(※『蛇遣い座の恋愛課外授業』ネタバレ)
7月○×日
久しぶりに日本に帰ってきた。去年の夏以来だから、一年ぶり。
成田空港にはお姉ちゃんとナオトさんが来てくれた。
ナオトさんというのはお姉ちゃんより8歳年上の、お姉ちゃんの恋人だ。ぼくよりも背が高くて、男のぼくから見てもハンサムな人だ。でもお姉ちゃん曰く、星占いフリークらしい。
人間、一つくらい欠点を持ってるもんだと思う。
久しぶりに会ったおばあちゃんは、相変わらずひょうきんだった。
8月○◎日
ナオトさんがしばらく学校に泊まり込むというので、お姉ちゃんに夜食を持って行かされた。
そしたらナオトさんに犯人に間違えられた。ちょっと痛かった。
……宿直室で話をしていたら本当に火事が起きて、ナオトさんとぼくと警備員さんとで消火した。滅多にない体験だ。
咄嗟に判断の出来るナオトさんはすごい。伊達にお姉ちゃんと<タンテイ>してるわけじゃないみたい。
それにしても、T校は本当に事件の多い学校だ……。
8月△◇日
小学校時代の友達の近藤が誰かに襲われた。
何かで殴られただけで命に別状はなかったから、それはよかったけど。
話を聞いてみたら、どうやら近藤は犯人が誰だかわかっているらしい。なのに近藤はそいつを庇おうとしてる。ばかだ。いくら好きな女だからって、そんな女やめちゃえばいいのに。そんな女、好きでいたってムダだ。
……思わずそう言ったら、怒ったナオトさんがぼくをぶった。
ばかだ。近藤も、ぼくも……。
8月☆□日
ナオトさんのピンチを救った。我ながらちょっとかっこいい。といっても、ほとんど何もしてないけど……。
犯人は近藤の好きな女じゃなかったし、事件も解決したし、ナオトさんと仲直りできたし、よかった。
受験で仲間外れにされていたお姉ちゃんが、「周一郎ちゃんずるい」って言ってナオトさんに甘えていた……。
・
・
・
8月××日
父さんと釣りに行ってきた。
釣りっていうのは、結構暇な作業だ。魚がかかったら、そうでもないけど。かかるまでは、暇だ。
それで今日はずっと、魚がかかるのを待つ間、僕はナオトさんがどうでお姉ちゃんがああだったのか、っていうのを、延々喋らされた。
…やっぱり、男親っていうのは、フクザツなんだろうか…と思った。
ぼくとしては、あのとろいお姉ちゃんをもらってくれる、っていうナオトさんに是非がんばって欲しいって思ってる。だから、とりあえずたくさんナオトさんのことを褒めておいた。
……将来ナオトさんが父さんと会って、どういった印象を与えるか、っていうのは、ぼくの責任じゃないしね。
7月○×日
久しぶりに日本に帰ってきた。去年の夏以来だから、一年ぶり。
成田空港にはお姉ちゃんとナオトさんが来てくれた。
ナオトさんというのはお姉ちゃんより8歳年上の、お姉ちゃんの恋人だ。ぼくよりも背が高くて、男のぼくから見てもハンサムな人だ。でもお姉ちゃん曰く、星占いフリークらしい。
人間、一つくらい欠点を持ってるもんだと思う。
久しぶりに会ったおばあちゃんは、相変わらずひょうきんだった。
8月○◎日
ナオトさんがしばらく学校に泊まり込むというので、お姉ちゃんに夜食を持って行かされた。
そしたらナオトさんに犯人に間違えられた。ちょっと痛かった。
……宿直室で話をしていたら本当に火事が起きて、ナオトさんとぼくと警備員さんとで消火した。滅多にない体験だ。
咄嗟に判断の出来るナオトさんはすごい。伊達にお姉ちゃんと<タンテイ>してるわけじゃないみたい。
それにしても、T校は本当に事件の多い学校だ……。
8月△◇日
小学校時代の友達の近藤が誰かに襲われた。
何かで殴られただけで命に別状はなかったから、それはよかったけど。
話を聞いてみたら、どうやら近藤は犯人が誰だかわかっているらしい。なのに近藤はそいつを庇おうとしてる。ばかだ。いくら好きな女だからって、そんな女やめちゃえばいいのに。そんな女、好きでいたってムダだ。
……思わずそう言ったら、怒ったナオトさんがぼくをぶった。
ばかだ。近藤も、ぼくも……。
8月☆□日
ナオトさんのピンチを救った。我ながらちょっとかっこいい。といっても、ほとんど何もしてないけど……。
犯人は近藤の好きな女じゃなかったし、事件も解決したし、ナオトさんと仲直りできたし、よかった。
受験で仲間外れにされていたお姉ちゃんが、「周一郎ちゃんずるい」って言ってナオトさんに甘えていた……。
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8月××日
父さんと釣りに行ってきた。
釣りっていうのは、結構暇な作業だ。魚がかかったら、そうでもないけど。かかるまでは、暇だ。
それで今日はずっと、魚がかかるのを待つ間、僕はナオトさんがどうでお姉ちゃんがああだったのか、っていうのを、延々喋らされた。
…やっぱり、男親っていうのは、フクザツなんだろうか…と思った。
ぼくとしては、あのとろいお姉ちゃんをもらってくれる、っていうナオトさんに是非がんばって欲しいって思ってる。だから、とりあえずたくさんナオトさんのことを褒めておいた。
……将来ナオトさんが父さんと会って、どういった印象を与えるか、っていうのは、ぼくの責任じゃないしね。
大野周一郎@星座シリーズ/日向章一郎