「梅雨」草と間違われがちな「露」草さんですが、
間違いの元となる梅雨の時期から夏の間にかけて良く見かけますよね。
ウチにとっては雑草でしかないので、見つけては抜いていましたが、
最近、雨が多く庭に出ていなかったら、露草さんが咲いていました。
もう11月なんですけど・・・。
今まで気にもしていませんでしたが、
露草(ツユクサ)という花は、万葉集では「月草」として9首詠まれているそうです。
月草のうつろひやすく思へかも我が思ふ人の言も告げ来ぬ(巻4ー583
月草に衣ぞ染むる君がため斑の衣摺らむと思ひて(巻7ー1255)
月草に衣色どり摺らめどもうつろふ色と言ふが苦しさ(巻7ー1339)
月草に衣は摺らむ朝露に濡れての後はうつろひぬとも(巻7ー1351)
朝露に咲きすさびたる月草の日くたつなへに消ぬべく思ほゆ(巻10ー2281)
朝咲き夕は消ぬる月草の消ぬべき恋も我れはするかも(巻10ー2291)
月草の借れる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ(巻11ー2756)
うちひさす宮にはあれど月草のうつろふ心我が思はなくに(巻12ー3058)
百に千に人は言ふとも月草のうつろふ心我れ持ためやも(巻12ー3059)
万葉集以外では、
「亭子院歌合」 作者未詳
夕されば山のはにいづる月草のうつし心は君にそめてき
「古今集」 よみ人しらず
いで人はことのみぞよき月草のうつし心は色ことにして
「能因集」 (東国風俗) *能因
月草に衣はそめよ都人いもを恋ひつついやかへるがに
「散木奇歌集」 源俊頼
いかばかりあだにちるらん秋風のはげしき野べのつゆ草の花
「新古今集」 永縁
秋萩を折らではすぎじつき草の花ずり衣つゆにぬるとも
「拾遺愚草」 (恋) 藤原定家
袖の浦かりにやどりし月草のぬれてののちを猶やたのまん
「明日香井集」 (後朝) *飛鳥井雅経
おもかげはなほあり明の月草にぬれてうつろふ袖の朝つゆ
「亮々遺稿」 (夏草) *木下幸文
賤の男が刈りつかねたる夏ぐさの中にまじれる月草の花
「病中雑咏」 長塚節
つゆ草の花を思へばうなかぶし我には見えし其の人おもほゆ
「冬日ざし」 窪田空穂
露草のかそけき花に寄りてゆく心の行方ひとり喜ぶ
調べて出てきたものを書き出してみました。
歌の意味は分からないけど、
万葉の時代から歌人たちに愛され続けてきた花なんですね。
花言葉なんて今さら無意味な気もしますが、
露草(ツユクサ)の花言葉:「尊敬」「小夜曲」「なつかしい関係」
「変わらぬ思い」「豊潤」「恋の心変わり」