美麻珈琲 ブログ

長野県大町市美麻にある美麻珈琲のブログ
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播磨・丹波・但馬の三国境い

2007-04-04 12:37:28 | インポート

4月3日

今年の春から新たにスタートする兵庫県神崎郡神河町の山村留学センターを訪ねた。

三田から高速道ではなく、篠山市今田→西脇→加美町→神河町へと下道でも一時間ちっとで到着した。

長野県から前日に赴任した若い2人の男女指導員に差し入れをと、うちのケーキを持って立ち寄る。山峡の鉄筋三階校舎を改築して宿舎や活動の拠点としている。中身は新築の雰囲気である。体育館や川を挟んでプールも、当然だが運動場もあり、これまでの山村留学センターの施設とは異なる。

桜のつぼみがまだ固い信濃の地から、遠く播磨・丹波・但馬の国境いへ来たおふたり。

恐らく、戸惑いはするものの、これまでに培った「育てる会」流の誠実な生き様と指導力を継承され、根付かせていかれることでしょう。明後日に入園を控えているので、長居は禁物とそのまま、さらに上流の林道から銀山で有名な生野の上部から青垣を抜け丹波に入った。(その道は落石が多く後悔したのですが・・・)

途中、実家に立ち寄り、賄い用の祖母が育てた野菜を積み三田に戻っる。

「兵庫の山々」

高校に入って直ぐに多田繁次さんの本「兵庫の山々」に魅せられて、当時よく登った山を久しぶりに播磨・丹波・但馬の三国境いから眺めた。(当時の本は書店では見かけない、今は続編の多田繁次著「兵庫の山々 総集編」 神戸新聞出版センターが一般的です)

35年前、手紙のやり取りがご縁で、兵庫県氷ノ山の帰りに実家に立ち寄っていただいた多田さん。その際、酪農の仕事で遅くまで働いている両親の姿を見て「親を助けて、しっかりとした大人になりなさいよ」と慈愛の眼差しで諭された。

多田さんの紀行の文章からは司馬遼太郎はじめ多くの人が敬愛してやまない民俗学者の歩く巨人「宮本常一」に通じるものの視点があったなーと、最近になって想う。生きておられたら祖母と同世代の90歳の後半であろう。

県北の浜坂出身で新田次郎著「孤高の人」のモデル加藤文太郎をはじめ、近代登山の創成期の登場人物もあり、当時ワクワクして読み耽った。

図書館に何気なくおかれたその本になぜ興味を持ったのか。

幼い頃、近所の上級生に連れられ登った裏山のさらに奥の奥。その尾根越しの木の上からの眺望はこれまで見慣れた日常のものとは違った。異郷の風景のように新鮮であった。決して、かけ離れた未知の世界の話でもなく、少年期に自分の暮らす地から放射状に行動の広がりをもたせてくれたのがこの本だった。そして最初に出かけたのがこの神河山村留学センターからも登れる「千が峰」だった。母の実家から正面に眺めことができる山。冬、この辺りでは珍しく雪をつけることが多い。

人に出会わない・ゴミの無い・静かな兵庫の低山に次々とでかけ、やがて興味の対象は当然のように信州の山へと繋がっていった。


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