★ベルの徒然なるままに★

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映画『群青の夜の羽毛布』(DVD)

2011年02月01日 | 映画鑑賞記
今日は、お友達に勧められて見た、DVDの感想を。

『群青の夜の羽毛布』

山本文緒さんの同名小説の映画化で、2002年の作品。

主演は、本上まなみさん。
そして、玉木宏さん、藤真莉子さん、野波真帆さんがメイン登場人物です。

暗くて重い作品だったので、鑑賞後は、心がズ~~~ンとしてしまいました。
朝っぱらから、大変な映画を見てしまいましたです(^^;
因みに、言うまでもなく、鑑賞動機は、玉木さん目当てだったのですが♪
でも、ホント、色々と考えさせられる、興味深い作品でした。


物語は、というと。
スーパーマーケットでアルバイトをしている鉄男は、いつも、お昼間に買い物に来る、年上の女性・さとるに憧れていました。
挨拶をしても、そっけなくされていましたが、ある時、買い物中にさとるが貧血を起こして倒れ。
鉄男は、そんな彼女を介抱し、家まで送ってあげます。
翌日、お礼に・・・と、鉄男に手作りのお弁当を持ってくるさとる。
憧れの女性と話すキッカケに大喜びの鉄男は、「もっと話がしたい」と積極的になるものの、さとるは全然ノリ気でない。
いつもお昼間に買い物に来ると言うことは、人妻かな・・・と諦めかける鉄男ですが、さとるは、それ否定し、自分は家事手伝いだ・・・と言います。

やがて、2人は交際を始めるのですが。
さとるの言動が少しおかしいことに、戸惑う鉄男。
さとるは心の病を抱えていたのですね。
その為、大学に入っても1年で辞める、就職しても半年も保たない・・・ということで。24才になっても家事手伝い状態だったのです。

さとるの家は、教師をしている厳格な母親と、さとる、妹、の女3人暮らし。
母親があまりに厳しく、門限なども徹底しているので、さとるも妹も、常に母親の目を意識し、怯えながら生活している感じ。

でも、そんな厳格な母は、なぜか鉄男のことを非常に気に入って。不気味なまでに、鉄男とさとるを結婚させようとし、さとるにも、とにかく、鉄男と結婚しろ・・・と迫ります。

段々と精神のバランスを崩していくさとるですが、鉄男は、彼女が心に闇を抱えているのは、母親の厳しい管理の所為と思い。さとるに、母親からの自立を促すのですが。

しかし、本当は。
さとるが心を病んだ原因は、単に、母親が厳しいから~というだけでは無かったのです。
さとるの家族には、まだ、鉄男の知らない大きな秘密があり、それが闇となって、家族を覆い尽くしていたのでした・・・・・・・・・。



全体的に、暗~いお話です。
そして、そこに描かれている事は、深い。

原作の小説を読んでいないのですが、もしかしたら、原作なら、もっと色々なことがハッキリシッカリ描かれているのかもしれませんね。

あまりに色々と深くて。
映画だけでは、ちょっと分かりにくかったり、登場人物達の行動や心理を、鑑賞側の想像でしか補えなかったりする面は、少しあったかなぁ~と思います。

ですが、物語も、また、映像面でも面白かったです。

キツイ坂を登り切った果てにある、丘の上の家。
女3人が暮らす家。

家の中のシーンは、とにかく、映像が暗い。

普通、夜になったら、部屋中の電気点けるだろ!とツッコミたくなるくらい、この家は暗いんです。
必要最小限の灯りしか点けていないって感じかな。
それが、家の中を、とても冷たく感じさせて。

本来、家族が仲良く団欒する、暖かい場所であるハズの家が、まるで、牢獄みたいに見える。
しかも、その家には、何か秘密があるようで。
来客である鉄男には、見せられない「あかずの間」っぽい部屋がある。

人間ドラマな話なのですが、まるで、ホラーかサスペンス物かのように、怖い描かれ方で・・・。
家の中のシーンは、本当に怖かったです。

そして、憎しみ合う、女3人の家族。
最初は、全ての元凶は、この厳しすぎる母親かなぁ~と思ったのですが。
彼女もまた、自分の母親に、酷い仕打ちを受けた経験があるみたいで。
その時の心の傷により、娘達にも似たような仕打ちをしてしまうのかな・・・と。母親もまた哀れでした。

さとるの妹は、何かと母親に反発していましたし、門限が過ぎた後も、バレないようにコッソリ出掛けていたりもするような子ですが。

さとる自身と母親は・・・本当に、100%憎しみ合いだけだったのか・・・というと。
私は、そうじゃないような気もしました。

巧く言えないけど・・・別にお互い、嫌い合っていたとかそういうのじゃなくて。
憎しみの中にも愛情があって。でも、その愛情が巧く相手に伝わらなくて。
その結果、歪んだ形で、さとると母親が「共依存」みたいな関係になってしまったのではないかなぁ~と。

母親が、さとるにシツコク結婚しろっていうのも。
言葉だけ聞いてると、酷いコト言ってるのですよね。

「家のローンも、まだまだ残って居るんだから。貴女が働かないなら、貴女の代わりに働いてくれる人をお婿さんで連れてきなさい」
「自分で自分を養えない女は、結婚するしかない」
「結婚したくないんだったら、結婚しないで済む方法は、働くことだけ」

とか、色々。
言葉だけ聞いてると、ホント、酷いんですが。
でも、もしかしたら・・・。
彼女は、さとるのことを心配して、結婚をゴリ押ししていたのかなぁ~とも感じられたかな。
心の病気を抱えて、働くことも、外出もままならないさとる。
もし、母親が死んでしまったら、さとるは、どうやって生きていくのか?

あたかも「家のローン」云々って言うと、なんだか、生々しいけど。

そういうことも含めての言葉だったのかも~と想像。

とはいえ、当の本人同士の間には、多分、愛情は感じてないんだと思うけど。
でも、離れられない。
共依存かな・・・。

う~ん。
私は原作を読んでいないので、これは、想像でしかないのですが・・・。

さとるが鉄男と付き合うようになったのも、もしかしたら、母親の意見だったのかな?と。

というのも、鉄男がさとるの家の夕食に招かれた日。

母親は、妙に鉄男のこと、詳しかったですものね。
内定を貰った企業名とか。
それって、さとるが話してるからでしょ?
もう、いきなり、鉄男を「婿候補」って扱いだったもん。
あのシーンは、ホント、不気味で怖かったです。

それに、不気味なまでに、鉄男を家に泊めようとして。ビールに睡眠薬、混ぜてますよね!?

さとるが、鉄男とのベッドで、鉄男も戸惑うくらい激しくなるのは、「母親の束縛から逃れたい」という想いからだけだったのかなぁ?
もしかしたら、彼と寝ることですら、母親の意志?とか想っちゃったんだけど・・・それは、私が深読みしすぎてるのかな???
でもでも。
お酒に薬混ぜて、眠らせて・・・・・・・・・だったでしょ?
そこに、なんか「意図」を感じてしまう。


ラストシーンにかけては、まさに、「カタルシス」って感じでした。

さとるの家族の秘密も、「もしかしたら?」と予想していたけど、やはり、父親絡みのことで。
しかも、その父親からの復讐。

家族なのに、互いが互いを傷付け合いながらでないと、存在出来なかった・・・って、なんか哀しい。
そこに、元々、「愛情」はあったのか? 無かったのか?

そして。
どうしても、理解できなかったのは。

なぜ、鉄男はさとるの母親と肉体関係を持ってしまったのか?

今まで、鉄男は、さとるの心が病んでいるのは、母親の所為だ・・・と想っていたのですよね。まあ、もちろん、それも一因ではあるわけですが。
だから、母親に、さとるをもっと自由にしてあげろ!って意見する訳ですが・・・。
でも、さとるが母親に縛られているのと同等に、母親の方もまた、さとるに縛られていたのですよね。

「私だって、ラクになりたい」

って呟いて、泣くさとるの母ですが。
・・・厳格な仮面を外して、本音を漏らす彼女に「女」を感じた・・・から・・・・・・?
でも、なぜ、そんなに互いに激しく求め合うんだ?
そこまで、互いに、何か感じる物があったのか?
そこは、ちょっと理解できなかった。

それに、恋人の母親と寝た翌朝、恋人と普通の顔して会う神経も、ねぇ。
女性の立場としては、ちょっとイヤですよね。

実際、さとるの抑圧されていた物が噴き出したのは、自分の母親と鉄男が寝たことを知った時だった訳ですし。

う~ん?
やっぱり、これも、小説を読まなきゃ、分からないのかな?

色んな問題を抱えたままの家族だったけど。
ラストでは、少し光明を感じられました。
きっと、まだまだ茨の道かもだけど、この家族に夜明けが訪れたのかな~と感じました。

どんな家族も、多かれ少なかれ「問題」を抱えていることがあると想います。
普段だったら、喧嘩とかで済みそうな小さな問題でも。
何か1つ、歯車が狂ったら、家族全体が憎み合ってしまう。歪んでしまう。
映画のお話は、極端かもしれませんが・・・でも、現実においても、もしかしたら、家族って、そんな危うさを内包しているものなのじゃないかなぁと考えさせられました。


・・・・・・と。
本日見たDVDの感想(*^^*)b