーブルからはブログ主ほか十数人分の荷物は出てこず...
ロストバゲージの手続きをしていたら、もう23時を過ぎてしまいました。


ガラーンとした空港内(Terminal 2B)

23時も過ぎると、もうパリへのアクセスは鉄道(RER B線)の一択しかありません。
もうちょっとすると、1時間に1本の深夜バス (Noctilien)がパリ東駅に向けて出るのですが、
まだ早い。それでは、電車で行きましょう。

頭上の "Paris par train - Paris by train" の表示にしたがって歩いていくと、
SNCF(フランス国鉄)の空港駅に出ます。
RER B線のホームとTGVのホームが並んでいますが、入り口は別々です。
(ここからの写真は別の日の昼間に撮影したものです)

RER B線のAéroport Charles de Gaulle 2駅です。


昼間は快速運転もしていますが、
この時間は、すべての電車が各駅停車になります。


ボタンを押すと、ドアが開きます。

23:29に出発しました。車内はまずは旅行者と空港関係者だけですが、
途中駅で徐々に地元の人が乗ってきます。
各駅停車となると、空港輸送と都市内輸送が分けられていないので、
ちょっと雑然とした雰囲気です。
0:10、パリ北駅 (Paris - Gare du Nord)に到着です。
このまま列車はパリ市内を抜けて、パリの南郊外まで直通します。
ブログ主はここから、メトロに乗り換えて帰宅しました。


70~80年代のアメリカのホームドラマなどで見られるような、
暖色系カラーの壁とビニール張りの座席で、目にも鮮やかですが、
さすがに古さを感じますね。


車内はボックスシートが並びます。
通常の郊外電車の延長線上なので、大型荷物置き場もなければ、
地元の人も乗ってきます。
特にパリの北側郊外は、フランスでも有数の治安の悪い場所を通るので、
各駅停車に乗った際は、しっかりと身構えましょう。
乗車したらとにかく中に詰め、ボックスシートに座る、
寝ないなど、対策が必要です。


大きな荷物を持っていたら、ドア横の補助席に座るのも手です。
ただし、盗難に十分注意!

エスカレーターやエレベーターがない駅も多く、
バリアフリーなどどこ吹く風のパリのメトロですが、
RER B線沿いの駅には備えられていますので、
重い荷物を持っていても大丈夫です。
ブログ主の場合、
鉄道で空港まで行く際には、自宅最寄のメトロ駅のみ階段で昇降です。

昼間は、空港~パリ北駅の間をノンストップで29分ほどで結ぶ列車が、
15分に一本運転されています。
空港に行く、または空港からパリに行く乗客しか乗らないので、
そこそこ空いていて、比較的安全です。
一本待ってでも、積極的に利用するとよいと思います。

また、少々時間は掛かりますが、荷物が大きかったり、安全をとるために、
エールフランスやRATPが運行するバスを利用するのも手です。
朝晩などは渋滞にはまりやすく、ちょっと厄介ですが...

昨年(2012年)から、RER B線に、
従来の車両の内外装が一新された車両がでてきました。
空港アクセスも意識して、大型荷物置き場も完備。
座席の取り替えや内装の再塗装なども行われ、明るい車内になっています。
このリニューアル車はそのうち当ブログでも取り上げる予定です。
お楽しみに!

国際空港鉄道アクセス~東京 vs. パリ(1. 東京編)

2013-09-26 | 日記
日本よりフランスに戻りました。
飛行機、乗るたびにワクワクです。
その飛行機の前後の鉄道アクセスを見てみましょう。

今日のログはまず、東京側。羽田の国際空港化がなされ、都心から便利になりましたが、
やはり国際空港の主力は成田です。ブログ主の搭乗する便も成田発なので、
今回は、JRの「成田エクスプレス」を利用しました。

料金は総武本線を走る別の特急や、ライバルの京成電鉄に比べて高めですが、
東京駅や新宿、池袋、品川といったターミナルからのアクセスもよく、
神奈川県の東海道線・横須賀線武蔵小杉・横浜・大船や、都下の中央線立川・八王子など、
近郊から直通できるのが魅力です。
さらには、渋滞に巻き込まれる心配もなし。鉄道ならではの定時性が確保されています。
2009年から順次、車両がE259系に一新され、快適性がアップしました。




今回は、鎌倉市の東海道線・横須賀線大船駅から出発です。


普通車。成田エクスプレスのテーマカラーに沿ったリクライニングシートが整然と並びます。
革張り座席のグリーン車もありますが、普通車でも十分快適。
座席背面には大型テーブルがあり、パソコンを置いたり弁当を食べるのにも。


天井には等間隔でLCD(液晶ディスプレイ)も設置。

停車駅や行き先の表示だけでなく、

現在位置と世界の天気、

さらには成田空港からの出発便の時刻や遅延、出発ターミナルなどのリアルタイム表示も。
車内放送や車内の旅客案内表示は、すべて日英中韓の4ヶ国語で。


座席の枕は上下して、頭にフィットさせることができます。


AC100Vのコンセントが全座席に。パソコンやスマホのバッテリも気にせずに。


空港アクセス特急にふさわしく、大型荷物置き場があります。


さらに、成田エクスプレスの特徴は、ロックができることです。
寝ていたり、目を離していても、盗難の心配がありません。


コードを巻きつけてから、任意の数字を入れてロックをすると、自動的に0000に戻ります。
開錠の時はロック時の数字を入れます。


忘れないように、メモも用意されています。
これも4ヶ国語表示。


東京駅を出ると、もう次は空港第2ビル駅(第2旅客ターミナル)、
そして終点の成田空港駅(第1旅客ターミナル)。




ホームからエレベーターやエスカレーターで上に上がると、
コンコース。改札の向こうはセキュリティーチェックで、身分証明書を見せて通ります。


大きな空港は出発・到着便も多く、いろいろな国の飛行機が見られます。
さまざまな国の人が行きかいます。
これから飛行機に乗るという高揚感もあいまって、いつ来てもワクワクします。

料金は高めですが、
JR東日本の予約サイト「えきねっと」で、
携帯電話やスマホからチケットレス特急券を申し込むと割引がありますし、
その他に、大幅割引のN'EX往復割引きっぷも発売されました
(ブログ主は海外側から往復するので使えませんが)。
大いに活用したいものです。

成田空港方面に向かう際の車窓の見所としては、
まず、地下の東京駅を出発して、地上に出たところ、
錦糸町駅~平井駅あたりの左手に東京スカイツリーが聳え立っています。

また、千葉駅を通過してから空港第2ビル駅までの間の約30分間は、
小高い岡を縫いながら、水田地帯を抜けていきます。
特に、海外から帰ってくると、瑞々しくうるおいのある、日本らしい風景に見えます。
出発前に目に焼き付けておくのもよいでしょう。

次回、パリ編に続く。

「みどりの山手線」ラッピング電車

2013-09-21 | 日記
以前、パリのメトロのラッピング電車を紹介しました。
「3号線のラッピング車両」
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/7c5ec522bf981ed1795b33a8c8a3d157
「3号線のラッピング車両、再び遭遇」
http://blog.goo.ne.jp/miromes9-13/e/f45dc4947c1079a1ef2ef74b27e74119
今回のログでご紹介するのは、日本のケース。


ある日、研修後に友達と飲み、そのまま新宿に宿泊した日、
終電近くに、見たかった電車にようやく出会えました。

「みどりの山手線」



山手線のラインカラーがウグイス色になって、今年で50周年。
当時の103系電車を模して、側面全面にラインカラーがラッピングされています。

あまりにも突然だったので、ブレブレですみません。前頭部は通常のカラーです。


数日後、別の友人と寿司屋に寄り、またもや終電近く、
新宿のホテルに入ろうとしたら、また来ました。
今回は落ち着いて撮れました。




国鉄時代のフォントで書いてある車両番号が泣かせる。


湘南ライナーの誘惑~遠距離通勤してみる

2013-09-11 | 日記
日本に帰ってきた主目的である、あるフランス関係の職業研修に参加していました。
都内の黄色い帯の路線沿線にある施設で、
朝9時15分から始まり、夜は19時前後に終わる、
さらに毎日課題が山のように出るというものでしたが、
3週間、無事終えることができそうです。

ブログ主の実家は静岡県なので、東京に滞在するのが妥当なのですが、
突発的な家庭の事情より、毎朝実家から通うことになってしまいました。
かといって、新幹線に毎朝乗っていたら、完全に予算オーバー。
そこで、この期に発売されている「青春18きっぷ」で往復していました。
往復で通勤時間約5時間。
ただし、片道2210円のところ、往復で2300円で済みました。



朝は、三島駅まで自転車で行き、
一駅手前の沼津駅始発の東京駅行き直通列車に乗ります。余裕で座れます。
帰りは終わる時間によりますが、東京駅から東海道線に乗ります。
並びさえすれば着席できます。

座れるとはいえ、削った睡眠を補ったり、課題をこなさなければならなかったりで、
固いシート、混雑する車内ではちょっと、な時もあります。

そんなときは、途中の小田原駅からは、「湘南ライナー」に乗ります。
これ、フランスやヨーロッパではなかなか無いサービスをする列車です。

全国各地のJR線の大都市近郊に「~ライナー」と名のついた、
100円~500円の乗車整理券・ライナー券を購入することで、
特急車両への着席が保証される列車が運転されていますが、
「湘南ライナー」はそのさきがけとなった列車です。

つまり、パリ都市圏ではそこまで遠距離の通勤をする人もいなければ、
RERなどは遠方から乗れば、ほぼ着席できるため、
わざわざそこまでする必要がないわけです。

小田原発の品川・東京方面行き「湘南ライナー」は、平日朝に7本運転されています
(さらに渋谷・新宿方面行き「おはようライナー新宿」が3本)。
車両や経由地のバラエティーもさることながら、停車駅も便によって違います。


よく乗ったのは朝に6本あるうちの、「湘南ライナー10号」、
小田原発では最もすいている列車です。
品川が終点で、かつエスカレーターのない臨時ホームに到着のため、
人気がなく、発車直前でもライナー券が買えます。

今回のログで紹介する日は、1時間早く出発したため、
湘南ライナー6号に乗車です。
ただ、前日夜、小田原駅を通ったときにすでにライナー券が売り切れていたので、
この日はグリーン車(自由席・ライナー券不要)です。

小田原駅で、階段を昇り降りして乗り換えます。
寝不足の身にこたえます。

階段の端っこに何か書いてあります。


「あめ玉1個のカロリー」


「ビール(中ジョッキ)1杯のカロリー」←うー、耳が痛い
「カツ丼1杯のカロリー」などなど


「継続は力なり」
がんばって、前夜に飲んだお酒を消費しますよ。


列車に乗り込みます。小田原6:58出発時点ではまだガラガラです。


東京・新宿に8時台に着く3本のライナーには、
オール二階建て車両が重点的に投入されています。

この6号は、小田原を出発してすぐに東海道貨物線に転線します。

旅客線側を走る普通列車を次々と追い抜いていきます。

同じ湘南ライナーでも、列車によって貨物線に入るタイミングが違ったり、
貨物線に入らず、旅客線をひたすら進んでこまめに停車するものもあります。


御殿場線の分岐する国府津駅も、貨物線側にはホームがありません。

途中の停車駅は、貨物線上にホームのある茅ヶ崎と藤沢だけ、
そしてもう東京都の品川、新橋、終点東京です。
最速達列車のうちのひとつです。
停車駅が少ないので、
お客さんの動きも少なく、放送もほとんどかからず、シーンとしています。


茅ヶ崎で一気に乗客が乗り込んできます。


一部のライナー専用として、貨物線にホームが設けられました。
そのため、お客さんが乗り込んでしまうと、
もうホームには人がいなくなります。
あちらの旅客線ホームは、普通列車を待つお客さんで大混雑です。


だいぶ人が乗りました。大多数の人が睡眠を補おうと、寝ています。

藤沢も茅ヶ崎と同時に貨物線にライナー専用ホームが設けられました。
ここで満席となります。
それでも、列車の性格上、グループで乗る人は誰もいないので、とにかく静か。
ほとんどの人がカーテンを下ろします。
特に、南側(進行方向右側)は朝日が入ってくるので、完全に閉まります。
車内は薄暗くなります。
慣れていない人が見ると、一種異様な光景かもしれません。


東戸塚駅までは旅客線に平行して走っていきますが、
そこから先は、
通常の東海道本線旅客線を通る列車とは違う経路をたどっていきます。
長大な地下トンネルに入り、出ると横浜羽沢貨物駅、さらに地下トンネル。
鶴見駅付近で地上に出て、横須賀線に沿っていきます。
新鶴見機関区を過ぎたところで横須賀線に合流、
そのまま新幹線に平行しながら、横須賀線を東京駅まで走っていきます。
朝のライナーに乗らないと見られない、とても興味深い景色です。

ただ、外の景色を気にしている人はほとんどいない様子。
どこにも停車しないので、坦々と走っていき、とにかく静か。
ブログ主も慣れているので、このあたりはいつもウトウトし出します。

小田原、茅ヶ崎、藤沢と乗車のみでしたが、
品川で初めて降車が可能です。4割方降ります。

横須賀線の線路を行くため、通常の東海道線列車と違い、地下にもぐります。
新橋で少々降りたら、もう終点東京です。8:12、地下4階のホームに到着です。



500円払って快適空間を取るか、
その500円を別のものに使うか、悩ましいところです。
でも、ついライナーに乗ってしまう悲しい性。

よし、今日もがんばったから、帰りもライナーでビールだ!
いや、ビールはやめておこう。。。
勉強勉強。