酔いどれコンサル 中小企業診断士・中原央のブログ

舌癌と心筋梗塞を経験した日本酒大好きな経営コンサルタント 横浜の中小企業診断士 中原央が徒然につづります。

舌癌の治療5・抗がん剤、放射線の副作用

2008-05-01 06:33:29 | 舌がん治療
横浜の中小企業診断士 中原央です。


昨日は汗ばむほど暖かでした。
今日も朝から晴れ間が顔を出し、1日いいお天気となる兆しです。


今日は副作用についてお伝えします。
副作用の出現、薬への感受性などは個人差があります。ここでは「中原の場合は」という言葉が隠れているものとしてお読みください。

さて正直なところ副作用には苦しめられました。「治るんだから」という気持ちを切らさずにいることが、頑張りにつながったと思っています。

しかし、この治療はつらい。ドクターもナースも、つらいということは知っている。でもつらい。

とにかく口内炎がひどくなります。他の場所での抗がん剤投与でも口内炎はよく起きると聞くことがありますが、舌癌は抗がん剤を口の中に直接投与するわけですから、症状の起きかたが半端じゃない。

しかも放射線もその部位への照射するわけで、この影響による口内炎も発生するという、ダブルパンチに見舞われるわけです。

最初の1週間はほとんど影響が出ません。2週目に入って半ばごろから症状が顕著になってきます。

最もその前から患部には強い痛みがあるわけですから、食事がまともに出来ないと思ってください。

三食を配膳担当が持ってきてくれるものの、オーバーテーブルに置かれていっても出るのはため息が先。

最初の頃、元気なうちは20分ぐらいで完食していましたが、2週間たつごろから40分ほどかけても完食が出来ない。とにかく食事がつらいです。

向かいの年配の方も麺類なら食えるが一般食は食えないと嘆いていました。ひたすら同感。

とにかく口の中が痛い。口内炎の痛みで、がん性の痛みなんてどっかに吹っ飛んでいるといった印象です。

喉も放射線で焼かれて痛く、嚥下障害を起こします。
食事時間になる少し前に、キシロカインビスカスを口の中に含みますが、気休め程度。

そのうちに食べるのがイヤになりますから、病棟のドクターには「食いたいときに食えるものを食いたいだけ食って、栄養を蓄積しておいてくれ」といわれました。
冬眠前のクマじゃないんだからと思いましたが、栄養障害を起こすと、予後が悪いそうです。

ほかに病気がないのなら、治療開始前にしっかり食っておく。教訓です。

それとよその方のホームページでは、放射線治療や抗がん剤をやめて1週間ぐらいで口内炎が収まったという掲載をしているところもあります。

しかしそれ自体エビデンスはないはずです。「1週間ぐらいで収まることもあるが、長引いてずっと苦しむこともある」という受け止め方が必要でしょう。

私の場合は治療終了後1年5ヶ月もたつのに、舌瘢痕への歯の接触痛、頬側粘膜の口内炎はいまだに残っており、1日使った口内の痛みを消すために、寝る前にキシロカインビスカスで落ち着けさせるということを時折やっています。

また入院中はしゃべるのもいやになり、スタッフや女房との会話も筆談で対応したことも何回かありました。


キシロカインビスカス・一時でも口の中の痛みが治まる



私の場合、薬による嘔吐感はありませんでした。内服の抗がん剤を使ったときも、制吐剤はまったく不要でした。
むしろ、放射線の照射によって喉の粘膜が焼かれ、その部分からかなりの量の痰が分泌されるようになります。

起きている間はそれこそ1分おきぐらいにティッシュに吐き出します。これがつらいという人も中にはいました。

早いとティッシュは2日で1箱使ってしまいます(もっと早いかな?)。
嘔吐は、例えば1時間ぐらい寝ていると、その間に分泌された痰は口から排出するわけではないので、自然に胃の中にたまっていきます。目が覚めたとき、このたまった痰で気持ち悪くなり嘔吐するということが何回かありました。

放射線による宿酔いを起こす人もいるようです。

髪の毛は抜けません。ピンポイントで薬を入れているため、薬剤の量が少なくても、顕著な効果があるようで、毛髪が抜けるほどの量の抗がん剤を使う必要がないとの説明でした。

カテーテルを頭皮に縫い付けるため、髪の毛は短くされます。やり方が甘いと手術室で、バリカンで髪を刈られます。

また放射線による日焼けを起こします。放射線の終了から15ヶ月ほどたっていますが、薄くなったとはいえ、いまだに首に日焼け跡が残っています。

一番顕著になったのは白血球の減少。私はもともと少ないほうで、他の外来での検査や健康診断などでも標準下限値を下回ることが何度もありました。

白血球数が2000の前半にまで落ちたときには刺激する薬としてアンサーを使い、一時的に白血球数を増やします。

2月は体調が戻りつつあったものの、白血球数がなかなか回復せず、退院が大幅に伸びました。白血球数が下がる、薬で刺激して白血球数を増やす、3~4日するとまた大幅に下がる、薬を使って増やす、ということを繰り返しました。

最低で1100まで下がり、1000を切ったら無菌室、といわれていました。

実際には白血球の成分である好中球の割合が50%を超え、500以上を維持していればよいとのことでした。
(例えば白血球数980でも、好中球55%ならば539 なのでセーフ)

問題はないと思うが骨髄性の病気が隠れている可能性もあるということで、骨髄の検査を進められましたが、おおむね1週間のパターンが読めてきたので、外来への切り替えを提案。血液内科のドクターも受け入れてくれ、ようやく退院のめどが立ちました。

全般的なことでいうと、体力はかなり消耗しました。動かない(動けない)ことと、栄養補給がままならないことが一番の要因だと思います。

そのおかげで体重は13キロも落ちました。余分な脂肪も消費したのですが、決定的な点は筋力が落ちたこと。足などしわしわのご老人というような状態になってしまいました。

栄養補給がままならないと予後が悪いというドクターの言葉にもうなずけます。

さて最後に、よく「病気との闘い」という表現をすることがありますが、私自身はこのがん治療、薬と放射線の副作用との闘いだったという印象を持っています。

いわゆる疼痛、がん性の痛みというのは病変そのものが発する作用なので、これに耐えるということはまさに「闘い」と表現できるものと思います。

また、ほかの病気でも、その病気特有の症状が出て非常につらい想いをすることもある。まさに症状とどうやって折り合いをつけられるようにするのか、まさに病気との闘いという表現がふさわしいでしょう。

しかし今回の治療では、薬との闘い、放射線との闘い、そして副作用との闘いという印象を持ちました。

今回文字だらけの駄文で、はなはだ申し訳なく思っていますが、最後までお読みいただいたことに感謝いたします。

モルヒネの副作用については、モルヒネと癌性疼痛のところで触れます。


記事一覧

舌癌の治療0・きっかけ
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/c5e17fbe1ee786fc0fadcfbbf22d0d0e

舌癌の治療1・異変から告知まで
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/efd242b5df4ea30e53fc6066633a0601

舌癌の治療2・治療方針の検討から入院まで
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/55432e45744fddeceaead290657d0c88

舌癌の治療3・どんな治療法か、入院からカテーテル設置まで
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/a42105dec7d382db15e59588b4af03a5

舌癌の治療4・抗がん剤、放射線治療の開始
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/0291a1d0a2194c9c5811d5c0fb7cf6f5

舌癌の治療5・抗がん剤、放射線の副作用
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/5db8bf27138ee0c482b83bc1c048bd2e

舌癌の治療6・モルヒネとがん性疼痛
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/6d61ad384fd8ce44fc1dddbfa2a40c0e

舌癌の治療7・栄養の補給
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/a3114839075c8dcb88c6c50d1e3b6a22

舌癌の治療8・治療を終えての感想
http://blog.goo.ne.jp/miketama581024/e/b1ac42ba895c04e301024820388a7719




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