制作続けて自分整える
撮影・中村光一
体調不良、祖母の死、そして出産――。制作期間は、東日本大震災を挟んで、さまざまな出来事があったという。
そのため、意表を突くような独自のセンスを見せてきた過去作以上に、刺激的な作品が生み出されることになった。
おすすめスイーツ「体を壊し、精神的にも行き詰まっていた時に生まれた」という「永すぎた日向で」は、最期を意識したような歌。同時期の「エルロイ」は、歌詞も曲調も歌い方も粗暴で挑発的だ。「感情を表に出すタイプじゃないけれど、こういう曲をやらずにはいられなかった」
喜びだったはずの妊娠も、体調悪化でライブが中止になったり、病床の祖母の容体が悪化したことで罪悪感を感じたり。そんな苦しい時期も「制作を続けることで日々自分を整えてきた」という。
不協和音を含んでいて「不穏さが気持ちいい」という表題曲「勘違い」は、「自分らしくて、一番好き」。「落ち込む自分を『何泣いちゃってるの。主役気取り?』ってあざけ笑う自分がどっかにいて、そのことで立ち直ってきたから」
2003年デビューで、今作が6作目。「音楽のメソッドがないまま自分の方法論ができてしまっていた」という曲作りは、アカペラで編曲家に口伝えし、頭に思い描いた通りのアレンジが出来るまでやり取りを繰り返す。その結果、計算では導き出せないような変則的なメロディーに。最後の曲「鬼」も、にわかには把握しきれない拍子が独特の躍動感を生み出している。
公演は30日、東京・有楽町の東京国際フォーラムホールA。(電)050・5533・0888。
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アルバム「勘違い」を出したシンガー・ソングライター 安藤(あんどう) 裕子(ゆうこ)さん
(2012年4月6日
読売新聞)
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