やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

JR全線完乗へ2015 (1) 吾妻線 岩島~長野原草津口間

2015-07-21 | JR全線完乗記
フランスから日本に戻り、あっという間に半年以上が過ぎている。
生活ががらりと変わり、周りに囲まれながら日々多忙な中にも充実しているが、
やはり「青春18きっぷ」が出る時期になってくると、気分が高揚してきて、旅に出たくなる。

さて、2014年新春の一時帰国の際にJR全線を乗り終えたのだが、
その後2014年10月には吾妻線の付け替え区間、
さらに2015年の春に、相次いで新路線が開通した。

18きっぷが出たのであれば、これらに乗ってみたいと思い、一層そわそわしてきた。

【吾妻(あがつま)線 岩島駅~長野原草津口駅】

そのようなわけで、新規開業区間のりつぶしの第一弾として、
2015年7月21日火曜日に群馬県へ出かけた。
3連休の最終日で混雑すると思われる前日20日「海の日」に自分の仕事を進めることとし、
敢えて平日出発とした。

静岡駅を5:28の普通電車で出発し、沼津で上野東京ラインに乗り換える。
小田原から「湘南ライナー10号」
(品川止まりのために編成が短いにも関わらず若干空いている)、
品川で少し待ち、
一日に数本しかなくなってしまったが
しぶとく生き残っている高崎線の快速「アーバン」を選ぶ。

高崎駅から11:43の吾妻線大前行に乗る。

久しぶりに出会ったみかん色(湘南色)の115系、
子どもの時からの思い出がたっぷり詰まった電車。まだ現役なのがうらやましい。

どっしりとしたボックスシート、これがいいんですよ。
わが静岡は…今ではロングシートばかりで旅気分になれなく、残念だ。

夏休みに入ったとはいえ、子どもの姿を見かけない。
一つのボックスに一組ずつきれいに収まり、発車。
ボックスシートには駅弁が似合う。高崎名物の「とりめし」を紐解く。



高崎より上越線を進み、伊香保温泉の玄関口である渋川駅から吾妻線に乗り入れる。
利根川の支流、吾妻川を左手に見ながら上流に遡って行く。
沿線には伊香保温泉、小野上温泉、四万温泉、湯平温泉、花敷温泉など、とにかく温泉が多い。
もちろん横綱格の草津温泉も擁している。
これらの温泉を巡るのに、今までに幾度となく乗っている路線だ。

高崎から1時間ちょっと、渋川から40分ほど乗ってくると岩島駅で、
ここからが新線区間だ。

今回の新設区間は、川原湯温泉駅をはさんだ岩島駅~長野原草津口駅間である。
正確に言うと、「八ッ場(やんば)ダム」建設に伴って線路が付け替えられた区間だ。
全くの新路線ではないので、改めて乗りなおさなくてもよいだろうという声もあろうが、
ここは大きく路線変更されているので、それも気が引ける。

長年その建設をめぐって揺れた八ッ場ダムは、一旦着工されるものの、
民主党政権時に公共事業見直しの象徴として中止となる。
自民党政権に戻ると、再び着工された。
この中止期間中も、線路と道路の移設工事は粛々と進められ、
計画通りに2014年10月1日に開業と相成ったものだ。

岩島駅を出ると、すぐに新線区間に入る。
橋梁で吾妻川を渡り、すぐにトンネルとなる。
新線区間はロングレールなのか、レールのジョイント音がしない。
長いトンネルを抜けて明かり区間に出ると、新しい川原湯温泉駅だ。

出発すると、すぐにまた長いトンネルに入る。

出ると、真新しいコンクリ―ト橋で吾妻川を再び渡り、
間もなく草津温泉の玄関、長野原草津口駅に到着する。



長野原草津口駅ホームより川原湯温泉駅方面を見る。
左にカーブしていくのが旧線、まっすぐ進んで、橋に続いているのが新線。

旧線時代は、日本で一番短い鉄道トンネルであった「樽沢トンネル」(7.2m)もあり、
渓谷沿いの路線は目にも涼しく楽しかった。
だが、トンネルの迂回新路線は、あまりにもあっけない。

そのまま乗り続ける。
終点一駅手前、「万座・鹿沢口」駅は中黒(・)の入った駅名として、
国鉄時代は唯一のものであった。

万座・鹿沢口駅までは特急を含めてそれなりの列車本数があるが、
一駅奥、終点「大前」駅までやってくる列車は一日5往復のみ。





13:23着、私もここまで来るのは20年ぶりぐらいだろうか。
集落は吾妻川の対岸にあるため、駅とその周辺はひっそりとしている。







そのまま折り返しの列車に乗って30分ほど、
川原湯温泉駅の真新しいホームに降りてみた。






南側(山側)は砂防対策からかコンクリートの壁となっていて、
北側(川側・将来のダム湖側)もホームからは視界がきかない。

2001年には、木造の旧・川原湯温泉駅に降り、
川原湯温泉の公衆浴場「王湯」に来て、
その名の通り川原に面した露天風呂の風情を楽しんだ。
何より、浴室に入るのに階段を下がっていくという建物の構造も面白かった。
斜面に建っていたのだろう。

ダムが完成すると、旧川原湯温泉駅のあった川原湯地区は水没することとなる。
そのため、既に現在、対岸である右岸の80mほど登ったところに、
駅をはじめとした市街地の移設を進めている。
王湯も移転したというが、あの涼やかさを楽しめるのだろうか。

吾妻線より再び、静岡へ向けて戻ろう。
一路線乗り終え、冷房の効いた車内で飲むビールは格別だ。
さらに、渡仏前(2007年ごろ)にはできなかった、
「湘南ライナー1号」~「ホームライナー静岡3号」という
特急型車両の乗り継ぎはありがたい。
静岡駅、21:28着。