今日は、先週見て来た、映画『脳男』の感想をば♪
都内近郊で起きていた連続爆破事件。
ある日、ヒロインの精神科医・鷲谷真梨子が乗り遅れたバスが突然爆発します。
それも、一連の事件と同一犯の犯行と思われ、犯行には人間爆弾が使われていました。
刑事の茶屋は遺留品から犯人のアジトを見つけ出し、そこにいた若い男を逮捕。
男は「鈴木一郎」と名乗るが、肝心な事は何も話さないまま・・・・。
「鈴木一郎」を犯人と疑わない茶屋刑事。
彼は、精神科医の真梨子に、「鈴木一郎」の精神鑑定を依頼します。
そして、精神鑑定を進めていくうちに、真梨子たち医師は、不可解な違和感を「鈴木一郎」に抱き始めるのでした。
つまり、「彼には生まれつき感情がないのではないか」と。
こうして、真梨子たちは、独自の調査で入手した情報により、「鈴木一郎」の過去を知る者と接触。
そこで彼女たちが知りえた驚くべき過去の事実。
その一方で、連続爆破犯は、真梨子の勤める病院を次なるターゲットにし・・・。
・・・っていうか、予告編載せようかとも思ったのですが・・・ちょっと私の苦手な怖いシーンから始まる映像なので(^^;;
やめておきました(>_<)
さてさて。
ダークヒーローとか、ピカレスクロマンが好きなので、見に行きました。原作小説は未読です。
でも、乱歩賞受賞作とのことで、ミステリ好きとしては気になっています。
で。
確か、映画の予告だったか何かで、「ラストは予想外」・・みたいなキャッチコピーを見ましたが・・・う~ん、私は、ストーリーや物語の展開は、見ていて予測は付いた感じです。
物語としては・・・ダークというより、かなりショッキングな内容です。
っていうか、残虐シーンが多彩過ぎて、もう(>_<)
冒頭から、あんなの、こんなのがあって・・・最初は、
「私、この映画、2時間見ることが出来るの!!??」
と不安になりましたです(笑)
いや、PG12ということで、少し安心してたのですが・・・。
ホント、わたし的には、R15の『悪の教典』よりエグいと思いましたですよ。
うんうん、わたし的には、この作品もPG12より寧ろR15だろうと思ったです。
シーン的にも、内容的にも、いろいろな意味で・・・(^^;;
怖いお話です。
とはいえ、面白かったですよ。
なんか色々と考えさせられたことも多かったです。
「悪」とは何なのか。
「悪」は誰が裁けばいいんだろうか。
とか。
そんなことをグルグル考えながら見ていました。
もちろん、人が罪を犯した場合、正当な裁きの場としては「裁判」なのでしょう。
とはいえ、裁判も人間が行うものであり、間違いだってある。冤罪だってあるかもしれない・・・。
それに、罪を犯しても、捕まらずに逃げ延びる輩だっている。
はたまた、裁判で裁かれ、一度は罪を償った後も、社会復帰してから、また、罪を繰り返す人もいる。
そんな色々な「悪」。「悪人」。
被害者やその家族からしたら、そりゃもう、犯人に対しては「殺してやりたい」って思うことと思います。
人間として、当然の感情ですよね。
でも、犯人を殺したって、被害者は帰ってこない。ただの報復行為・・・それでも、殺してやりたいって思うものですよね。
主人公の「脳男」こと鈴木一郎は、生まれつき、天才的なほどの特殊能力を持っています。
そして、逆に、人間として誰もが持つべき感情を生まれ持たなかった人間。
人から教えられないと、食べることも、排泄をすることも出来なかった子供時代。
まるで、ロボットの様な存在。
それゆえに、幼いころから特殊な教育を受けてしまい、何の感情も持たずに機械的に、世の中の悪人を自ら裁いていく・・・美しき殺戮者なんです。
そして、この物語の他の登場人物たちも、そんな彼を中心に、いろいろと対比を成していたように思えました。
脳男同様、天才的な頭脳を持って生まれたがために、殺人をゲームのように楽しむ緑川紀子。
一方、ヒロインの真梨子は、犯人側の精神に寄り添って、「治療」をし、彼らが生きることで償いをし、犯人も、被害者も救おうと考えている精神科医。
また、ただただ悪を憎み、犯人=悪=徹底的に裁け・・・という考えの、茶屋刑事。
登場人物は、それぞれ個性的だったと思います。
ただ、どのキャラクターも、少し極端過ぎて、なかなか共感しにくい面はあったと思いますが・・そんな中でも、ちょっと行き過ぎた感はあるけど、茶屋刑事なんかは、一番、一般的な考え方(私たちの感覚に近い)をしているのではないかなぁと思いました。
でも。
普通の感覚で考えると、モンスターに見える脳男や緑川紀子。
だけど、ごくごく普通の私たちでも、もしかしたら、何かのきっかけで、モンスターに為り得るのではないかな・・・とも思えて怖かったのですよね。
っていうのも、たぶん、一番、一般的な人に見えた茶屋刑事(行き過ぎた感は否めないながらも)も、部下を殺されたことで、物凄い感情的になっていましたものね・・・。
ラスト、おそらくはもう死んでいるであろう緑川の体に、何度も何度も至近距離から発砲しまくっていた・・・それも、凄い形相で。
それくらい憎しみが暴走することは、誰にだってあるんだって思えて。
うん。
きっと、人間は誰でも心の中にモンスターを飼っているんだと思いました。
そして、それは、いつ暴れだすかわからない。
そんな時、そのモンスターを、誰が、どうやって裁くのか。
なんか色々と考えてしまいましたです。
ヒロインの真梨子は、数年前に年の離れた小学生の弟を、変質者に惨殺された過去を持っています。
そして、その事件がきっかけで、彼女の母親は重度の鬱病になり、真梨子自身の生活も大きく変わってしまうのですよね。
けれども。
弟を殺した当時中学生の犯人・志村を、彼女は、カウンセリングし、社会復帰できるところまで持って行くのですよね。
そして、そんな志村のことを、「一番大切な患者」として、必死に寄り添おうとしている。
そのことで、自分も救われようとしていたのかもしれません。
だけど。
ヒロインがやっていたカウンセリング・・・私は、理想論に見えました。
どんなに犯人に寄り添ってカウンセリングをしても。
犯罪を繰り返す人は繰り返す・・・。それが現実。
そして、その結果は、物語のラストのラストに分かりますよね。
私は、それを見て、「ああ、やっぱり」と思いました。
そう思うと・・・。
脳男の存在は、神なのか、悪なのか???
社会復帰を果たした志村を、「先生の一番大切な患者を殺します」と宣言して、殺した(裁いた)脳男。
彼のやったことは、もちろん、殺人罪。
でも、それによって救われた幼児の命。
もし、脳男が志村の再犯に気が付いていなければ、真梨子の弟に次ぐ、第二の被害者が、志村の手によって生まれていたところです。
なので、保護された子供やその家族は、脳男に感謝していることでしょうね。
そして。
志村が殺されたというニュースを見て、ずっと、心を病んでいた真梨子の母親が、カウンセリングを受けてみようかな・・・と前向きになるのです。
つまり、自分の息子を殺した犯人が殺されたことによって、彼女もまた救われたのかもしれません。
決して、肯定してはいけないことだけど・・・そんな彼女たちにとって、脳男の行為は「善」だったのでしはないでしょうか? 彼は「神」だったのではないでしょうか?
そう思うと難しいですね。
何が正義で、何が悪なのか・・・。
スッキリとしない、後味の悪い映画です。
そうそう。
生田君の演技は良かったですよ!!
彼と言えば、『源氏物語』とか『ハナミズキ』、『僕等がいた』など、恋愛映画のイメージがあったので、今回のダークな役は、新鮮でした。
瞬きすらしない無表情さは、ロボットみたいで。
綺麗なんだけど・・・いや、綺麗なお顔だからこそ、不気味で怖かったです。
そして。
そんな脳男を見ていて思ったのは。
生まれつき感情を持たなかった彼が、もっとちゃんとした環境で育っていたら・・・?
変な思想に凝り固まった祖父ではなく、たとえば、ヒロインの真梨子のような精神科医に見て貰えていたら・・・。
また違った人生や、天才的能力の活かし方もあったのではないかな・・・と思うと切なかったです。
ラストシーンでヒロインに微笑みかけ、そして、また無表情な殺戮者の顔になる瞬間。
あの一瞬はも怖いようでもあり、切ないようでもありました。
都内近郊で起きていた連続爆破事件。
ある日、ヒロインの精神科医・鷲谷真梨子が乗り遅れたバスが突然爆発します。
それも、一連の事件と同一犯の犯行と思われ、犯行には人間爆弾が使われていました。
刑事の茶屋は遺留品から犯人のアジトを見つけ出し、そこにいた若い男を逮捕。
男は「鈴木一郎」と名乗るが、肝心な事は何も話さないまま・・・・。
「鈴木一郎」を犯人と疑わない茶屋刑事。
彼は、精神科医の真梨子に、「鈴木一郎」の精神鑑定を依頼します。
そして、精神鑑定を進めていくうちに、真梨子たち医師は、不可解な違和感を「鈴木一郎」に抱き始めるのでした。
つまり、「彼には生まれつき感情がないのではないか」と。
こうして、真梨子たちは、独自の調査で入手した情報により、「鈴木一郎」の過去を知る者と接触。
そこで彼女たちが知りえた驚くべき過去の事実。
その一方で、連続爆破犯は、真梨子の勤める病院を次なるターゲットにし・・・。
・・・っていうか、予告編載せようかとも思ったのですが・・・ちょっと私の苦手な怖いシーンから始まる映像なので(^^;;
やめておきました(>_<)
さてさて。
ダークヒーローとか、ピカレスクロマンが好きなので、見に行きました。原作小説は未読です。
でも、乱歩賞受賞作とのことで、ミステリ好きとしては気になっています。
で。
確か、映画の予告だったか何かで、「ラストは予想外」・・みたいなキャッチコピーを見ましたが・・・う~ん、私は、ストーリーや物語の展開は、見ていて予測は付いた感じです。
物語としては・・・ダークというより、かなりショッキングな内容です。
っていうか、残虐シーンが多彩過ぎて、もう(>_<)
冒頭から、あんなの、こんなのがあって・・・最初は、
「私、この映画、2時間見ることが出来るの!!??」
と不安になりましたです(笑)
いや、PG12ということで、少し安心してたのですが・・・。
ホント、わたし的には、R15の『悪の教典』よりエグいと思いましたですよ。
うんうん、わたし的には、この作品もPG12より寧ろR15だろうと思ったです。
シーン的にも、内容的にも、いろいろな意味で・・・(^^;;
怖いお話です。
とはいえ、面白かったですよ。
なんか色々と考えさせられたことも多かったです。
「悪」とは何なのか。
「悪」は誰が裁けばいいんだろうか。
とか。
そんなことをグルグル考えながら見ていました。
もちろん、人が罪を犯した場合、正当な裁きの場としては「裁判」なのでしょう。
とはいえ、裁判も人間が行うものであり、間違いだってある。冤罪だってあるかもしれない・・・。
それに、罪を犯しても、捕まらずに逃げ延びる輩だっている。
はたまた、裁判で裁かれ、一度は罪を償った後も、社会復帰してから、また、罪を繰り返す人もいる。
そんな色々な「悪」。「悪人」。
被害者やその家族からしたら、そりゃもう、犯人に対しては「殺してやりたい」って思うことと思います。
人間として、当然の感情ですよね。
でも、犯人を殺したって、被害者は帰ってこない。ただの報復行為・・・それでも、殺してやりたいって思うものですよね。
主人公の「脳男」こと鈴木一郎は、生まれつき、天才的なほどの特殊能力を持っています。
そして、逆に、人間として誰もが持つべき感情を生まれ持たなかった人間。
人から教えられないと、食べることも、排泄をすることも出来なかった子供時代。
まるで、ロボットの様な存在。
それゆえに、幼いころから特殊な教育を受けてしまい、何の感情も持たずに機械的に、世の中の悪人を自ら裁いていく・・・美しき殺戮者なんです。
そして、この物語の他の登場人物たちも、そんな彼を中心に、いろいろと対比を成していたように思えました。
脳男同様、天才的な頭脳を持って生まれたがために、殺人をゲームのように楽しむ緑川紀子。
一方、ヒロインの真梨子は、犯人側の精神に寄り添って、「治療」をし、彼らが生きることで償いをし、犯人も、被害者も救おうと考えている精神科医。
また、ただただ悪を憎み、犯人=悪=徹底的に裁け・・・という考えの、茶屋刑事。
登場人物は、それぞれ個性的だったと思います。
ただ、どのキャラクターも、少し極端過ぎて、なかなか共感しにくい面はあったと思いますが・・そんな中でも、ちょっと行き過ぎた感はあるけど、茶屋刑事なんかは、一番、一般的な考え方(私たちの感覚に近い)をしているのではないかなぁと思いました。
でも。
普通の感覚で考えると、モンスターに見える脳男や緑川紀子。
だけど、ごくごく普通の私たちでも、もしかしたら、何かのきっかけで、モンスターに為り得るのではないかな・・・とも思えて怖かったのですよね。
っていうのも、たぶん、一番、一般的な人に見えた茶屋刑事(行き過ぎた感は否めないながらも)も、部下を殺されたことで、物凄い感情的になっていましたものね・・・。
ラスト、おそらくはもう死んでいるであろう緑川の体に、何度も何度も至近距離から発砲しまくっていた・・・それも、凄い形相で。
それくらい憎しみが暴走することは、誰にだってあるんだって思えて。
うん。
きっと、人間は誰でも心の中にモンスターを飼っているんだと思いました。
そして、それは、いつ暴れだすかわからない。
そんな時、そのモンスターを、誰が、どうやって裁くのか。
なんか色々と考えてしまいましたです。
ヒロインの真梨子は、数年前に年の離れた小学生の弟を、変質者に惨殺された過去を持っています。
そして、その事件がきっかけで、彼女の母親は重度の鬱病になり、真梨子自身の生活も大きく変わってしまうのですよね。
けれども。
弟を殺した当時中学生の犯人・志村を、彼女は、カウンセリングし、社会復帰できるところまで持って行くのですよね。
そして、そんな志村のことを、「一番大切な患者」として、必死に寄り添おうとしている。
そのことで、自分も救われようとしていたのかもしれません。
だけど。
ヒロインがやっていたカウンセリング・・・私は、理想論に見えました。
どんなに犯人に寄り添ってカウンセリングをしても。
犯罪を繰り返す人は繰り返す・・・。それが現実。
そして、その結果は、物語のラストのラストに分かりますよね。
私は、それを見て、「ああ、やっぱり」と思いました。
そう思うと・・・。
脳男の存在は、神なのか、悪なのか???
社会復帰を果たした志村を、「先生の一番大切な患者を殺します」と宣言して、殺した(裁いた)脳男。
彼のやったことは、もちろん、殺人罪。
でも、それによって救われた幼児の命。
もし、脳男が志村の再犯に気が付いていなければ、真梨子の弟に次ぐ、第二の被害者が、志村の手によって生まれていたところです。
なので、保護された子供やその家族は、脳男に感謝していることでしょうね。
そして。
志村が殺されたというニュースを見て、ずっと、心を病んでいた真梨子の母親が、カウンセリングを受けてみようかな・・・と前向きになるのです。
つまり、自分の息子を殺した犯人が殺されたことによって、彼女もまた救われたのかもしれません。
決して、肯定してはいけないことだけど・・・そんな彼女たちにとって、脳男の行為は「善」だったのでしはないでしょうか? 彼は「神」だったのではないでしょうか?
そう思うと難しいですね。
何が正義で、何が悪なのか・・・。
スッキリとしない、後味の悪い映画です。
そうそう。
生田君の演技は良かったですよ!!
彼と言えば、『源氏物語』とか『ハナミズキ』、『僕等がいた』など、恋愛映画のイメージがあったので、今回のダークな役は、新鮮でした。
瞬きすらしない無表情さは、ロボットみたいで。
綺麗なんだけど・・・いや、綺麗なお顔だからこそ、不気味で怖かったです。
そして。
そんな脳男を見ていて思ったのは。
生まれつき感情を持たなかった彼が、もっとちゃんとした環境で育っていたら・・・?
変な思想に凝り固まった祖父ではなく、たとえば、ヒロインの真梨子のような精神科医に見て貰えていたら・・・。
また違った人生や、天才的能力の活かし方もあったのではないかな・・・と思うと切なかったです。
ラストシーンでヒロインに微笑みかけ、そして、また無表情な殺戮者の顔になる瞬間。
あの一瞬はも怖いようでもあり、切ないようでもありました。
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