星くず雑記

日々の出来事は煌めく星くずのように…

藤子不二雄『絶滅の島』

2006年04月23日 11時13分18秒 | 藤子不二雄
藤子・F・不二雄少年SF短編集 (2) (小学館コロコロ文庫)

<あらすじ>
本当なら高校生・・・のシンイチとカオリは
一昨年の夏・秘島ツアーに参加して以来、
他のツアー参加者らと27名で生活している。

やつら、宇宙人は来襲して3ヶ月あまりで5大州を制圧。
それもラジオのニュースで聞いたわずかな情報だった。
「戦争なんてものじゃなかった
一方的に焼きつくし、破壊つくし、殺しつくし・・・
人間をまるで雑草か何かのように・・・」

とその時、ついに宇宙人がこの島に来襲した。
シンイチとカオリはかろうじて難を逃れるが、煙が見える。
足を負傷したカオリをジャングルに残し、キャンプへ向かうシンイチ。
しかし住民が無惨に殺されていくのを目撃する。
「なんて残酷な・・・やつらは悪魔だ!」
生き延びた中年男性と共にカオリのもとへ向かうが
すでにカオリは連れ去られた後だった。
二人休息を取り、闇に紛れ救出のチャンスを窺うことにする。

「ミツユビムカシヤモリって知ってるかい
…そうこの島にだけ残っていた珍しいヤモリなんだ。
学者が気付いたときにはもう遅かった。
人間の手で取り尽くされて絶滅したんだよ。
そのヤモリの黒焼きが肺病の特効薬だという俗信があったお陰でね。
その島で今度は人間が絶滅させられようとしているわけだ」

「あいつら悪魔ですよ。血を流して楽しんでるんだ。まるで虫けらみたいに」
「他の動物を殺すも生かすも、人間さまの心しだい。
今度人間が狩られる立場になったとしても、
えらそうに文句をいう資格はないんじゃないかと」

そして二人はカオリ救出に向かう。村はやけに明るい……
殺された人々が串刺しにされ、煙で燻されていたのだ。。
しかしカオリはまだ殺害されておらず、救出に成功。
ところが宇宙人に発見され中年男性が犠牲に。
シンイチとカオリは船着き場を目指すが、
襲撃され二人とも捉えられてしまう……

新手の宇宙人とのやり取りがあった後。。。★
大怪我をしていたシンイチは治療され、
何故かカオリと共に解放される。

★部分の宇宙怪物語・日本語訳
「チキューケナシザルは保護獣に指定された
密猟者は逮捕する」
「すんません。チキューケナシザルの黒焼きが
円形脱毛症に効くと聞きましたので」
…「あやうく絶滅させるところだった。安心して暮らしなさい」

<感想>
…すっごいブラックな話。他の生物の立場から見れば、
人間なんてこの話の宇宙人に相当するかと思うと…

このチキューケナシザルというネーミング何とも言えない。
「ケナシザル」という部分は、
人間も所詮、猿の一種であることを痛感させると同時に、
他の生物をけなしている、おとしめている、
と言う意味が込められているのでは?

人間も動物の一種・霊長類 - ヒト科 - ヒト種(ホモ・サピエンス)
である以上、(生物として)生きている目的は子孫を残すこと!
ただ心があり、知能があり、社会がある人間は
また別に社会的な意味も持っていますが。
このことを学校で言ったら超びっくりされた。
人間は特別な存在な訳じゃない。たかだか最も繁栄している動物と言うだけ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする