やっパリ、メトロで。

パリ在住だったブログ主が語る、パリ・フランス、日本の交通系散歩日記。鉄分やや多め。

【車両】 RATP MF01系電車(2, 5, 9号線)

2013-06-29 | Métro 車両
メトロのMF01系電車(MF2000系とも)です。



5両編成、3扉です。前面にLEDによる行き先表示がされます。

2001年にRATP(パリ交通公団)より発注され、
納入は2008年より現在まで続きます。
製造元はアレバ社 (Areva)、アルストム社 (Alstom)、
ボンバルディア・トランスポーテーション社 (Bombardier)、
その他数社による共同製造(車内のプレートは上記3社を掲載)。

2013年6月現在、2号線はすべてこの車両、
5号線は数編成を残して旧型を置き換えており、
この置き換え完了後には、
9号線の旧型MF67系を置き換えるべく投入されます。


車内に入ってみましょう。


ドアは開閉時ともに自動です。両開きの大きなプラグドア(戸袋なし)です。
ドア前に3本に分かれたスタンションポールが立っており、
多くの人がつかまることができるようになっています。


ドア間には、4人がけのボックスと2人がけのボックスが千鳥配置になっています。
窓のサイズは、座っている人の肘の部分から立っている人の頭の高さまである大きなもので、開放的です。
JR東海の在来線ワイドビュー特急なみです。
2号線、5号線ともに高架上を走る区間がありますので、うれしいですね。




それぞれ4人がけ、2人がけボックスです。
座面や背もたれにはクッションやスプリングが入っておらず、
硬いですが、台車のサスペンションがしっかり効いていることや、
乗車時間を考えればあまり苦になりません。


ボックス背面には、補助イスがあります。


貫通路脇は2人(3人?)がけのロングシートとなっています。
背もたれが切り立っており、すわり心地はあまりよくありません。
着席人数を増やすための補助イス程度でしょうか。


最近のパリのメトロの車両は貫通路が設けられています。MF 01系も例外ではありません。
車両間で乗客が行き来できるようにして、車両ごとの混雑を均等にする役割があります。
東京メトロ6000系(更新前。千代田線~JR常磐線各停~小田急線)のような、広い貫通路になっています。

貫通路の部分にも立つことができます。


ドア上には、LED(発光ダイオード)による自動旅客案内装置が組み込まれています。
次駅または停車中の駅は点滅、これから停車する駅は常点灯となっています。
その他に、次駅到着直前に自動放送による駅名案内があります。
スピーカーはドア脇にあります。


ドアが閉まる際には、プーという電子音のブザーのほかに、
頭上の赤いランプも点滅し、注意を促します。




天井に電球色の蛍光灯が半間接照明として組み込まれ、
なめらかな曲面に造形された天井とあいまって、
やわらかくあたたかな雰囲気があります。
画面手前の冷房装置が組み込まれている部分の天井には、
スポット照明が組み込まれています。


少々、車両のテクニカルな面を。


台車は空気ばね式のもので、
やわらかい乗り心地を実現しています。
集電は第三軌条方式で、台車の中央右寄りに集電靴が見られます。
運転台付き先頭車はモーターなしの付随車、
中間車3両がモーター付き(電動車)です。
IGBT素子を用いたVVVFインバータ制御装置によって、
誘導電動機の主電動機を制御しています。
起動時のうなり音も気にならなく、大変静かな印象です。

ところで、5号線、9号線向けにまだまだ増備が続きますが、
2013年6月の新製車から、外観の塗装が変更されました。

RATPの新型路線バスにも見られる配色で、
RATPのグリーンの他、
STIF(Syndicat des Transports d'Ile-de-France:イル・ド・フランス交通組合)
のシルバーグレーを配しています。

3号線のラッピング車両 再び遭遇

2013-06-25 | 日記


また会えました。3号線を走る、スーツケースの広告ラッピング車です。
前回はこちら

この写真を撮ったとき、
3号線で毎日通っている同行者が、
初めて見た、と言っていました。
それもそのはず。
こちらのサイトによれば、
http://www.symbioz.net/index.php?id=67
3号線には48編成のMF 67系が配置されているため、
単純に考えると、出会う確率は48分の1です。


Fête de la Musique 音楽の祭典

2013-06-22 | 日記
夏至の6月21日は、フランスではFête de la Musique「音楽の祭典」の日です。
1982年以来、毎年行われています。
夕方から深夜にかけて、フランス各地の街中で、
屋内・屋外、プロ・アマ、規模の大小、ジャンルを問わずに演奏が行われます。
インターネットやフリーペーパーなどで、各都市で行われる演目を探すこともできます。

さて、毎年Fête de la Musiqueの日は、
一部の路線の一部の区間で終夜運転が行われます。
また、21日17時から翌22日7時まで、
Ile-de-France地域圏(≒パリ首都圏)の交通に3ユーロで乗り放題のスペシャルチケット、
Spécial Fête de la Musiqueも発売されます。


昨年のチケット


ブログ主も昨日、雰囲気を味わおうと、近所を散歩をしてみました。
今年は、定期券を持っているので、スペシャルチケットは購入せず。

マレ地区(Le Marais)のヴォージュ広場(Place des Vosges)周辺でも、
3件ほど屋外演奏が開かれていました。
同性愛の町らしく、ゲイ合唱団の演奏が行われていて、
聞き入ってしまいました。非常にレベルが高かったです。

22時から、ルーヴル美術館のピラミッド下でパリ管弦楽団の演奏が行われるとのこと、
もし入れたら、見てみようと思いましたが...

今までに見たことのないほどの列
(写真はこれでも先頭の方。まだまだまだまだ、この4~5倍ぐらいの列が続きます)
こりゃだめだ。

夏至の日が暮れ、暗くなってきました。
22時開演のはずですが、セキュリティーチェックが思ったように進まず、
まだ一時間は掛かるのではと思うほどです。



結局、いつ開演したのでしょうか。
列の後ろの方の人は聞くことができたのでしょうか。
ブログ主はガラスのピラミッドの外から会場を垣間見て、帰ってきました。

日が変わろうとしていましたが、今年は折りしも金曜日。
各地で重低音が響き、街に繰り出した人たちはまだ眠りません。

乗り換え駅は「ロックの」聖地!?

2013-06-22 | 日記
13号線から10号線に乗り換えようとして、13号線の電車を降りると、
同行者(日本からの旅行者)が、ここじゃないんじゃないの、と言いました。
でも、10号線に乗り換えられるので、確かにこの駅です。

乗り換え先、10号線のホームで見ると、駅名がなんか違う...



"DUROC"→"DU ROCK" !?


「ロック・イン・セーヌ」フェスティバル ("Rock in Seine") にちなんで、
「デュロック」(Duroc)駅が「ロックの」(Du rock)駅に*。
広告枠もロック・フェスティバルを盛り立てるものが入っています。



外国人観光客、迷うかも。
でも、遊び心が効いていて、思わずニヤけてしまいます。

* du は前置詞de +定冠詞le (英語のofthe )が縮約したもので、
du rockはDurocと発音が同じになります。

【車両】 RATP MF 67系電車(3号線用リニューアル車両)

2013-06-18 | Métro 車両



メトロ3号線で運行されているMF 67系です。1968~1971年に投入されました。
この系列は他にも3号線支線, 5, 9, 10, 12号線などで活躍していますが、
3号線用の大多数は徹底的なリニューアルが行われています。
リニューアル車は顔が黒いのが特徴です。


取っ手を回すと勢いよくドアが開きます。
車内に入ってみましょう。


リニューアル後は、ボックスシートと4人がけロングシートが千鳥配置になっています。
パリのメトロでは珍しい座席配置です。

 
ボックスシート背面や車端部には補助イスがあります。


スタンションポール上部に埋め込まれた青い光がよいアクセントになっています。


非冷房なので、熱いときは窓を開けます。
下段固定、上段下降式です。


ドアの鴨居部分の停車駅案内です。
これから停車していく駅にはランプが点灯し、
次駅もしくは停車中の駅は点滅で示されます。
また、次駅名や足元注意などの自動放送案内も行われます。
このような自動旅客案内
(ASVA : Annonces sonores et visuelles automatiques)が備えられているのも、
リニューアル車の大きな特徴の一つです。

取っ手を回して、降ります。



ドアは半自動式(開けるときは手動、閉めるときは自動)の両開きです。

窓ガラスが車体外板よりも一段奥まっているのがわかります。
手前は戸袋になっているのです。
乗車中、決して窓から手や顔を出さないように!勢いよく開いたドアにぶつかります。


空気ばね台車ですが、古めかしく乗り心地やや固め。


5両編成、一両あたり4ドアです。




【駅】Perreire - Levallois駅(RER C線)石積みアーチが地下に!?

2013-06-17 | Métro 駅
 
RER C線のPontoise方面支線(C1線)にあるペレール・ルヴァロワ駅 (Perreire - Levallois)のホームです。
壁はアーチを描く古めかしい石積み、
それに対し、天井や柱は近代的で、不思議な雰囲気です。

このC1線のパリ市内区間(Avenue du Président Kennedy駅(16区)~Porte de Clichy駅(17区)間)は、
1988年の開業ですが、
路線自体は元を辿ると大変古いものであることがわかります。

以前にプティット・サンチュール線 (Petite Ceinture「小さいベルト=小環状線」)という、
パリ市外縁をベルトのように取り囲む環状鉄道路線がありました。
1852年~1869年の間に建設され、乗合馬車や路面電車、バスとともに、
パリの交通網の一部として旅客に利用されましたが、
メトロ(地下鉄)の発達によって1934年には貨物線化、
1990年代には路線の役割を終えました。
この西~北西側の一部区間がRER C線の線路として再利用されているものです。

プティット・サンチュール線のうちの一部は掘割で建設され、
線路は地上より下を走っていましたが(凹の下の部分に線路があった)。
石積みの壁はこの時代のものです。
この区間のRERへの改装工事に際し、
天井に蓋をするような形で、線路の地下化が行われました。
C1線に乗っていると、地下鉄のようになっているのはこのためです。
蓋の上の空間は現在、緑地帯や駐車場、自転車専用道などとして使われています。

そのため、このホームから見ると、天井は近代的、壁は古めかしいものとなっています。

この古い路線を、さまざまな形、さまざまな行き先のオール2階建て電車が行きかいます。

Z 20900系電車

プティット・サンチュール線の現在については、
今後、このブログでも取り上げていこうと思っています。

ところで、プティット(小)・サンチュールがあるからには、
グランド(大)・サンチュールも存在しました。
これについても、また今度。

【バス】次世代のバス停 - Osmose

2013-06-06 | Bus


RATPのサイトや新聞報道などに、
次代のバス停のモデルケースがこのたび実現した、とありましたので、
http://www.ratp.fr/fr/ratp/r_65980/osmose-quelle-station-de-bus-pour-demain-/
家から近かったので見に行ってみました。
Gare de Lyon - Diderot停留所がそれです。
Osmoseという研究プロジェクトの一環のようです。(osmose : 「浸透」の意)

  
床が板張りになっていたり、張り出した屋根など、
カフェのテラスのようです。



  
サインシステムも統一されていて、見やすくなっています。
将来的には券売機が取り付けられて、
メトロの駅まで降りなくても、
バス乗車前にチケットを買うことができるようになるようです。


このバス停は、
SNCFのパリ・リヨン駅の正面を通っているディドロ通り (Boulevard Diderot)に位置し、
リヨン駅利用者を中心に多くの利用者が見込まれる場所にあります。

【メトロでフランス語】 strapontin 「補助イス」

2013-06-04 | メトロでフランス語
strapontin (名・男)(跳ね上げ式の)補助イス

 

フランスのあらゆる旅客鉄道車両の、出入口付近に跳ね上げ式の補助イスが設けられています(トラム等は除く)。
この「補助イス」(劇場や観光バスについているものなども含め)、フランス語では"strapontin"といいます。


En cas d'affluence, ne pas utiliser les strapontins.
「混雑時には補助イスを使用しないでください」

このような形の補助イスのことを英語では"jump seat"とそれそのもので、わかりやすいのに対し、
フランス語では他の語との関連がいまいちはっきりしない語だと思っていましたが、
Wikipediaで調べてみると(以下引用、下線と注はブログ主)、

Le strapontin, dans sa forme moderne, fût inventé dans la deuxième partie du XIXème siècle par Bernard Strapontin, ingénieur des ponts et chaussées et maire de Belay(原文ママ)

訳(ブログ主):現在の形をした strapontin は、土木技師およびブレイ市(Ain県Bellay「ベレイ」の誤りか?)市長であった、
ベルナール・ストラポンタンによって19世紀後半に発明されたものである

とのことで、発明者の名前のようです。
イタリア語でも"strapuntino"と言うそうで、フランス語から入ったと思われます。

他にも、二次的な地位(重要ではない人物)のことも strapontin というそうです。
あくまで補助、ということですね。

ちなみに、日本のJRでは、思いつくままに挙げると、
JR北海道731系やキハ201系、JR東日本E1系(下写真)、E4系新幹線Max、
JR西日本の新快速223系・225系、JR四国5000系、1500形、JR九州817系など、
採用例は意外に少ないと思われます(車椅子対応席を除く)。

 
私鉄は…すみません、あまり知らないのです。
名鉄や京阪、阪急なんかにありましたっけ。

RATPとJR東日本の相互協力

2013-06-03 | Métro いろいろ
国際公共交通連合(Union internationale des transports publiques : UITP)の総会が開かれたスイスのジュネーブで、
去る5月27日に、パリ交通公団 (Régie autonomie des transports parisiens : RATP)と、
東日本旅客鉄道(JR東日本)が、鉄道の運営、システムなどでの相互協力を行うとの覚書を交わしたとのことです。

JR東日本側のプレスリリース(PDF)
http://www.jreast.co.jp/press/2013/20130515.pdf
RATP側のプレスリリース(PDF, フランス語)
http://www.ratp.fr/fr/upload/docs/application/pdf/2013-05/cp-accord-de-cooperation-groupe-ratp-jr-eastfr.pdf


RATPは、パリ周辺のメトロ、RER、バス、トラムといった都市内輸送を中心に、
グループ会社を通じて現在世界十あまりの都市で都市内公共交通の運営に携わっています。


一方のJR東日本ですが、都市内、都市間、高速鉄道と様々なタイプの67線区の鉄道を運行しており、
日本はもちろん、世界最大の鉄道事業者でもあります。

この交流は、信号システムや輸送管理などといった技術の発展にまずは寄与するものと思われますが、
一利用者としては(趣味的に)想像も膨らみます。
両者の駅や路線図、サインシステムなどのデザインに影響を及ぼしあったり
先日のログに挙げたような翻訳も解消しやすくなります)、
ウルトラCとして、パリのメトロ駅に発車音楽が流れたり、
または、音が氾濫している東京の駅がパリのように控えめになったり。

フランス語に携わり、日本とフランスの鉄道を趣味とする者としては、大変楽しみなニュースでした。