さっき、新書の感想文をつらつら長々と書いてて、なんとなくというかやっとというか、気付いたことが。
私がなんで、作家編の『乱鴉の島』にあれほど愛着があるのか。
うろ覚えですが、多分『乱鴉』は、ラストで火村先生とアリスさんがその事件現場に立ちあったことを、警察関係者以外で肯定してくれるセリフの出た初めての作品じゃなかったかと。
真相が暴かれ、アリスさんが船で警察に知らせにいく直前に、遺体のある家のあたりで、中心人物である海老原瞬にばったり出くわしたシーン。
あのとき、海老原先生が言った、
「とんだことに巻き込んでしまいました。…… しかし、あなたと火村先生がこの島にいらしたからこそ(中略)これがよかったと思います」(新潮社版 362ページ)
というあの言葉。
そしてその前、明け方のアリスさんとドクターの会話の中の、
「苦しみをロジックで乗り越えようとするんだ。勝手な想像ながら、火村さんやあなたも同じなのではないかな、有栖川さん?」(新潮社版 360ページ)
事件の容疑者・関係者の中で短時間のうちに、これほど火村先生とアリスさんのことをちゃんと見てくれたキャラっていただろうか。
真犯人でさえ、海老原瞬という存在に浄化されてこの結末を受け入れているし。
だから、火村先生の「こんな奇妙な事件は聞いたことがない」という述懐は、事件の背景が特異だったというだけではなくて、自分達の存在が受け止められたという珍しい事例でもあったからじゃないかと、ヒムラーな私は深読みしてしまうのです。
(文庫版『モロッコ水晶』のあの上海雑技団のごときものすごい解説に比べたら(大笑)、まだ可愛いもんじゃないかと)
『黒鳥亭』とか『女彫刻家の首』なんかで、自分の力ではどうにもならない結果にブチ切れてアリスさんに八つ当たりしたり(笑)、『ロシア紅茶』や『ブラジル蝶』や『身代金』で犯人に逆ギレされたり、『切り裂きジャックを』『異形の客』『絶叫城』のようにとんでもない暗さに巻き込まれたりすることもなく。
『乱鴉』は確かに、ただ凪のように静かで奇妙な印象ですね。
だから余計に、好きなのかもしれません。
最近流行りのどんでん返しに頼ることなく、全体的に黄昏のような明度で、凪いだ静けさの中で、それでもがっちりした本格ミステリが成立するということに。
なので有栖川先生、テツも落語も結構ですが、そろそろミステリのお仕事で私たちファンを湧かせてくださーい(苦笑)
……はっっ。
もしかして、阪神が低迷してるから先生にチカラが入らへんのやろか!?
くーーっ★阪神タイガースよ、有栖川先生の為に勝ってください!!(え)
さて、次のミステリはどれにしよう。ありすぎて悩む。
それでは今日はこの辺で。
ごきげんよう。
私がなんで、作家編の『乱鴉の島』にあれほど愛着があるのか。
うろ覚えですが、多分『乱鴉』は、ラストで火村先生とアリスさんがその事件現場に立ちあったことを、警察関係者以外で肯定してくれるセリフの出た初めての作品じゃなかったかと。
真相が暴かれ、アリスさんが船で警察に知らせにいく直前に、遺体のある家のあたりで、中心人物である海老原瞬にばったり出くわしたシーン。
あのとき、海老原先生が言った、
「とんだことに巻き込んでしまいました。…… しかし、あなたと火村先生がこの島にいらしたからこそ(中略)これがよかったと思います」(新潮社版 362ページ)
というあの言葉。
そしてその前、明け方のアリスさんとドクターの会話の中の、
「苦しみをロジックで乗り越えようとするんだ。勝手な想像ながら、火村さんやあなたも同じなのではないかな、有栖川さん?」(新潮社版 360ページ)
事件の容疑者・関係者の中で短時間のうちに、これほど火村先生とアリスさんのことをちゃんと見てくれたキャラっていただろうか。
真犯人でさえ、海老原瞬という存在に浄化されてこの結末を受け入れているし。
だから、火村先生の「こんな奇妙な事件は聞いたことがない」という述懐は、事件の背景が特異だったというだけではなくて、自分達の存在が受け止められたという珍しい事例でもあったからじゃないかと、ヒムラーな私は深読みしてしまうのです。
(文庫版『モロッコ水晶』のあの上海雑技団のごときものすごい解説に比べたら(大笑)、まだ可愛いもんじゃないかと)
『黒鳥亭』とか『女彫刻家の首』なんかで、自分の力ではどうにもならない結果にブチ切れてアリスさんに八つ当たりしたり(笑)、『ロシア紅茶』や『ブラジル蝶』や『身代金』で犯人に逆ギレされたり、『切り裂きジャックを』『異形の客』『絶叫城』のようにとんでもない暗さに巻き込まれたりすることもなく。
『乱鴉』は確かに、ただ凪のように静かで奇妙な印象ですね。
だから余計に、好きなのかもしれません。
最近流行りのどんでん返しに頼ることなく、全体的に黄昏のような明度で、凪いだ静けさの中で、それでもがっちりした本格ミステリが成立するということに。
なので有栖川先生、テツも落語も結構ですが、そろそろミステリのお仕事で私たちファンを湧かせてくださーい(苦笑)
……はっっ。
もしかして、阪神が低迷してるから先生にチカラが入らへんのやろか!?
くーーっ★阪神タイガースよ、有栖川先生の為に勝ってください!!(え)
さて、次のミステリはどれにしよう。ありすぎて悩む。
それでは今日はこの辺で。
ごきげんよう。