ミケの雑記帳

グ~タラしたい毎日

ある日曜日 ~高原デート~

2009年11月24日 16時19分14秒 | 物語
「伍代高原に行きたい」
そんなナオの一言で伍代高原の牧場で牛に餌をやっている。
牛って体もデカいが顔もデカいんだよな。
でも脳みそは俺の握りこぶし程度しかないし。
アンバランスだ。
「牛の舌が伸びるのって何かエロいよね?」
「同意を求められても困るような質問はしないでくれ」
「シノは相変わらずつまんない奴だね~」
くっ、お前に合わせるのはかなりのエネルギーが必要なんだよ。
一々付き合ってられんわ。
「いいけど、牛舎ってやっぱ臭いはキツイな」
「ま~、そだね~」
俺に反応求めるくせに自分は生返事かよ。
「次、馬を見に行こうよ」
「あぁ、いいよ」
並んで少し離れた馬小屋へと移動する。
「馬も大きいな~。顔の大きさは牛と変わらないよね?」
「まぁ、そうだな。全体のフォルムが違うから馬の方がシャープに見えるけどな」

伍代高原は牧草が生い茂っており、そこを牛は放牧されている。
その牧草地の間を車一台ほどの舗装された道が通っていて、そこを散策したりサイクリングしたり出来る。
途中にはトイレや水飲み場、休憩所が設置されている。
その一つで俺達は休んでいた。
「久し振りにこんなに歩いたよ」
「俺もだ。歩くってのは大事なんだな」
「あ~、明日筋肉痛かも~。折角こっちの友達と会うっていうのにぃ~」
「年だから筋肉痛は明後日とかにくれば大丈夫かもよ?」
ドカッ!
殴られた。
グーで、後頭部を。
「でもさ、山の方は涼しいよね~。風が気持ちいい」
短くなったナオの髪を風が撫でる。
ふむ、ショートのナオなんていつ振りだ?
確か、大学2年の夏に一度だけしてた気がするな。
「何?ジッと見つめちゃって。惚れ直しちゃった?」
「ねぇよ」
「お安くしとくよ」
「自分を安売りするな!」
「何と、今なら土地付き一戸建てまで付いてくる!」
「うわっ!何かすげぇお得感!」
「ただし両親も付いてくる!」
「それってただの婿入り婚だ!ってか、かなり遠回りなプロポーズじゃないですか、ナオさん!?」
「ふっふっふぅ~。気付いた時には既に遅いのだ。この書類に判子を押したが最後。実はこの書類は婚姻届だったのさっ!」
「ぐわぁっ!よく分かんないぞ、この詐欺師ぃ~!」
吹き抜ける風と少しの沈黙。
「こういうノリは好きだけど、2人だけだと寂しいね」
「あぁ、こういうのは皆の前だからおもしろいんだよなぁ」
2人して少し後悔していた。

さっきの休憩所から移動して、高原と街が見渡せる展望テラスのような造りの休憩所に来た。
半円状のテラスにある手すりに体重を預けるようにして眼下に広がる景色を眺めている。
空の青と高原の緑が互いの美しさを引き立てているかのようだ。
「初夏だねぇ。草も木も、淡い緑で溢れてる」
子供のように目を輝かせながらナオは言った。
「ここからだと街が霞んで見えるから、別世界にいるようだね」
無邪気な笑顔でこちらを振り向く。
うん、あなたの可愛さはよ~く分かってるからさ、こっちを振り向かなくてもいいのよ。
「毎日でも眺めていたい景色かな」
「その気持ちは分かるわ。何時間でも見てられそう」
「小っちゃくお城見えるね」
「あぁ、街の中の山城な。子供の頃行ったわ。って言っても子供過ぎて憶えてないんだけどな」
「わたし行ったこと無いなぁ。じゃあさ、今度来た時連れてってよ」
「ん、いいよ。だったら御清水もその時に行こうか。名水100選に選ばれてる湧き水」
「いいねぇ~。次回の帰省も楽しみですぞ」
「変な言葉使いすんなや」
「それは悪ぅござんした」
牧場まで戻ってきて、牧場横の売店で牛乳ソフトを2人で食べた。
ミルク感が濃厚で美味しかった。
京都へのお土産にとナオは瓶詰め牛乳を2リットル分買っていた。
それを持たされるのは勿論俺。
その後、ポニーに乗らせてもらったりバター作りを体験したりした。
バターを作るのは初めてだったが、試食でパンに塗って食べたら美味しかった。
ナオも満足していたみたいで、笑顔で持ち帰りようの容器にバターを入れていた。

・・・・・・続く。


今日の天気 
 予定では4話(つまりは今回)で完結するつもりだったんですが、どうやら増やさなきゃいけないみたいです