★ベルの徒然なるままに★

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『インシテミル』米澤穂信

2010年10月19日 | 徒然なる日常
先日から読んでいた、米澤穂信さん著の『インシテミル』、昨夜読み終えました~っ。


この小説は、現在公開中で、藤原竜也さん、綾瀬はるかさん、石原さとみさん出演の映画『インシテミル』の原作版。

私は、米澤穂信さんといえば、デビュー作シリーズの、『古典部シリーズ』しか読んだことなかったのですよね。
『古典部シリーズ』というのは、高校を舞台に、謎の部活「古典部」に入部した主人公と、その個性的な友達が、学校の中で起こる、日常の謎を推理するお話でして。
小説のジャンル的にはミステリなのでしょうが、殺人とか、そういう殺伐としたことは起こらないのですよね。

なので、私は、この人の著作で、殺人などの起こる本格的なミステリを読むのは、『インシテミル』が初めてだった・・・という訳です。

因みに、この人の著作、ウチに、多分、殆ど揃っています。

というのも。
最初、私が古典部シリーズだけを集めていたのですが。

先日、オットに古典部シリーズを貸したところ、えらく気に入った様子で。
米澤さんの著作を、オットがどんどん集め始めて、読破し出したのですよね(^^;

私は、本はゆっくり読む派なのですが、オットは、ビックリするくらい速読派で。
結構、厚さのある『インシテミル』も2時間くらいで読み終わってたし・・・・・・。
次から次へと読んでいっては、次を購入していました。
まあ、この方の著作自体、まだ、そんなに出ていないので、すぐに集まっちゃったのでしょうが。

でも、もっと、ゆっくり読もうよ~。勿体ないじゃん。
うん。
私も学生の頃は、かなり速読派だったんだけど。最近は、ゆっくり読むように努めています。だって、その方が味わい出るし、勿体なくないじゃん。


で。

話を戻して、『インシテミル』。

主人公の大学生・結城(←名前がちょっと気になる・笑)が、バイト情報誌で見付けた、時給11万2000円のモニターのバイト。
どうせ、雑誌の誤植か何かだろうと思いつつも、もし、本当ならラッキーと、軽い気持ちで応募したところ、選考に通ってしまって。

1週間のモニターのバイトに行くことになります。

バイトの内容とは、ある人文科学の実験の被験者になること。

世間から隔離されたような田舎に建てられた「暗鬼館」という洋館で1週間を過ごす。
時給は11万2000円。24時間分。1週間。
・・・・・・それだけでも、もの凄い額になりますよね。
でも、場合に寄っては、さらに、それにボーナスだの手当だのがつくとか。

こんなご時世に、お、美味しすぎるバイトです。

とはいえ、こんなに美味しい話が、簡単にある訳はなく。

その実験というのは、想像を絶するものだったのですよね。

モニターの為に集められた12人の被験者(映画では10人になっているらしいです)。
手荷物などのチェックを受け、必要最低限の着替えと女性なら化粧品を持ち込んで、暗鬼館へ。

そこで1週間を過ごすわけで。
高級ホテルのように豪華な部屋ですが、なぜか、それぞれの個室に鍵は無い。
そして、夜になったら、絶対に部屋から出ては行けないというルール。
「実験」のため、被験者は、常に監視されている。
ルールを破った者にはペナルティ。

そして。
そんな閉ざされた空間で彼らに科された課題とは。

「人を殺すこと」

もちろん、この暗鬼館で起こった一切の犯罪については、実験後も罪に問われることはない。
しかも、人を殺せば、ボーナスが出る。
そして、各々には、種類の違った武器が1つだけ提供されます。

がしかし。
別に、殺人を犯さず、ここで、一週間のんびり暮らしたとしても、バイト代はちゃんと貰えるわけなのですよ。

なので、最初に、彼ら12人は、
「そんなバカらしい実験に付き合うことはない。殺人を犯さなくったって、ここで1週間過ごしただけでも破格のお金が貰えるわけだから、それでいいじゃないか」
と全員で協定を結びます。

それなのに。

翌朝、参加者の一人の死体が。

12人で仲良くやって、それぞれがバイト代を貰おうという協定を早速破った者が居る。
それは誰なのか?

参加者の中で、疑心暗鬼が生まれ。互いに信頼出来なくなり。

それが、第二、第三の殺人を引き起こす・・・。

という、ミステリーで言うところの、クローズドサークル(アガサ・クリスティ著の『そして誰もいなくなった』系の話)といて物語が進みます。


で。
現在、映画公開中ですし、私も、近々、映画版も見たいですし。

ネタバレは無しで、サラっと感想を。

本格ミステリのクローズドサークル物としては、少し、イマイチな感じがあって。
スッキリとした終わり方ではなかったかと思います。

とはいえ、この「暗鬼館」の設定、設備は、物凄く怖いです。

世間から完全隔離された施設に閉じこめられ。そこで1週間を過ごさなくてはいけない。
その中に殺人者も居る。
それなのに、個室に鍵がかからないし。
かといって、「ルール」があるので、それを破って、全員がひとかたまりで過ごすことも出来ない。

かなり、極限状態に追い込まれる感じです。
そんな極限状態の心理が、詳しく描かれていて。

とにかく、読んでて怖かったことこの上ない。

特に、物語の佳境辺りを読んでいたときは・・・・・ずっと、夢に小説の内容が出てきてましたもの(^^;

うん。
眠りながら、ぼんやり覚醒した頭で、
「うううう、鍵が閉まらないのに、誰か、殺人者が廊下を徘徊してるよぉ~」
とか思ってたもの(笑)

そういう心理描写は、凄かったと思います。

犯人も、順序立てて考えれば、ちゃんと推理出来ると思います。

そういう意味では、とても面白かったのですが。

なんというか、ラストがスッキリしないのですよね。

でも、これは、この著者の作風かな?
古典部シリーズも、いつも、スッキリとは終わらない雰囲気だし。

この人の作品の特徴として、「その場に居ない人の『想い』を推理する」っていうのがあるのですよね。
古典部シリーズもそうだったのですが、この『インシテミル』も、本格推理は本格推理なんだけど、そこには、単に殺害方法などだけではなく、心理を推理するっていうのもあって。

なので、どことなく、スッキリしないような、切ないような終わり方になっちゃうような気が。


でもでも。
この極限的な心理、暗鬼館の設備などは、映像化される方が、更に怖いし面白いと思います。
映画が楽しみ~。

今週中か週末には行きたいところです。

で。
この物語、2人のヒロインが出てくるのですよね。

有り得ないほどの世間知らずのお嬢様、須和名祥子と、中性的な美女で、周りに心を許さない関水美夜。
2人とも、とても頭が良い女性で、閉じこめられた12人の中でも、重要な存在になっていきます。
どちらも、な~んか、胡散臭くて怖い。

映画では、お嬢様を綾瀬はるかさん。
中性的で気の強い女性を石原さとみさん。

すごく雰囲気あってそう~~~~~(^^)

映画がホント、楽しみです!

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