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ドラマ作家アリスシリーズ最終回を迎えての総括感想

2016-03-21 12:46:48 | Weblog
はあああああ…やっと終わった……三か月、長かった……(涙)

有栖川先生にドラマ化のギャランティが入る、原作未読の人がこれを機に読んでくれるかもしれない、それだけを願って耐えました。

正直、最後まで違和感が拭えませんでした。

私は、ミステリドラマが見たかった。
推理小説がドラマ化されれば、ミステリを期待して当然でしょう?

でも、この三か月間、ミステリドラマ見た気にはなれなかった。
主役二人のいちゃいちゃばかりが記憶に残る。
肝心のミステリ部分、ロジックやトリック、謎解きシーンが雑すぎる。
いちゃいちゃシーンよりも謎解きシーンを丁寧に作ってこそ、ミステリが軸のエンタメドラマでしょうよ。
テレビ局のお金を使った、盛大な二次創作を見せられ続けたような感じです。
余計なお世話です。
萌えたいなら自分で探します。

泉大津で有栖川先生にお話を伺って、頑張って「原作と同じところ」を探そうと思いました。
でも、その前に、雑さや粗さばかりが目に付くんです……。
私が探してたのは、原作のエッセンス。ただ原作通りにミステリ進行すればいいというのじゃなくて、「なぜこのシリーズをドラマ化したかったのか?有栖川作品にどれくらいの愛があるか?」というもの。
結果は、あの雑さと中途半端さでした。
ドラマをきっかけに原作も読んでみようと思ってほしい、原作が売れてほしいと願うファンに、原作の短編一本では足りなくて別の短編のネタばらしをぶち込んだり、反対に長編は丁寧に作り込むことをせずにスッカスカの骸骨みたいなものを突きつけられて、とても擁護はできません。
これが脚本家演出家の自己満足でなくて何なの。原作を何だと思ってるの。
盛大な二次創作って書いたのはそういうことです。

火村英生というキャラクタの解釈については、原作のように常識人だとドラマにしにくいというのは納得した上で、やっぱり最後まで相容れませんでした。演出的にも、俳優さんのインタビューを読んでも。
それと、火村以上に許せなかったのは、篠宮のばあちゃんかもしれない。
「上品な婦人」のはずが、何であんなに気持ち悪いの?
柔らかい印象、の時絵さんが、ただの下品で出しゃばりなおばちゃんなんて。

硬質な火村先生の近くに、柔らかい篠宮のばあちゃんがいる。それがフィールドワークに奔走する火村先生の支えになっている。
あんなに下品な女性が身近に居て、火村先生が学生時代からずっと下宿したままっておかしいでしょ。
京都の人間としても、あんな人を「上品な婦人」なんて言えません。いくらカリカチュアされていても、許せるものと許せないものってあるのよ。

火村とアリスとの距離感もぶち壊してたしね。
原作ファンが大切にしてる(と思う)二人の距離感。物理的にも、心理的にも、十四年の付き合いがあるにもかかわらず感じる距離感。それが。
一部の腐の人達向けにサービスして、もはやアリスさんは大阪在住でさえなくなったっぽい。無茶苦茶です。大阪愛に溢れてるのが私のアリスさん。大阪在住でないならたとえ隣りの京都であろうが東京移住したのと変わらない。
それにアリスさんが、火村先生の下宿で、ばあちゃんの見てるところで執筆する演出の必要性がどうしてもわからない。
小説は、アリスさんの「繭」ですよね。
アリスとばあちゃんが、ひむらがいなくても付き合いがあるとしたいなら、普通にお茶飲んでいればいい。別にそれでもおかしくはないでしょう。
アリスが繭を紡ぐ姿を人に見せる描写は原作にはたぶんないと思う。せいぜい担当編集者くらい。それがアリスというキャラクタだと思う。
原作への愛がないと思うのは、こういうところです。
原作はドラマの演出のために書き下ろされたものじゃないんです。
わかります?スタッフ。

私もキャラ読みするしモノによっては腐読みするし、ジャンルは違うけど二次同人の書き手の友達がいます。 何人もね。この友達と腐読みで盛り上がるのは楽しい。
ただし、そういう書き手の友達はみんな、自分達のしてることがグレーゾーンよりももっと黒く、著作権法にほぼ抵触してることを自覚してるし、そこを原作者である作家さんたちのお目こぼしで黙認されていることも知ってるし、だからこそ検索よけして鍵掛けて、一般の人達の目に触れないように、ひっそりと楽しんでます。古かろうが硬かろうが、それが常識であり、マナーですよね。
腐読みするのと同じレベルで、普通に原作の大ファンなんです。

こう書いた上で。

原作未読で、ドラマで萌えたかたにお聞きしたい。推理、謎解き、事件全体の内容を全話覚えてますか?ミステリって面白いと思った?ただ二人のいちゃいちゃに萌えてただけ、なら、私はやっぱりこのドラマはあかんと思う。ミステリがあっての火村とアリスなんです。彼らは推理するための存在なのが原作。

あのドラマで原作読んでみたよ!ってかたがたくさんいらっしゃるのは知ってる。それでもなおあのドラマが腐狙いじゃないかとゲンナリするのは、ドラマと同じカップルとしての二人のいちゃいちゃを期待したご新規さんが、そうじゃないと知ってじゃあ読まないと本を閉じはしないかと思うから。

ツイッターで、リアタイ視聴されていた複数のミステリ作家さんやミステリの評論家さんに疑問を抱かせたりモヤモヤさせたあのドラマの最終回は、無理がありすぎるしミステリとしての出来は良くないんだと思う。推理小説をドラマ化した以上は、ミステリ部分の及第点は必須のはず。もし二期や劇場版をしたいならまずミステリを書ける脚本家に変えるべきやと思います。


最終回終了後の重大発表が二期や劇場版の予告だったらどうしようと思いましたが、そうじゃなくてよかった……。
もうこれ以上は耐えられない。
お金払ってふーるーの配信なんてもう付き合えない。
三か月間、ストレス溜まるわ夫婦喧嘩にまでなるわで、いいことなかったよ……。
悔しい。悲しい。
何よりも大切な原作を、濁らされたような気がします。

あのドラマの脚本家の 名前は忘れない。許せない。
ぬーべーのドラマ化といい、ロクな脚本にならないんなら、原作つきの脚本を書くのはやめてほしい。

どちら様も、お疲れ様でした。
皆様、よく頑張りましたよね。
済んだことはさっさと忘れて、有栖川先生の新作を待ってます。


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