「ペンは剣よりも、そして○○はペンよりも強し」

2011-12-12 00:57:50 | 日記
「ペンは剣よりも強し。」という格言があります。ペンとは言論や思想、剣とは実力行使できる権力のことをさします。そのため、一般には、主に言論の自由を主張するスローガンとして使われます。が、このような用法は、実のところ、根本的に間違っているというのをご存知でしたか?

そもそも、「ペンは剣よりも強し。」という格言の出典は、エドワード・ブルワー・リットンによる戯曲「枢機卿リシュリュー」におけるリシュリュー首相の台詞です。原典を日本語に訳すと、以下のようになります。

「もっとも偉大な人物の統治のもとでは、ペンは剣よりも強いのだよ。」

最も偉大な人物というのは、リシュリュー首相自身のことで、ペンというのは首相が公文書にサインすることを表します。この公文書には、死刑執行命令も含まれ、実際にリシュリュー首相は独裁者として敵対する人物を次々に抹殺していく人物という設定がなされています。この点を念頭において上記の台詞を解釈すると、

「私はペンひとつでお前達の命を奪うこともできるのだ。覚悟したまえ!」

という意味になります。私達がこの格言の用法として慣れ親しんでいるものとは真逆の、むしろ権力サイドの人物による脅し文句というわけです。よしんば言論の自由といっても、それは「言論活動に何の干渉も受けない特権」といえそうです。

我が国の報道機関においてもこの姿勢が目立ちます。すなわち、社会への影響、政治が、国家がどうなっていくものか、報道機関として伝えなければいけないものは何だろうか、こういう観点が、すべてとはいわないまでも、かなりの割合で欠落した、自己満足(実際には広告主がいるので、彼らの利益にはなっているものと思われますが)の情報発信に終始しているということです。少なくとも、私達ビジネスパーソンの情報発信は、このようであってはならない。皆さんに「他山の石」となりうる事例をご提供すると同時に、私自身への戒めともしておきたいと思います。

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