モスクワ国際大学カリーニングラード分校で、投票参加を訴えるヤロシュク市長。学生の反応は冷ややか=貞広貴志撮影
12月4日に行われるロシア下院選は、国論を二分するような争点もないまま終盤を迎えた。
選挙戦の最前線では、与党「統一ロシア」の支持率低下に加え、政治への関心自体の低下が顕著になっており、政権・与党は「とにかく投票所に行って」と呼びかける異例のキャンペーンを展開している。
「どの党に入れてくれとは言わない。12月4日は投票所に行って、1票を投じてほしい」――。ロシア西部・カリーニングラード市の大学を訪れた統一ロシア所属のアレクサンドル・ヤロシュク市長は、100人ほどの学生・教員を前にカリーニングラード市の発展のためまず投票を、と呼びかけた。29日にはメドベージェフ大統領も現地入りした。
カリーニングラード州では昨年1月、州政府の増税案反対に端を発した大規模デモが起き、1万2000人もの市民が「プーチン首相は辞任を」と訴える騒ぎに発展した。与党は下院選で同州を重点選挙区とし、徹底したどぶ板選挙を展開。連日15か所前後で住民集会を開いている。だが、市長の熱弁を聞いた学生ビクトリア・プチコワさん(20)は、「動員されたから来たけど、目新しい話はなかった。友達にも政治に興味のある人はいない」と素っ気なかった。
研究機関「世論基金」の調査では有権者の60%が「政治に興味はない」と回答し、「興味あり」との差は27ポイントまで開いた。この政治離れは、プーチン首相が2000年に大統領に就任して以来、強権手法で「政情安定」を図った副作用といえる。法律や裁判、メディアを駆使して政敵をつぶした結果、ロシアでは与党に代わる実質的な選択肢がなくなり、国民は政治参加の意欲を失った。
(2011年11月30日11時26分
読売新聞)
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