何となく奈伽塚ミント・純情派

不覚にも連続更新ストップ。
少々夏バテ気味だったし
定期更新に切り替えかも?

そんなこんなで奈伽塚ミント

雪恋

2005-02-03 22:43:00 | 雑文
   0・A   ”2005年7月”

 彼女が僕の元を去ってから,半年余りが過ぎ去ろうとしていた。
 気がつけば冬は終わりを告げていて。年も明けて,だらだらと過ごしているうちに季節は夏になっていた。
 思えば彼女と出会ったのも夏だったように記憶している。普段は曖昧な僕の記憶だけれど,はっきりとそれは覚えていた。
 それほどに,あの出会いは印象的だった。本当はそんなありふれた言葉にしてしまいたくはないほどに,僕の中ではあの出会いは綺麗な思い出として残っている。
 彼女は,今,どこで,何をしているのだろう。
 僕はこうして夏の暑い空気に包まれながら,窓辺で空を――抜けるように青い空を見上げている。あの日の記憶を確かめるように。
 彼女は僕のことを覚えているだろうか。
 僕は半年が過ぎた今でも,忘れられないでいる。こんなにも彼女を想っている……。

 気がつけば,午睡の中に落ちていた。熱気のせいか体からは汗が噴き出し始める。
 そんなごくごく普通の夏の午後。突然,夏とは思えない――まるで冬から抜け出してきたかのような,一陣の冷たい風が吹いた。
 それに気づいて僕は慌てて目を覚ます。
 夏にこんな風が吹くはずはない。だけれど僕は,この風を知っている。そう,それは既視感(デジャビュ)。
 彼女と過ごしていたときは,いつもこんな風が吹いていた気がする。
 僕はそれを認識して,そして――。 <続>